多くの作品は最初が一番良くて、後々失速するタイプが多いのですが、珍しく尻上がりになってるゲームです。しかし後半になって僅かに改善されるだけで、序盤のグダグダ具合が割と致命的。なお1作目は未プレイです。
ゲーム概要
開発元はドラゴンクエスト8で有名なレベル5。ジブリ調のトゥーンな世界を描いたファンタジーアクションRPGです。古典的なJRPGを彷彿とさせるシステムに、ソシャゲ的な勢力拡大、軍隊バトルを追加したようなゲーム。
ビジュアルは80年代、90年代のセル画アニメを彷彿とさせます。
主人公のネコミミ少年エバンはゴロネール王国の王子ですが、大臣のクーデターによって国を追われます。そんなエバンを助けてくれたロウラン(下はそのシーンだと思われるエンディングイラスト。何故か本編で使わない。使えよ!)。
2人は新たな国を作ることを目指すのですが……と、まぁ話の流れはそうなんですが、シナリオには悪い意味で定評のあるレベル5。過去に炎上したり、小説家の宮部みゆきに苦言を呈されたりと、ある意味安定していています。
むしろPS4じゃなくて、Swtichで出すべきだった作風ですが、まさかここまでSwitchが勢力拡大するとは思うまい(私も予想外)
レビュー
ストーリー
- 序盤の展開が雑過ぎる
- 割と投げっぱなしのガバガバ設定
- 共感できないキャラクター達
- テキストの完成度が総じて低い
- 最後付近は多少マシに
悪いことで定評のあるレベル5なので、最初から期待してませんでしたが案の定。特に序盤の展開が酷すぎるので、割と心を折ってきます。
何故そうしたのか意味不明、キャラクター描写が稚拙とかって次元ではない、唐突過ぎる展開のトリプルコンボ。
最初2点を付けようかと思いましたが、最後の20パーセント程度から、多少持ち直してくるので、おまけして3点を付けています。
ネタバレを避けるために誤魔化しますが、序盤の展開は筆舌に尽くし難いレベルで酷いです。プロットの肉付けがされてないレベルの箇条書き展開で、キャラクターが何を考えているのかさっぱり分かりません。唐突に決意するし、唐突に和解しますし、唐突に罪を許します。
題材選びにも難があって、設定も概ねガバガバ。同じ展開にするにしても、主犯とか動機とか、それに際した行動の差違によって、もうちょっとまともに出来る筈なんですが、そこらへんのバランス感覚がなさ過ぎて、登場人物が軒並みサイコパスと化してます。
イロイロと悪影響が出そうなので、子供にやらせたくないと思ってしまうレベル。
仲間が揃ってからは多少マシになるのですが、すでに佳境も佳境。そこからの下りも唐突過ぎて、割と置いてけぼりになりますし、最初が酷すぎたので逆補正が掛かっている面も否めないので、決してお勧めできるような内容では無いです。
物語は諸設定や仕掛けよりも、肉付けの筆力の方が重要だってことをまざまざと分からせてくれます。
グラフィック
- アニメ調の中では高水準
- メインのキャラデザがモブ臭強い
- サブキャラの方が良デザイン
- エンディングのイラストが全力
グラフィックは良いと言えば良いのですけど、キャラクターデザインが割と微妙。メインメンバーに華がないのでモブっぽく見えます。エンディングでイベントの一枚絵が流れるんですが、そっちだと好印象なので、3Dモデリングの問題かもしれません。
あと多種族題材なのに、メインメンバーは人間(ジン族)ばかり。一応、主人公のエバンはネコミミハーフですけど、別種族のメンバーを含めても良かった気がします。空賊のおっさんとか誰得な人選と言えば、人選。
サブキャラクターはNHK教育に出てきそうな獣人系が多いのですが、むしろこっちの方が人気でそうな雰囲気。海外はケモナー多いらしいので、そういう層には受けてそう。ただしサブの掘り下げがほとんど無いので、1発屋どまりで勿体ない。
エンディングで使われているイメージイラストは劇中で使っても良かったかなぁ……。
サウンド
- 良スコアあり
- 今時珍しいパートボイス
- CVが棒読み
- 演技がラスト付近だけまともに
メインテーマが抜群。それ以外だとチラホラ良スコアが存在するといった感じですが、一部フィールドに合ってない部分も残ります。代表的なのはグランリーフのBGMですが、街の中の曲じゃ無いよなと……。
CVは芸能人起用なので安定の棒読みです。主人公のエバンですら学芸会レベルだよなぁ……と思うのですが、実はメインメンバーだと一番マシという鬼門。アニメでよく批判される部分ですが、培った文化や絵の表現性を無視するのはいけない。
おまけにパートボイスで、メインクエストの重要な部分でも声無しの場合が多いです。ワンフレーズだけ下手に声が付いていたりして、いらっとすることも。
なおラストシーン付近だけはリテイクを取ったのか、演技がかなりまともになってます。そこまで棒読みの嵐なんで、この水準だとボイス無しの方が良かった気もするのですが……。
ゲーム性
- 子供向けのレベルデザイン
- 色んなゲームてんこ盛り
- アクションとしては非常に良好
- 達成感の無いキングダムモード
- 捻りが無い進軍バトル
方向性として子供向けなゲームとして纏まっています。また明確に良い部分はあるのですが、悪い部分も多いという評価に困るゲームとも言えます。
というのも、本作がアクションRPGをベースとしつつも、色んなサブゲームをちょっかい程度に導入しているからなんですが、正直アクションに的を絞った方が良かった気がします。アクション以外は欠点の方が大きい位で、ゲームのアベレージを下げる要因になっています。
通常戦闘は軽快で操作性がよく、アクションRPGでは最高峰に近い下地を持っています。敵のモーションも分かりやすく、明確に攻め時が設定されているので、アクションの入門作としてお勧めできます。
回避が強くて、遠距離攻撃も便利なので、コツを使えば縦横無尽に動けて面白い。
ユニークボスとの戦いが割と秀作で、創意工夫がみられます。簡単過ぎるとも思うのですが、子供向けだという点を踏まえれば、素直によく出来ていると思います。
欠点はかねがねボリュームとバリエーションによるもので、雑魚敵のバリエーションが乏しいことや、プレイヤーキャラのスキルが大味過ぎることです。
キングダムモードは簡易シムですが、王国の発展が遅すぎて、メインクエストの展開を阻害する足枷になっています。途中、ある程度の王国発展が求められるのですが、割と小まめに進めていても資金不足やら、人材の頭数不足で詰まります。
この辺り、サブクエストのお使い感が強いことと関連しているのですが、人材リクルートに手間が掛かる割に、一切研究しなくても問題無さそうだし、達成感はないし、発展する頃にはメインが終わっているので意味が無い。
進軍バトルは輪を掛けて微妙で、無味簡素過ぎてなんの意味があるのか分かんない……。どちらも、やり込み必須とかだったら面倒臭かったですが、レベルデザインの低難易度に救われている感があります。
完全放置していた進軍バトルが突然ラスボス前になって強制されますが、一切育成とかしてなくても問題ないんやなって。
作り込み
- 目立つバグはない
- 雑魚戦が大味で飽きる
- キングダムの発展が遅い
- お使いに終始するサブクエスト
- ダンジョンの作りが概ね悪い
- 過剰だけど必要なナビゲーション
目立つバグは無いのですが、リソースを分散させた結果、色々と足りてないゲームにはなっています。戦闘部分の下地は良いのに、ボリューム不足でせっかくの長所を生かし切れていません。
また単調過ぎるサブクエストの多さ、ナビゲーションだよりな探索など、RPGとしては課題が残ります。中途半端に自由度を上げてしまったのが原因という気はします。
敵ユニットの設定レベルなどを見るに、開発側はサブクエストを積極的に埋めてくれることを前提にしていたようですが、肉付けがなさ過ぎてモチベーションが下がること請け合い。
キングダムモードが解放されてからは、あらゆる敵のネームが真っ赤な状態で、途中加入した味方のレベルが異様に高い。ラスボスが無駄に堅くて、倍率の低い攻撃だとダメージ1とかになってましたが、もうごり押しで倒しました。
開発側はどんだけサブクエをやらせたかったんだよと。
ファストトラベルの速さなど、技術面では作り込まれている反面、遊びを提供するという意味ではお座なりになっています。
総括
どの部分にも未完成感が漂うゲームではあります。よく出来ている部分と、そうでない部分の格差が大きく、序盤のガバさが酷くて心が折れそうになりますが、それ以上悪くなることはないのが救いでしょうか。
恐らくはプロジェクトが大規模化しすぎて収集が付かなくなったタイプ。個々の要素をどう調理するかのさじ加減がかなり難しかったのではなかろうか。
登場する守護獣、他国の数が、世界全てとしては少なすぎますし、元々の計画だともっと大規模になる予定だったのかなぁ……とは思います。発売を2ヶ月延期して、3月末の決算の関係からこれ以上の延期は無理だったのか、無難な形になっていますが、どことなく未完成感があります。
なんか、そのうち完全版が出そうな雰囲気はありますね。
いやおもしろいけどね。俺は王国作ってからだんだんわかってきておもしろくなったけど。でも後半になるにつけサブクエがたまってきてうんざりしてきたけど。
どのレビュー見ても文句言うのだけ一人前だな
すいません
次にやるRPGってもう決まってるんですか?
純粋RPGだと、夏に発売されるオクトパストラベラーは確定で買うと思います。ゲーム全体だと次買うのはGod of Warで間違いないですけど
え~
ほー