2020年ももうすぐ終わるので、年内に起こったゲームにまつわる大ニュース集その1(その2があるかは分からない)。
バカでかい近未来の街をオープンワールドの世界で再現しようという野心的なプロジェクトで期待を集めたけど、なんかトラブル続きの「Cyberpank2077」について。
PC版だと良くある未完成リリースのオープンワールドって感じなんですが、同時で移植作業をするには7年前のハードは厳しすぎた。
オープンワールドの弊害
オープンワールドというレベルデザインが世に広まってから10年くらいになりますが、それをゲームとして、ポジティブな結果として、形にするのは難しいです。マインクラフトのようなサンドボックス系ならまだしも、RPGなどになると途端に難易度が跳ね上がります。
これ、オープンワールドにする必要ないよね……ならまだましで、開発プロジェクトがとん挫したり、計画通りに進まなくて未完成になったり、完成してもオープンワールド要素がマイナスの影響しか生まなかった例が少なくありません。
Cyberpank2077は野心的なプロジェクトではあったし、形にすれば、歴史に残るゲームになったでしょうが、風呂敷を広げ過ぎ、着地点が分からなくなってしまったゲームの一つです。
あまたのオープンワールドがそうだったように、作業工程が多すぎて、労力と時間が足りていないかった。それを反映するように、様々な問題やバグも多くて、私も開始1時間で進行不能の奴に出くわしました。
進行に関わらないような細かいフラグ処理、表現のバグはもっと多くて、この手のオープンワールドゲーではよくあるバグシミュレーターとしての側面が色濃く出ています。バグまみれなのには慣れているので、悲しいことに耐性があったりしますが……。
Cyberpunk2077はこのような状態でリリースされたゲームなので、細部の作りにまでは手が回っておらず、ユーザービリティや、ゲームバランス、リプレイ性を確保するまでには至っていません。コンテンツの不足を除くとしても、60%の状態で出てきたゲームという印象です。
メインハードのPCですらこの状態なので、移植が難航しているPS4などのコンシューマでは更に厳しい状況になっていたようです。
PS4の限界
時間が経つのは速いもので、PS4がリリースされてから早7年も経ってしまいました。当時のゲーミングPCにすると、ミドルローの性能だったPS4もすっかり時代に取り残されてしまいました。
現行のPCだとGTX1650 = PS4 proが下限ラインなので、それ以下のGPUを新品で手に入れるのが難しい状況になっています。
もっとも影響の大きいGPUに関して、ざっくりとまとめますと、
性能 | 解説 | 比 |
---|---|---|
Switch | 2014年のGTX750の半分程度の性能 | 0.3 |
PS4 | PS4は2014年のミドルローGPUであるGTX 750Tiと同等くらいの性能を持ちます。 任天堂Switchの3倍程度の性能ですが、それでも性能が低すぎて、現行のグラフィックカードでは同等品が存在しません。 | 1 |
GTX 750ti | ||
GTX 660 | ウィッチャー3 PC版の最低環境。前世代のGTX750tiよりも少しだけ高性能。 | 1.2 |
PS4 pro | GTX780はCyberpank 2077の最低動作環境。PS4proと同等クラスの性能を持つGPUで、2014年のハイエンド(最上位モデル)として登場しました。 現行のロークラス(下位モデル)GTX1650とは同程度の性能で、現在のゲーミングPCの最低ラインになっています。 | 2 |
GTX 780 | ||
GTX 1650 | ||
Xbox OX | GTX 1060は2018年にミドルクラスとして登場したGPUで、STEAM統計で最も使用率が高い(4%)。 Xbox One Xと同等水準の性能。 | 2.4 |
GTX 1060 | ||
PS5 | Cyberpnak2077高設定のための推奨GPU。レイトレなどの機能差があるものの、PS5と大体同じ性能。2019年のアッパーミドルGPU。 | 4 |
RTX 2060 | ||
Xbox SX | アンリアルエンジン開発元のEPIC謹製フォートナイトで高設定4K出力なので恐らくはこの辺。 | 5 |
RTX 3070 | 4k推奨。2020年のハイクラス。PS4の7倍、PS5の約2倍の性能。 | 7 |
同開発元のウィッチャー3から7年も経っているので、順当に性能を引き上げてきたというのが正直な印象です。ウィッチャー3の時点でPS4だと動作ギリギリラインだったのが、Cyberpank2077ではPS4proで動作ギリギリラインへと変わっています。
なのでベタ移植をしてしまうと、そりゃPS4じゃ動かないわ……となるわけで、グラフィック設定を下げる以外の、何かしらの調整が必要になってきます。代表的な手法としては、3Dオブジェクトを削減するとかですね。
街の中の通行人を減らしてはいますが、高層ビル+迷路みたいな街なので、ポリゴン数が無暗に多い。これをPS4の処理レベルまで落とし込むには相当な苦労が必要だと思います。
同開発はウィッチャー3を、最低環境の4分の1しかないSwitch向けに移植したこともあります。時間さえあれば、最低環境の半分であるPS4に移植することも可能だったでしょうが、まだバグ取りも終わっていない段階で進める話では無かった。
売り上げとしてコンシューマを捨てきれなかったのと、過去にSwitch移植という関門を乗り越えたことがあるゆえの慢心だったのか……。開き直りのPV詐欺を決めていたような気もしますが、年末最後の騒動へと繋がってしまいました。
返金騒動
結果的にPS4版のCyberpank2077は返金を受け付けることになりましたが、開発販売元が急に決めたのか、Sonyに対しての連絡前に発表してしまったようです。
私が当事者ではないため、このあたりの事情が良く分かりませんが、返金を受け付けると言っていたのに、Sonyからは却下されるというたらい回し状態になっていた模様。
返金にまつわる問題は解消されたとは思うのですが、Cyberpank2077がPlaystation Storeから消えてしまいました。パッケージの流通も止められたでしょうし、実質ディスコンだと思われます。
返金という形になっただけ、まだ会社の資金に余裕があるってことですし、PC版の売り上げだけでも元は取れているようですが、会社の評判に傷をつけたのは間違いないです。
PS5版は現在開発中で、PS5のスペックなら1080pで普通に動く筈なんですが、ゲームの完成度がいまいちなので、状況が落ち着いてからでも遅くはないかもしれません。
統計から見えてきたこと
余談ですが、Cyberpank2077の開発元であるCD project REDが、各種統計を発表しています。
私も意外でしたが、PC版の比率が予想以上に多いです。まぁ、日本のPC普及率が飛びぬけて低いのは知っていましたが、世界レベルだとPCゲームって普及してるんだなぁって、改めて思いました。
またPS4やXboxは今だパッケージ販売の方が圧倒的に多いようです。PC版のDL販売率が100%なので、上下の比率を差し引きすれば、パッケージ販売の割合が見えてきます。
PS4とXboxのDL販売率は35%であり、まだまだパッケージが主体なんだってことが分かります。まぁ公式ストアの値段が強気すぎるのと、小売りとの付き合い、中古市場の存在が大きいですね。
PC版だとそもそもの販売価格が安い(公式以外でも売ってて6000円前後がデフォ)、中古市場が死んでるので、私も10年くらい前のMW2を最後に、PC版のパッケージとか買ってないです。PS4はパッケージで今だ買ってますけどね(Amazonの方が安いし)。
FO76が最高にクソ(発売当時)だったからサイパンくらいじゃそんなに…って感じはありますけど、それはまあ慣れてる人目線であってコロナ渦も相まって普段やらない人が流行りで手を出したとしたらそりゃあねって
いうてもオフソロゲーなんでいつやっても同じ味が楽しめるゲーム。
こういう時は寝かせて人がいないと遊べないゲームやったらええやんって思う
PS3時代のベゼスタゲーやBF3、BF4を知ってる立場からすると話で聞いてる分には今回のサイバーパンクはだいぶマシなんですよね
PS3版スカイリムにフリーズ地獄でHDD壊されたこともありますし
ゲーム側が必要とするスペックの上がり方もあの時代と比べるとゆるやかな気がするし、昨今のAAAタイトルを開発するコストやリスクを考えるとユーザー側もある程度許容する必要はあるんじゃないかなって…
まだマシってのは間違いなくそうですね。下地としての可能性はあるし、今後のパッチで完成度を高めれば、普通に良ゲーになれるポジションなので、過剰に叩かれ過ぎだってのは分かる気がします。
とはいえ、未完成で出して良いか、悪いかで言えば悪いことですし、PS4のカジュアルユーザーからすると、前代未聞のことだったと思うんですよ。やっぱりカジュアル層を大事にしていかないと、ゲーム産業って立ちいかない部分がありますし、結果論としてはPCだけ先行にして資金回収すべきだったんでしょうね。