- ストーリー:4点
- グラフィック:7点
- サウンド:6点
- ゲーム性:8点
- 作り込み:7点
- 10点: 史上最高(100年に1度)
- 9点: 10年に1度の水準
- 8点: 年間トップクラス
- 7点: 十分におすすめできる
- 6点: 普通水準で、おすすめできる
- 5点: 普通水準
- 4点: 明らかな失敗が見て取れる
- 3点: 良い部分がほぼない
- 2点: 失敗では済まされない
- 1点: 史上最悪(100年に1度)
概要
ナンバリングの新規タイトルとしては約20年、リメイクを含めると5年ぶりになる2Dメトロイドの新作ゲームです。
基本的には2D横スクロールのアクションなのですが、入り組んだダンジョン内を探索する要素が加えられており、海外を中心に熱心なフォロワーがいるので、同系統の作風をメトロイドヴァニアと呼んだりします。
主人公のサムスはスマブラの影響でそれなりに知名度はある筈。
メトロイドシリーズは派生作品もあるので時系列が分かりにくいのですが、本作は主人公サムス・アランの冒険譚では最も後の時代を描いており、ゲーム内容も過去のシリーズの集大成的な側面を持っています。
過去の要素を踏襲しつつも近代化が施されており、アクション部分の出来栄えも、探索部分の出来栄えも高い。物語性が薄いなどのやむを得ない弱点こそあるものの、ゲームプレイの面白さが突き詰められているのが最大の特徴です。
普段ゲームをしない人には難易度が高めではあるものの、ジャンルの入門作としてお勧めできるクオリティに仕上がっています。2021年度のゲームではお勧めの第一候補に挙げられる作品だと思います。
以下、ネタバレ要素があります。
ストーリー
シリーズっぽさはあるがあまりに薄味
元々、ストーリー性が強いゲームでも無かったのですが、今作についてもかなり薄味になっています。明確なストーリーラインこそあるものの、無言のアクションシーンと、味方AIが一方的にしゃべるテキストが大半なので、緩急を持ってユーザーを牽引するほどの力はないです。
内容についてはシリーズの伝統を踏襲しています。時系列的にはもっとも後発のメトロイドということになりますし、サムスの出生についても触れられているので、あくまでファン向けという側面が強いです。
ユーザーを驚かせるためのトリックも使われていますが、シリーズ経験者じゃないと刺さりにくいかと思います。あくまでゲームプレイが主であり、それを補助する副菜という認識で良いかと思います。
グラフィック
過不足なくメトロイドの世界を表現
近年のリッチなシェーダーを持つゲームほどではないですが、必要十分を満たした手堅い3Dグラフィックを持ちます。Nintendo Switchのスペックを考えると十分に検討していると言えるでしょう。
絵作りについては旧来のメトロイドを踏襲しており、目立った破綻もありません。メインキャラクター、生物系モンスターのデザインについても新旧合わせて良く出来ています。元々世界観が固まっているゲームなので、絵作りにおいては続編故のアドバンテージがあります。
基本的には2Dなのですが、各種のイントロムービーのほかに、戦闘中のQTEなどに3Dへと移行します。ゲームに迫力を与えており、QTEの持つやぼったさを緩和する良い働きをしています。ムービーシーンの繋ぎが急に感じる部分も結構あるのですが、ゲームプレイの邪魔にならないようにという意図なのでしょう。
ムービー系はプレイヤーへのヒントも兼ねているので、ゲームプレイがあくまでメインであるという一貫性があります。
強いて残念な点をあげるなら、敵ロボットのE.M.M.Iのインパクトが弱く、キャラクター性に乏しいのが欠点でしょうか。劇中ではサムスを追い詰めるストーカーの役割なんですが、見た目からしてホラーっぽさはないし、量産機っぽすぎて強敵感にも欠けます。
まぁ銀河連邦が送り出した探査ロボットなので見た目からしておどろおどろしいというの変なんですが、もうちょっと工夫が必要だったかと思います。
サウンド
目立たないけどゲームの雰囲気を助ける
BGMについては、伝統的なメトロイド楽曲のアレンジと、新曲の組み合わせになっています。
スーパーメトロイドのようなインパクトや、何度も聞き返したいと思うようなBGMはありませんが、ゲームの雰囲気を補助するという点ではしっかりと仕事をしています。
一応、フルボイスなんですがそもそも会話という会話がほとんどないです。
ゲーム性
優れたアクションと戦闘、そして配慮が行き届いた探索
かなり高水準なクオリティを持っており、戦闘と探索をバランス良く併せ持った2Dアクションになっています。
主人公キャラクター「サムス」の操縦性、アクションの軽快さが優れているので、アクションゲームとして非常に手触りが良いです。過去作に比べてボタン数が増えたこともあって、直感的に色々とできるようになったのも追い風です。
敵の動き合わせて発動するパリィ技のメレーカウンターは、受付時間も長めで射撃主体の中に良いアクセントになっています。ボス戦でもカウンターが決まれば大きなリターンが取れて、スキルアップの実感へと繋がっています。
敵の攻撃は中々に強烈でHP残量が激減しやすいのですが、カウンターを決めれば大いに回復します。緊急回避のフラッシュムーブと合わせて、ボス戦をスピーディーに、かつダイナミックにしています。QTEが随所にあるのに、QTEと感じさせない自然さも良い。
反面、アクションゲームに不慣れな人には少し厳しいデザインかもしれません。歴代でも戦闘が最も難しい気がしますし、難易度選択などの救済要素もありません。本作のボス戦闘は死に覚えゲーテイストなので、慣れたら簡単だったとなるのですが、小学生低学年などには厳しめかもしれません。
もう一つの核である探索要素については未経験のプレイヤーでも優しい作りです。進路誘導が非常に親切ですし、外れルートを選んだときには、早期に外れルートだと分かる場合が多いです。後半になると進行ルートが2択になる場合もありますが、極端に遠い場所になることもないし、過去作に比べて格段に遊びやすくなりました。
意味深なアイテム、破壊できないブロックをちらっと見せておいて、後から回収するというのが基本になっており、軽度の謎解きでほど良い達成感を感じられます。
少し残念だったのは、E.M.M.Iゾーンが食傷気味だったことでしょうか。E.M.M.I側も徐々に強くなっているのですが、それで新しい解法が追加されたわけではなく、もうちょっと削っても良かったかなと。
とはいえ、E.M.M.Iゾーンがゲームのアクセントになっているのは間違いないですし、全体を通して見れば高水準のゲームプレイに仕上がっていると思います。ジャンルの草分けとしての名に恥じない出来栄えです。
作り込み
革新性はないが優れた完成度
私の初見プレイがゲーム内カウントで8時間と数分。ゲーム中の表示はロード時間などを含んでいないとは思いますが、恐らくはリトライしたときの時間は巻き戻っている筈。盛大に迷ったり、敵で詰まった分を含めても10時間程度でエンディングに到達したと思われます。
2週目としてハードモードがあったり、アイテムコンプ報酬がおまけ程度にあったりしますが、多くのプレイヤーにとっては1週目のラスボスまでが全てでしょう。決してプレイ時間は長くはないのですが、密度はかなりあるので満足感は高いです。
むしろE.M.M.Iゾーンの食傷感を見ると、質と量の限界ギリギリのラインを攻めたと思います。
新しい発見もあるので、自然と2週目に挑戦したくなる作りです。
かなりゲームオーバーになりやすい内容なのですが、リトライしやすいのでプレイヤー側の負担も少ない。特に序盤の間は導入ムービーが攻略のヒントになっていたり、新アイテムのチュートリアルも丁寧だったりで、嵌ったプレイヤーを逃がさない作りです。
後半になると結構きつい相手が増えてきますが、攻略さえわかれば簡単になるという点は一貫しており、トータルでの品質管理は非常に優れています。世界観を受け継ぐ続編としても十分な水準であり、プレイヤーの目線を忘れません。
強いて気になる部分を上げるのなら、マップからマップに移動するときのロードが長く感じられることでしょうか。人を選ぶ部分は消しきれないですし、ゲームプレイ以外の部分でちょいちょい引っ掛かりがあるにはある……と言った感じ。
総括
ジャンルとしての革新性はないけども集大成。人を選ぶ部分は散見されるものの、確かな作り込みを感じられる良作です。最近はGOTYの信頼性も薄れていますが、その候補に挙げられることも不思議ではないです。
メトロイドシリーズの作品としても、良好なアクション性を鑑みるなら、スーパーメトロイド以上の評価をしても良いかもしれません。
私は初代メトロイド以外はプレイ済みですし、先々月にNintendo Onlineのスーパーメトロイドを予習しましたが(10年ぶり、4週目くらい)、後発故のスケールアップを感じさせます。この操作性や親切さでスーパーメトロイドをリメイクして欲しいところですが、本作がヒットすればその可能性もあるのかな……と(フュージョンが先な気もしますけども)。
2021年度のゲームとしては個人的に一押しの作品になりました。
全クリした後に読ませてもらってます。
自分は、探索が少し難しかったかな〜。隠しブロックとか
細かいけど「メトロイドヴァニラ」じゃなくて「メトロイドヴァニア」ですよ
メトロイドと悪魔城ドラキュラ(海外タイトルCastlevania)をくっつけた造語なので
どーでもよくないか?