- ストーリー:5点
- グラフィック:6点
- サウンド:5点
- ゲーム性:4点
- 作り込み:5点
ゲーム概要
アウトラスト2は近年の作品では優れた完成度を持っていたホラーゲーム「アウトラスト」の第二作。
前作、及びそのDLCにあたる「アウトラスト」はホモの巣窟と化した精神病院を舞台に、バリエーション豊かなサイコパスとの追いかけっこが楽しめる良作ホラーです。
ゲームシステムが単純なのと、エログロが強いのでその分は万人受けしない部分ではありますが、世界構築の上手さもあってまだ窓口の広い作品に仕上がっていました。
延期を挟みつつも遂にリリースされた「アウトラスト2」は前作と同一世界の物語ですが、物語の舞台はカルト宗教が作り上げた村へと変わっています。元ネタは千人近い被害を出した集団自殺カルト「人民寺院」でしょう。
人民寺院はカルト + 共産主義というファンタスティックな合わせ技の実在した組織です。
物語のメインテーマも前作にあったシンプルな恐怖から罪悪感へと変わり、より宗教色の強い内容にシフトしているので、ナンバリングタイトルの続編としては軸がずれました。
前作に登場したエキセントリックな変態たちが登場しないこともあり、エンターテインメント性も薄れています。
物語の骨子は前作の設定を引き継いでいるのですが、少々様変わりした続編になっています。
ストーリー: 5点
- ホラー感は希薄
- 敵キャラクターが没個性
- 特に驚きの無い展開
- カタルシス不足
- 構成に難有りで説明不足
- ホモが足りない
前作からパワーダウンした変人たち
前作の直球タイプからは方向性が変わっています。それによって得たものもありますが、失ったものも多い……。
ホラーの続編は、前作でタネが明かされているので、どうしても難しい部分があるんですが、題材が恐怖から罪悪感に変わっていて、ホラー色は相当に薄れました。
前作に引き続き宗教組織が出てきて、そのトップも序盤から明示的に示されているのですが、前作のマーティン神父に比べて、本作のクノース神父は露骨に敵対している上、やっていることが俗物的に過ぎます。
肥満体で強姦魔。子供を虐殺したり、人質や拷問を使って従わないものを攻撃したり、醜悪な敵としての描写が多すぎたので、恐怖よりも怒りなどが先行します。描写がただのゲスなので、「さっさと殺そうぜ。日が明けちまうよ!」と思ってしまう。
ただの非人道的な独裁者で、追跡してくるのはその取り巻き達が殆ど。アウトラスト1にあったコミカルな狂人像が失われています。
ターミネーターシリーズで例えるなら、T-1000型に比べて魅力が足りないT-Xが出てくるターミネーター3みたい。確かに追いかけてくるけど、近寄りがたい変態感、ヤバさが薄れているのでなんか白熱しません。
宗教色が強いプロット
情報が出てこない回想シーン、なんの意味も無い対立構造など、シナリオ構成にも難があります。
モチーフとしてキリスト教の内容を大きく取り扱っていますが、それに縛られすぎてエンターテインメント性に欠けました。もっと自由に発想して、組織の内ゲバを上手く利用すれば、もう少しドラマチックな展開にできたのでは……と思います。
独立した作品として成立させようという判断なんでしょうが、前作に登場したモーフォニックエンジンの存在を明示しなかったのも悪かった。
モーフォニックエンジンを簡単に説明するなら、心の闇をエサに成長する幽霊を生み出す科学装置であり、女性がその被験者になると想像妊娠を起こします(これは前作にも存在する設定で、精神病棟が男だけのパラダイスになっていた原因)。
本作で起きている事件は、このモーフォニックエンジンで聖書の世界を踏襲する実験であり、新たなる「ワールライダー」の誕生を描いています。主人公や神父を含め、村の人間は全てがその支配下にあり、組織の人間が裏で暗躍していたことが文書で残っています。
聖書の内容を聞きかじったことのある人間なら、まぁそうなるだろうな……と予想が付きますが、メインギミックの着地に前作の知識が必要だし、回想シーンが多すぎるし、表面をなぞられたような疎外感を覚えるプレイヤーが多いでしょう。
エイリアンシリーズや、リングシリーズみたいに、続編でまるきり方向性が変わって成功している例もあるのですが、本作は受け手を選びすぎるピーキーな構成なので、色々と練り直す時間が必要だったなと思います。
グラフィック: 6点
- ほぼ前作水準のグラフィック
- ファンタジックな表現
- バリエーションの広がった景観
- 暗くて景観を活かせてない
- FOVが低い
屋外のフィールドが中心になったことで、ロケーションに幅が生まれましたが、暗くて分かりにくいことで生かしきれていません。
またイベントのカメラアングル、演出面にはもう少し工夫が必要でした。
サウンド: 5点
- 耳に残るスコアがない
- ちょっと自己主張が激しいBGM
- BGMなのか効果音なのか混乱する
ゲーム性: 4点
- 敵のテレポートは減少
- 初見殺しが多い
- チェイス、サバイバルの出来が悪い
- 無駄になっている回復
チェイス、ステルスの調整不足が見受けられ、前作でも低かったゲーム性が更に低下しています。
屋外になったことでチェイスの進路が分かりにくいのも災いしました。
今作からは回復にアイテムを消費するようになりましたが、サバイバル要素の薄い一本道のゲームなので、それが役に立っているとは言い難いです(まぁバッテリーもそうなんですが)。
追いかけてくる敵の個性も弱いので、チェイス部分もイマイチ白熱しないです。
作り込み: 5点
- 目立つバグなし
- シナリオの受けが狭すぎる
- 視認性が悪い
- 難易度調整に安定性がない
- 続編としての問題点
ゲームプレイの難易度は前作より明らかに増していますが、それに利点が感じられず、ゲームとしてまとめ損ねている印象があります。
前作アウトラストはゲームプレイが単調過ぎるきらいはありましたが、それが物語への没入感を高めていました。本作では下手に捻ろうとしたせいで、理不尽な即死や拘束が増え、マイナスの影響を生み出しています。
シナリオ面も色々とまずかったのですが、総じて続編として上手く形にできなかった。
とりあえず形にはなったものの、ブッシュアップが足りていないゲームでした。
関連の人気投稿