中国 「テンセント」 軍事企業に指定 (どうなるライオットゲームズ、ポケモンユナイト、EPICゲームズ)

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「テンセント」は中国のネットワーク事業を手掛け、ゲーム界隈においても大きな存在感を持つ企業です。国内では完全子会社のライオットゲームズが有名で、様々なゲーム企業が関係を持っています。

そんな「テンセント」ですが、アメリカ国防省から軍事企業認定を受け、関連企業との取引が大きく制限される可能性が出てきました。

Tencentゲームズがリリースしている「PUBGモバイル」や「Cod モバイル」、子会社のライオットゲームズがリリースしている「League of legend」や「Valorant」などは、サービス継続の危機に直面しています。

日経:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN070900X00C25A1000000

テンセントとは?

テンセントは中国の広東省に本拠を持つネットワーク企業です。様々な事業を持つ複合企業で、ゲーム事業者では最大手の一つです。

中国共産党による独裁下によって、中国というのは官民の境界がありません。大手の中国企業というのは、基本的に政府の出先機関なわけです。

テンセントの完全子会社であるWechat社は、過去に個人情報を不当に取集し、中国政府に売り渡していた疑義を持たれています。2020年には大統領の行政命令に署名され、あわや取引禁止の直前まで行きました。

このように古くからアメリカ政府から敵視されていたテンセントですが、今度はアメリカ国務省が軍事企業として認定し、関連企業に取引停止を要請すると大手マスコミが報道しました。

過去には中国の通信企業大手「ファーウェイ」がアメリカ商務省の動きによって禁輸措置をくらい、欧米の家電市場から締め出されています。日本は禁輸措置こそ取らなかったものの、ファーウェイ製品は緩やかな形で大手の売り場から消えていきました。

中国の動画共有アプリの「Tiktok」もいよいよアメリカではサービス停止が迫っています(同月19日から禁止)。

テンセントについても上記のような措置が取られるならば、新年早々からゲーム業界を揺るがす事件となりそうですし、テンセントのゲーム事業部は元より、傘下の子会社、資本提携している企業にも大きな影響が出てきそうです。

影響を受けそうなゲームたち

ライオットゲームズ(LOL、ヴァロラント)

アメリカに本社を持つライオットゲームズは、

  • League of Legend
  • Valorant

――で有名なゲーム会社ですが、テンセントに買収された完全子会社です。現時点では一番、国内で影響が大きそうな立場になります。

流石にゲーム事業を即座に中止とまではいかないでしょうが、このままテンセント傘下であることには大きなリスクが伴います。「Tiktok」がアメリカ国内で禁止になるのも秒読み段階にあるので、ゲームだからと言って許さるのかは怪しいです。

テンセントと関係のない企業に売却しないと、アメリカにおけるサービス継続が不可能になる流れも十分に考えられます。

TIMI(ポケモンユナイト)

「ポケモンユナイト」はテンセント傘下のTimiが開発しています。こちらもライオットゲームズと同じ立場なので、開発スタジオの今後がどうなるかという分水嶺に立たされています。

Timiが制作しているゲームは他に「Call of Duty モバイル」などもあり、権利を移管するにも大変そうなので、現在のユニティが置かれている状況、売り上げによっては、このままサービス終了の流れになりそうな予感も……。

EPIC(フォートナイト)

EPICは創設者が60%の株式を保有する会社ですが、株式の40%をテンセントが保有しています。いわゆるグループ企業になります。

テンセントへの締め付けが大きくなれば、現在のような資本提携も解除せざる得ず、テンセントが保有している株式40%をEPIC自身が買い取ることになるか、別の会社へと移譲、売却される流れになるかもしれません。

なお先の12月にはEPICに出向していたテンセントの役員2名が独占禁止法に抵触するとして、改善命令を出されており、立て続けにテンセント関連で揉めたことになります。

EPICが有するアンリアルエンジンは、様々なゲーム開発で広く使われているので、フォートナイト以外でも大きな影響が出てくるかもしれません。

UBI 他

昨今、株価が滅茶苦茶に下がっているフランスのUBIソフトですが、何度かテンセントが買収するという話が出ています。UBIは否定的な態度を取っていますが、いよいよ会社としてのデッドラインが迫りつつあるのが現状です。

しかし、テンセントがアメリカ市場で終わるかもしれない現状では、買収に乗らなかったことで、首の皮一枚で繋がったかもしれません。株価対策で口裏を合わせていただけで、実は後ろで買収が進んでいた場合には、CEOが頭を抱えている可能性もありますが……。

なおUBIソフトの株式の一部は、テンセントが保有していますが、比率はそこまで多くないです。むしろ日本の会社の方がよっぽど多かったりします。例えばフロムソフトは18%がテンセント資本だと言われています。

アメリカ側の対応が今後、どの程度まで厳格になるのか不明ですが、日本の会社も無関係でいられないかもしれません。

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