2023年度にスタンダードが3年サイクルに変更され、2年ぶりとなったローテーション落ちカードたちの雑感まとめです。
現在でも使われている、あるいは過去に話題になっていたカードに絞りましたが、「神河 輝ける世界」と「ニューカペナの街角」に偏っているような気はします。
昨今のクリーチャーインフレが凄いので、3年通して使われ続けたカードというと意外と少なく、《策謀の予見者、ラフィーン》《熊野と渇苛斬の対峙》を筆頭として、後は《かき消し》《放浪皇》、ネオ神河の伝説土地サイクル……あたりでしょうか。
なお、途中で退学処分になったカードは4種類存在しました。
白
放浪皇

神河で登場した《放浪皇》がついに退場します。登場初期から広く使われており、環境末期のスタンダードにおいては使用率が大きく低下しましたが、青白コントロールがフィニッシャーとして採用しています。
婚礼の発表

当初はあまり注目されていなかったものの、ミッドレンジ環境においてはミラーに強いということで、2023年あたりまでは広く使われていました。
2024年度には環境の高速化から採用デッキが減少しており、現在となってはミッドレンジでも採用率が振るわない状況になっています。
スレイベンの守護者、サリア

イゼット天啓が全盛期だった2022年には広く使われていた再録カードです。
現在はマスト除去の軽量生物が増えすぎて自身も除去を採用せざるを得ない状況になっていることから、偶に遭遇する白単人間(tier3)にちらほら採用されるに留まります。
輝かしい聖戦士、エーデリン

2022年のローテーション前には白単の主力カードとして、それ以降はエスパーミッドレンジ、エスパーレジェンドに搭載されていた3マナクリーチャーです。
その後、黒の優秀な3マナ圏が増えたことにより採用率が低下、現在は白単人間(tier3)に採用されるに留まっています。
青
記憶の氾濫

リリース当初から強いと言われていたものの、環境的にコントロールがいなかったので、かなり遅咲きになってしまったカードです。
2022年においてはイゼットドラゴンのメインに少数、サイドに少数みたいな状況で、4枚フル投入されるデッキが目立つようになったのは2024年になってからです。
環境末期においてはアゾリウスコントロールや、ティムールアナリストなどに採用されています。
渦巻く霧の行進

リリース当初こそあまり注目されていないカードでしたが、「ニューカペナの街角」の登場以降でジェスカイ日向がTier1になったことから、《暁冠の日向》を守るカードとして注目されました。
その後、青単ジンなどにも採用されており、現在はバント毒性における除去回避、《敬慕される腐敗僧》と組み合わせてのフィニッシャーとして使われています。
かき消し

「ニューカペナの街角」にて登場した条件付きで4マナ要求になるソフトカウンターです。
犠牲を使うとカードアドバンテージを失いますが、致命的な呪文をこれで回避できるなら安いもの。リリース当初から様々なデッキで採用されており、後に禁止措置を受ける《鏡割りの寓話》への回答としても重宝されました。
現在、《喝破》の登場によりエスパーミッドレンジ、アゾリウスコントロールなどからは抜けましたが、ディミーアミッドレンジでは未だに主力のカウンターです。
黒
墓地の侵入者


カードパワーが低めな「真夜中の狩り」では非常に採用率が高い当たりレアで、「エルドレインの森」登場までは黒系の様々なデッキに採用されていました。
「エルドレインの森」からはライバルの増加から採用率が低下していき、現在は容易にアドバンテージを稼げる《分派の説教者》をメイン採用するのが主流です。
食肉鉤虐殺事件(退学処分)

今回ローテーション落ちするカードの中では真っ先に禁止措置を受けた1枚なんですが、《黙示録、シオルドレッド》の代わりにBANされた側面が拭いきれないのが正直な感想です。
禁止を受けたときですら、メタ的な優位性がないから採用率が下がっていたわけで、放置していても問題なかったと思います。また後の環境変化によって、ドメインランプすらTier2に陥落している現在を見ると、《食肉鉤虐殺事件》は残っていた方が健全だったとも思えます。
ボロス召集がトップメタとなっている今なら、メインから3枚くらいは採用されそうです。
絶望招来(退学処分)

黒単ミッドレンジ、ラクドスミッドレンジに採用されていましたが、《鏡割りの寓話》と同時に禁止措置を受けました。
当時、禁止措置が最も疑問視されたカードで、《鏡割りの寓話》や《勢団の銀行破り》が生み出したミッドレンジ環境の流れ弾という印象は未だに強いです。
1対3交換ができると言っても、相手にクリーチャーの選択肢があって、クアドロプルシンボル5マナ。《鏡割りの寓話》亡きあと宝物がポンポン出せなくなるのに、無理して使われたかも怪しいです。
赤
ヴォルダーレンの美食家

「神河 輝ける世界」のリリースからラクドスサクリファイスの主力カードとして使われるようになりました。サクリファイスの衰退と共に採用率が下がっていきましたが、「エルドレインの森」によってボロス召集が成立すると、再び採用率が上昇しました。
現在、ボロス召集がTier1なので、その中核パーツの1つです。
熊野と渇苛斬の対峙


赤単や、ボロス、グルールなどのアグロデッキで使われている高性能エンチャントです。1枚で1点のダメージ、3点分のクロックを生み出すので、1ターン目に出すと非常に強力。
3年に渡って広く使われていましたが、《鏡割りの寓話》が禁止されたと同時にアルケミーで弱体化措置を受けるなど、公式からはかなり危険視されていました。
鏡割りの寓話(退学処分)


パイオニアなら主力、モダンでもギリギリ使われているパワーカードが《鏡割りの寓話》です。スタンダードが3年ローテーションに変更された後の禁止改定でBANされました。
スタンダードに残すとメタが大きく変わる1枚で、これの禁止によって将来性を失ったデッキも多かったと思います。
迂闊に禁止を出すべきではない派のプレイヤーでも、これに関してはある程度納得しているでしょうし、今残っていたらメタが大きく変わるだろうと思います。
緑
装飾庭園を踏み歩くもの

「ファイレクシア 完全なる統一」にて《偉大なる統一者、アトラクサ》《力戦の束縛》が登場したことにより、一気に存在感が増したランパン系生物です。
「エルドレインの森」で《豆の木をのぼれ》、「イクサラン 失われし洞窟」で《魂の洞窟》を得たことによってドメインランプがTier1に名乗りを上げたので、環境での遭遇率もかなり高いものとなりました。
現在は環境の高速化によってドメインランプが数を減らしているので、《装飾庭園を踏みあるくもの》を見かけることもめっきり減りました。
気前のいい訪問者

エンチャント系デッキのキーパーツで、2022年のローテーション前には、ナヤルーンをTier1に押し上げる原動力にもなりました。
ローテーション後にはセレズニアエンチャントのキーカードとして利用され、「機械兵団の進軍:決戦の後に」までは比較的に見かけるカードでした。
現在はセレズニアエンチャントが厳しくなったので、ほぼ専用パーツである《気前のいい訪問者》も見かけなくなっています。
産業のタイタン

「ファイレクシア 完全なる統一」にて《偉大なる統一者、アトラクサ》が登場するまでは、ランプ系のデッキや、リアニメイト系のデッキで使われるフィニッシャーでした。
現在は《偉大なる統一者、アトラクサ》《原初の征服者、エターリ》《宝物庫生まれの暴君》などがいるので、《産業のタイタン》を採用するデッキも殆んどありません。たった2年の間に巨大生物がどれだけインフレしたのかを表す一例となっています。
マルチ
策謀の予見者、ラフィーン

「ニューカペナの街角」にて登場して以来、Tier1~2を維持してきたエスパーミッドレンジの主力カードです。打点の上昇、デッキの安定化を同時にできるとあって、多少の上下はあっても、絶えず使われてきたこの時期のスタンダードを象徴する1枚だと言えます。
その一方でパイオニア、エクスプローラーでは殆んど使われておらず、《黄金架のドラゴン》に続く、スタンダード番長になりそうです。
税血の収穫者

2マナ3/2という優秀なスタッツに加え、タフネス2までを排除できる除去能力をもった強力なウィニークリーチャーです。
《鏡割りの寓話》との相性が抜群だったこともあり、それが禁止されるまでは、ラクドスミッドレンジ、グリクシスミッドレンジに採用されて、親の顔より見たクリーチャーでした。
《鏡割りの寓話》禁止以降でもTier2、Tier3のラクドス系デッキで引き続き採用されており、パイオニア、エクスプローラーのラクドスバンパイアでも主力なので、スタン落ちしても少なからず使われることでしょう。
鬼流の金床

リリース当初からラクドスサクリファイスに採用され、Tier2~3デッキの主力パーツとして環境をウロウロしていました。
「機械兵団の進軍:決戦の後に」を最後にラクドスサクリファイス自体が没落していったのですが、ヒストリック職工等が今後の出番となるでしょう。
樹海の自然主義者

エンチャント系デッキのキーパーツで、2022年のローテーション前には、ナヤルーンをTier1に押し上げる原動力にもなりました。
ローテーション後にはセレズニアエンチャントのキーカードとして利用され、「機械兵団の進軍:決戦の後に」までは比較的に見かけるカードでした。
現在はセレズニアエンチャントが厳しくなったので、ほぼ専用パーツである《樹海の自然主義者》も見かけなくなっています。
無色 & 土地
勢団の銀行破り(退学処分)

ミッドレンジ環境を是正するため、《鏡割りの寓話》と同時に禁止されました。無色で使えるアーティファクトというだけあって、禁止されたときには《鏡割りの寓話》よりも採用率が高い1枚。
禁止されなかったら、ほぼ全てのデッキが採用し続けることになったでしょうし、カードパワーはそこまで高くないと言っても、禁止措置にも納得できる部分があります。
今使えたらなら、ゴルガリミッドレンジ、ディミーアミッドレンジ、エスパーミッドレンジあたりが採用しそうです。
神河の伝説土地

「神河 輝ける世界」で登場した5色の伝説土地で、いずれも伝説を参照してコストが軽減される起動能力を持っています。
色が合うデッキなら少数ずつ採用されましたが、《大スライム、スローグルク》を利用したデッキでは大量に搭載されていたケースもあります。
モダンまでいくと厳しいですが、パイオニアやエクスプローラーなら採用されています。
弧3色トライオーム

「ニューカペナの街角」にて追加された友好3色を出せる土地です。5種類存在しており、ミッドレンジ環境だった2022年のローテーション前あたりは様々なデッキで使われていました。
2023年以降では環境の高速化、2色マナ基盤の強化によって、ドメインランプ以外では採用枚数が減少傾向になり、現在は3色デッキのエスパーミッドレンジですら、2枚程度の採用になっています。
カードパワーが高くなり過ぎて、単純な確定タップインは厳しい時代なのかもしれません。
カペナフェッチ

スタンダードの晩年に《事件現場の分析者》が登場したことによって、にわかに需要が高まった「ニューカペナの街角」の3色フェッチランドです。
3色にアクセスできると言っても確定タップインなのがネックであり、ティムールアナリスト以前では、墓地利用を行うジャンドリアニメイトに少量採用されたに留まります。
現在は《事件現場の分析者》と《精霊信者、ニッサ》を利用したティムールアナリストのマナ基盤として利用されていますが、流石に下環境では厳しいとは思います。
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