MTG: コーリ鋼を含む7枚のカードが禁止された件(6/30)

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2025年の6月30日付けで発布されたスタンダードの禁止改定についての所感など。

合計7枚のカードが禁止されるという比較的に大規模な粛清になっており、またその内容も納得感のありすぎるカードが選ばれています。

ポンポン禁止を出すのもまずいのですが、その逆もまずいです。

ここ1年くらいは行き過ぎたカードのインフレが続いて、遅すぎた感の強い禁止措置という印象が強いです。

コーリ鋼の短刀

リリースから3か月と経っていないカードなんですが、案の定と言いますか、流石にこれは完走しないだろう……と、かなり多くの人が思っていた筈

《手練》や《選択》といったキャントリップ系の呪文に対して、2/2果敢、速攻のクリーチャーが付いてくるようなもので、横に広がることで粘り強く戦えます。

動きとしては赤単なんかに比べると健全な方ですが、単純に1枚のカードとして強すぎた。

昨今の異常なインフレにおいても、頭一つ抜けたカードパワーを持っており、スタンダードでは到底許されるカードでは……。

単純なアーティファクト破壊ではアド損が確定しているので、本体の《コーリ鋼の短刀》を割るというのも現実的ではなく、元々赤系スペルのせいで滅茶苦茶になっていた環境にトドメを刺すこととなりました。

なお、スタンダードで禁止に至るまでの早さでは歴代7番目です。これより早かったのは《創造の座、オムナス》《記憶の壺》《王冠泥棒オーコ》《むかしむかし》《トレイリアのアカデミー》《意外な授かり物》というそうそうたるメンツが並んでいます。

アブエロの覚醒

墓地から簡単に重量系のエンチャントを釣れる凄いカードで、ファウンデーションで《全知》が再録されたことで頭角を現しました。

デッキが洗練されたことによって、《全知》の設置からの動きが安定するようになり、スタンダードとは思えない4ターンキルのコンボデッキとして定着していました。

4年前に禁止措置を受けた《アールンドの天啓》が最速6ターンくらいだったのを考えると、遥かに高速化しているコンボデッキです。

私は禁止はできるだけするべきではない派閥の人間なので、始動に8マナも掛かる《アールンドの天啓》の禁止には懐疑的で、むしろ時間が掛かり過ぎるデッキへの足切りラインとしては適当だと思っていましたが、《アブエロの覚醒》の4ターンは速すぎるように思います。

墓地にあるエンチャントを釣るカードは他にもあるのですが、《もがく出現》は墓地のパーマネント数が必要だったり、《建築家の才能》や《修復と充電》は5マナ必要だったりで、《全知》リアニは少なからず弱体化する筈です。

巨怪の怒り

巷では《コーリ鋼の短刀》に次いで名前が挙がっており、禁止されても不思議もなかった一枚です。

ちなみに2024年の11月にアルケミー1で禁止措置を受けており、アルケミー初の禁止カードとなりました。アルケミーはデジタル専用フォーマットなので、普通は下方修正という形が取られるのですが、異例とも言える対応でした。

理由は先手押し付けが酷すぎるから、アルケミーでは使って欲しくないとのこと。存在、そのものが良くないから、修正じゃなくて消されました。

対応で除去できないと大きな被害を受けるので、除去まみれの「ピクシー」デッキを生み出す原因でもあり、直接的にも間接的にミッドレンジ系のデッキを消滅させた諸悪の根源の1つです。

私は安直な禁止は反対派なのですが、これも含めて赤単のパーツについてはもっと早くに禁止するべきだったと思います。

次のローテーションで《切り崩し》が落ちるので、《残響の力戦》なんかも残しておいたら駄目だろうと思っていたり。頓死は確率の問題じゃなくて、可能性があるというのが駄目だろうと思います。

心火の英雄

ハツカネズミのシナジーを持つ1マナクリーチャーで、サイズアップだけならまだしも、何故か本体に火力を飛ばしてきます。様々な悪用によって、環境を滅茶苦茶にしました。

アルケミーでは2024年の11月に0/1へと下方修正されており、雄姿しないとダメージを与えられない状態になっています。

同日、アルケミー初の禁止カードとなった《巨怪の怒り》もそうなんですが、半年前には問題児だと認識されていたわけで、こうなるのは自然な流れだったとも言えます。コーラを飲んだらげっぷが出るくらいには当然でした(私は出たことがないのですけども)。

というか、今となってはパイオニア2もネズミまみれなので、赤単については、コイツだけで足りるのかの疑念すらあります。《叫ぶ宿敵》とかが、次に消されてもおかしくないと思います。

豆の木をのぼれ

スタンダードでも使われていますが、本領を発揮していたのは、ピッチスペルのあるモダン、レガシーなどの環境で、実際にモダンでは2023年12月に禁止カードになっています。

今回はスタンダードの禁止ですが、古くは「ドメインランプ」、現在は「ドメインオーバーロード」に採用さています。各種大主、追放除去の追加によって、赤単への耐性をある程度は獲得し、それでなくても立場が悪かったミッドレンジ系にトドメを刺すことになりました。

ミラーマッチになったときに、これが引けるかどうかで勝敗が左右されてしまうのが良くないですし、リソース勝負に勝てないデッキを多数生み出す形となりました。

似たようなパターンとして何年か前に《勢団の銀行破り》という禁止カードがありましたが、あれよりもドローしているカードの枚数が多いので、残しておくと延々とこすり続けられる運命だったのは間違いありません。

当時、《勢団の銀行破り》が禁止というのはやり過ぎだったと思いましたが、《豆の木をのぼれ》については許しても良いような、駄目なような……。

パワーカードなのは間違いないですが、スタン目線だとさじ加減を間違えなければ、完走できたカード相性の良いカードを刷りすぎた側面もあるかと思います。

望み無き悪夢

場に出たときに手札1枚を捨てさせ、2点のダメージを飛ばすエンチャントです。アドバンテージを失わない本体火力ということで、ソーサリーで使い回しできなくても普通に強いです。

盤面には寄与しないので地味な印象は受けるものの、マナ効率という点では破格のカードです。

本来は生け贄を利用したアグロよりのデッキで使うことが想定されていたと思われますが、大成したのはバウンスを使った再利用です。トップデッキで解決されてしまうような「大主」みたいなデッキは苦手でしたが、息切れさせたら勝ちのアグロ系、ミッドレンジ系には効き目抜群。

リソース勝負を崩壊させるという意味で、《豆の木をのぼれ》と同じベクトルの禁止措置で、《コーリ鋼の短刀》とも類似性があります。

より展開力がある《コーリ鋼の短刀》が出てからは鳴りを潜めていましたが、それが禁止されたらまた悪夢が繰り返すことになるわけで、一貫性があるとは思います。

この町は狭すぎる

こちらもバウンス系のカードで、「エスパーピクシー」や「ディミーアバウンス」などで採用されていました。自分のカードを再利用することで、アドバンテージを失わないバウンスになります。

とはいえ、それらが赤単に対してパワー負けしていたこと、白いセルフバウンスが増えたことから、3ターン目に《一時的封鎖》を安定して置ける「オルゾフバウンス」が主流になり、《この町は狭すぎる》も一時期に比べると見かけないカードになっていました。

《不浄な別室》が再度使われるようになったのも、《この町は狭すぎる》を使うバウンスデッキの衰退が影響しています。3/3デーモンも《逃げ場無し》で簡単に対処されてしまいますし、青黒系のバウンスが生存していたら、《不浄な別室》はちょっと厳しいです。

《コーリ鋼の短刀》が出ると1マナのバウンスが優先されるようになり、いよいよ採用率が急落していたカードで、悪用はできるけど、流石にパワーが足りてないみたいな印象です。

《嵐追いの才能》と併用することで、バウンスループを形成することでも有名ですが、個人的には《嵐追いの才能》の方が悪い気がするので、その代理出廷じゃないかと邪推してしまいます。

  1. アルケミー:MTGアリーナ専用フォーマット ↩︎
  2. パイオニア:より古いカードもつかえるフォーマット ↩︎
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