ヘルダイバー2の炎上事件をまとめる

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2024/05/03~06までを中心に発生した「ヘルダイバー2」炎上事件の時系列や顛末のまとめです。

海外のPCが中心なので国内の知名度は全然ですが、ソニーの「ヘルダイバー2」は1200万本の売り上げがあると公式発表が出ているヒット作。

しかしPSNの必須化、ごり押しに端を発して、歴史に残るようなキャンセル・カルチャーが発生しました。

有償ソフトでは史上最大のBAD評価を受けたゲームとして記録される羽目になり、今後の教訓にすべき事柄が色々と発生しています。

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時系列

  • 2024/02/08
    • ヘルダイバー2発売
  • 2024/02/10
    • 予想外の反響によりサーバーパンク
  • 2024/05/03
    • ニュースフィード「アカウント登録のアップデート」を公式が投稿
    • STEAMレビューでBAD評価が5万件
  • 2024/05/05
    • PSNに非対応の約100ヵ国で販売停止
    • 販売サイトのSteamが返金対応開始
    • 開発元が「ソニーと協議中だ」とDiscordで投稿
    • 開発元のコミュニティマネージャーが、SteamでのBAD評価の投稿を扇動
  • 2024/05/06
    • 開発元が「ソニーが悪い」と釈明
    • STEAMレビューでBAD評価が約40万件に到達
    • ソニーが「PSN連携を中止」を発表
  • 2024/05/08
    • BAD投稿を扇動していた開発のコミュニティマネージャーが解任
  • 2024/05/14
    • ソニーから販売1200万本の報告

ヘルダイバー2とは

ヘルダイバー2は「Magicka」で有名な「Arrowhead Game Studios」が開発、PlayStationを有するソニーが販売を担当しているTPSです。

今年の2月に発売されたもので、当初からPC版とPS5のマルチ展開でした。

世界観を継承している第二作であるものの、第一作目はTPSではありません。第二作を制作するにあたって大きく方向性を変えたという部分で「バイオハザード」や、「Risk of Rain」に類似します。

世間一般に知れ渡ったゲームではないため、いわゆる大ヒットのゲームではないですが、開発規模や予算の割には売れました。決算報告によれば、すでに1200万本の売り上げを達成しているとのことです。

当初の予定を大きく超えたアクセス数を発揮しており、発売当初はアクセス障害も起こしていました。開発にとっても、販売にとっても、望外のヒットだったことでしょう。

特にSTEAM(PC)での売り上げが大きく、近々ではアクティブユーザーの80%がPCという状況になっています。同時接続数と販売数はイコールではないものの、この割合から推測すると、PC版が960万、PS5が240万の売り上げとなります。

昨今は収益性に恵まれた作品とは無縁で、収益性をなんとか改善しようとしていたソニー側にとっても、PC進出に弾みを付けるチャンスになりました。

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炎上事件

そんなヘルダイバー2が大炎上しました。それまでも開発側のバランス調整等でプチ炎上を起こしていたのですが、それとはまるで規模が違う大炎上です。

原因はゲームの利用に際してPSNアカウントを必須にすると再発信したことで、そんなの聞いてないぞと騒ぎになりました。

利用規約に小さく書いてあったとの話もありますが、証拠がない+後からこっそり書き換えたと発言している人もおり、今となってはどっちだったのか分かりません。

はっきりしているのは、これに伴いPSNアカウントを作れない地域で急遽販売停止になり、販売サイトを運営していているSTEAMが例外的な返金対応に応じ始めたことです。

STEAMレビューでのBAD評価も急激に増大し、最近のレビューは圧倒的不評に転落しました。

同日の内にBAD評価の総数は40万件にも到達し、有償販売されたSTEAMゲームにおいて、歴代最多のBAD数を記録します。不名誉なのでやらないと思いますが、申請したらギネスに載れる大炎上です。

無料ゲームも含めたら第4位ですが、総プレイヤー数を考えるとBAD比率は圧倒的。国内だとPS5、PC共に空気なので話題にも上りませんが、PSN非対応地域におけるソニーの印象を相当悪くしたものと思われます。

ソニー側もあまりに騒ぎが大きくなり過ぎたので、早い段階でPSN必須化を取りやめる声明を出し、炎上騒ぎは終息へと向かいました。

関係者の一覧

Arrowhead Game Studios

ゲームを開発したスウェーデンの会社。「Paradox Interactive」を販売元としてリリースした「Magicka」というゲームで有名だった。

炎上騒ぎに際して、ソニーと協議中だ。ソニーが勝手に言い出したことで、うちは悪くないと釈明。

公式Discordを担当していたコミュニティマネージャーが、ユーザーサイドでBAD評価を付けたり、署名活動をしてくれれば、ソニー側に対して圧力になるからと扇動した。

ソニー

ヘルダイバー2の販売を担当した日本の会社。家庭用ゲーム機のPlaystationシリーズで有名。

販売戦略のためか、PSNアカウントとの紐付けを必須化しようとして反感を買い、PSN非対応地域が多すぎた故に大規模な返金騒動を招いた。

Valve

PCゲーミングにおける販売サイト、デジタルプラットフォームの最大手であるSteamを運営している会社。数多に存在している他のデジタルプラットフォームを倒し頂点に君臨した。

ヘルダイバー2の炎上に際して、例外的な返金対応を行った。

PSN非対応地域における販売停止措置についても恐らくはValveが主導。ValveはVPN等で住所を偽装する行為を明確に禁止している。

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PSNの方針転換

というわけで、ヘルダイバー2は歴史に名前が残るレベルの大炎上、コミュニティの暴走を招きました。

確かに開発、販売側の対応は杜撰でしたが、こういうプレイヤー軽視の対応というは、ゲーム業界では別段珍しいものではありません。外部アカウント必須という作品だっていくらでも存在するので、普通だったらここまでの騒ぎには発展しません。

それこそ、ソニーにとっては青天の霹靂だったと思いますが、何故こうなったのか?

先にヘルダイバー2が大ヒットしたと述べましたが、その人口内訳はPS5ではなく、PC版が主体でした。そして、中国本土を含むPSN非対応地域が占める割合も大きいものでした。

中国というのは非常に特殊な国で、あらゆるネットワークを国が検閲し、国民の触れられるコンテンツを制限しています。クマのプーさんすら許されていません。

検閲対象はゲームについても例外ではなく、ソニーや任天堂も、中国当局で認可を得るのが困難な状況が続いています。

そんな中、長らく例外的な扱いになっているのがSteamで、Steamのネットワークを使えばゲーム会社は審査なしに中国人にゲームを売れるし、中国人は政府の目をかいくぐって他国のゲームを買える状況になっています。

当然、利益を上げるならSteamで売ろうとなるし、検閲されていないゲームが欲しいならSteamで買えとなります。

ソニーが紐づけしようとしたPSNは中国本土で禁止されており、関連サイトにアクセスすることもできません。VPNを使ってIPを偽装すれば、PSNにもアクセスできる筈なんですが、今度はVPN禁止のSteam規約とぶつかるので、正規の手段ではSteamとPSNは共存できないわけです。

PSN非対応地域で販売停止になると、この騒動はいよいよ拡大し、ソニーも方針転換せざるを得ない状況になったわけです。

PSNとの紐づけを必須にするなら、最初からPSN非対応地域で販売しなければ良かったのですが、それをすると中国人などが買うことができないので、PC版を出すうま味も激減します。

ソニーは今後リリースされる「Ghost of Tushima」もマルチプレイはPSN必須にするようなんですが、利益を取るか、アカウントの普及を優先するか、難しい決断を迫られています。

ユーザーを扇動したコミュニティマネージャーが懲戒を受ける

ここまで騒ぎが大きくなった最大の理由は中国人の反感でしょうが、その陰には不満を持ったプレイヤーを扇動する人物がいました。それが開発元のコミュニティマネージャーだったSpitzerFX氏です。

公式のDiscordをどれだけの人が見ているか不明なので、その影響力がいかほどのものだったか不明ですが、同氏は「SIEとArrowhead Game Studiosは現在交渉中」だと内部情報をリークし、「BAD評価を投稿して、返金リクエストをしてくれれば、SIEとの交渉が有利になる」として、不満を持っていたプレイヤーを扇動しました。

中国人のようなクリティカルに損をしているプレイヤー以外でも、Steam以外のランチャーが関与してくることを異様に嫌う人はいます。積もり積もったゲーム自体に対する不満、関連会社そのものに対する不満もあったかもしれません。

コミュニティマネージャーの言動が、そういった不満を持つプレイヤーの投票操作、ヘイト活動にお墨付きを与えてしまったのは事実であり、あまりも迂闊な行動だと言えます。仮にそこまでの影響力がなかったとしても、会社側としては見過ごせないものがあります。

同氏はギリギリ首にならずに済んだなどとDiscordに投稿しましたが、その翌々日にはコミュニティマネージャーの座を解任されています。

上記はここ最近のレビュー推移なんですが、また酷いグラフになっています。簡単に評価が変動するようなパブリックレビューは信用できないと改めて思いました(企業レビューが信用できるとは言ってない)。

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2 Comments
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匿名
匿名
1 月 前に

それな釈迦もいってたけどソニーも任天堂も自社のハード専用にするなよな
全部pcにも出せユーザーの事考えろよな

匿名
匿名
1 月 前に

もう家庭用ゲーム機は廃れるべきだね
某トナイトでも思ったけどコミュニティマネージャーって役職はいるの?
フォトナがPVE充実させてうまく流れに乗ってほしい