
- ストーリー:5点
- グラフィック:7点
- サウンド:6点
- ゲーム性:6点
- 作り込み:6点
- 10点: 史上最高(100年に1度)
- 9点: 10年に1度の水準
- 8点: 年間トップクラス
- 7点: 十分におすすめできる
- 6点: 普通水準で、おすすめできる
- 5点: 普通水準
- 4点: 明らかな失敗が見て取れる
- 3点: 良い部分がほぼない
- 2点: 失敗では済まされない
- 1点: 史上最悪(100年に1度)
ゲーム概要
サバイバルホラーシリーズの第2作のリメイク。
人気ではシリーズ上位に君臨するだろうバイオ2ですが、旧作のリリースからはや20年。バイオ2発売当時、私はまだ小学生でした。その頃に大ヒットしてシリーズの人気を決定づけた第二作を、固定カメラから三人称視点のTPSへと変更して作り直したのが本作です。
直近のシリーズであるバイオ7が一人称視点のFPSだったので、カメラシステムはまたしても変更になっています。また大きな流れは近年のバイオシリーズを踏襲しており、ホラーとしての脚色センスは怪しめです。どちらかというとスプラッター色が強いです。
バイオ1のリメイク作品群が優れた完成度を持つので、それを期待したプレイヤーも多かったと思うのですが、それと比べると……。旧作バイオ2と比べて近代化はしましたが、ストーリーやゲーム性においては一概に良くなったとは言い難いです。
ラクーンシティを舞台としたゾンビパニックを描いており、レオン、クレアという二人の主人公から片方を選んで物語を進めます。その辺りは旧作と同じなのですが、中身については良くも悪くも最近のバイオになっています。
怖くないホラーなので、苦手な人でも大丈夫な安心できる仕様。取っつきやすいとは思います。


レビュー
ストーリー: 5点
- サブキャラクターの一部が掘り下げられている
- 旧作に比べて、メインキャラクターの描写が稚拙
- 旧作に比べて、ホラー描写が甘い
- 旧作に比べて、テキストの質が下がった
旧作2と比べて良くなった部分もあるのですが、悪くなった部分の方が圧倒的に多いので、足し引きするとマイナスと見て良いです。プロの仕事からアマチュアの仕事になったと言いますか、物語の展開や、人物描写の稚拙さ散見されます。
全体的に説明不足の感が強く、設置されているテキストも質が下がりました。
旧作より良くなった部分としてはガンショップ店長の掘り下げ、タイラントを倒すウィリアムのカットくらい。後は同じ設定を使っていながらも、旧作に比べて劣る結果になっています。
例えばレオン編の劣化が顕著で、エイダが胡散臭すぎるおばさんに大変貌。レオンの恋人に振られてやけ酒を飲んでいて遅刻した設定も消えていますし、旧作のようなメロドラマ感は全然ないです。
ただの変態になってしまった署長や、切れてる感の喪失した研究者バーキン夫妻、胡散臭さだけは発露している記者のベンなど、総じて薄っぺらい小物ばかりになりました。
モンスターの扱いについても、もうちょっと見せ方を考えた方が良いです。
元からタネが割れているとは言え、Gの登場が速すぎてインパクトがありません。未知の存在を演出する要素が根こそぎにされてしまって、でかいだけのモンスターに成り下がりました。
まぁ、その辺りの事情は4以降のバイオハザード通りなんですが、下敷き有りのリメイクとしては、不完全すぎると言わざるを得ないです。
ウィルスが広まる原因になった事件の描写、バーキン夫妻の行動など、展開の不自然さもチラホラとあります。ハンクが死亡確認をミスするとは思えなかったし、てっきり過去作プレイヤーへの引っかけかと思ってしまった(Gの宿主が実は違うみたいな)。
グラフィック: 7点
- 時代に即したグラフィック
- 写実的になったキャラクターデザイン
- 悪くなったりなモンスターデザイン
- グロ・マシマシ
現行の家庭用機のスペックを鑑みれば順当な描写になっていると思います。キャラクターデザインも当たり前ですが、旧作ののっぺりしたアニメ調から写実的に。
旧作を知っていると、ウィリアム夫妻+シェリーに違和感があるものの、近代的に大きく改修されました。
ただしエイダだけはあんまり変わっていないので、一人だけ浮いている雰囲気はあります。エイダだけはいつものバイオ。それ以外がより写実的になった、という感じでしょうか。
モンスターデザインに関しては、G第四形態に関しては旧作より自然になったと思います。旧作の第四形態は見た目はスタイリッシュでしたが、前後の繋がりを考えると違和感が残る姿だったからです。

一方で狙いすぎて没個性になってしまったイビー、タイラントなど、旧作の方が差別化できていたモンスターもいます。ぬめりの表現が今一つなので、モンスターの表皮が不自然にも見えます。
ムービーシーンのカット割りは良い部分もあれば、悪い部分もあります。特にモンスターの見せ方が下手なのでホラー感が薄れる原因になっています。ムービー部分は全体的に海外ドラマみたいな雑さが漂っているので、もうちょっと絵作りを意識した方が良いと思いました。
サウンド: 6点
- チラホラある良スコア
傑作と言うには物足りないものの、雰囲気にあった楽曲を使っていると思います。旧作の楽曲も今聴き直すとやっぱり古くさい感じはしますね。DLCで旧作のものに変更できるんですが、元に戻してしまいました。
個人的には自爆する研究所から脱出するときのBGMが一番良かったと思います。あとはボーナスゲーム中のBGMとかが記憶に残る感じ。
吹き替えに関しても、英語音声にしてもまぁ無難。旧作の英語はどこから役者を引っ張ってきたのか分からないような棒読み感がありましたが、ネイティブじゃない私では分からない水準になっています。
ゲーム性: 6点
- アクション性の低いTPS
- 旧来どおりの謎解き
- 雑味感の強いサブキャラのパート
- 表編と裏編の接続が無くなった
近年のカプコンが低調だったことを考えると、かなり持ち直したとは思うものの、真新しさが全くないので、平凡以上の評価を付けにくいです。
また直近のシリーズであるバイオハザード7に比べると多少改善したものの、やっぱりシューターとしてみるには、操縦性の悪さが強いです。武器の基礎性能を上げたり、照準の絞りをもう少し速くしないと、テンポの面でのマイナスが大きいです。
窓口は広いですが、それ故に物足りないし、リプレイ性が悪いという欠点が出ています。
というか、元々のバイオ2からすると相当に敵が堅くなりました。ゾンビですらHP800あって(旧作は200くらいだった筈)、タイラントの存在も割とうっとうしい。ホラーとしてのエッセンスがそもそも欠けているので、多くの敵がただ邪魔なだけの存在に成り下がっています。
その中でならリッカーは数少ない例外ではありますが、対処方が安直すぎることもあって活用がイマイチ。もうちょっと音に纏わる仕掛けを考えて、緊張感を生み出す努力をしても良かった気がします。
そもそも旧作バイオ2がそうであったように、別にプレイヤー側の攻撃力を上げてもホラーらしさが損なわれる訳じゃないですし、敵の数を増やしたり、イベント戦でピンチを演出するなどして調整した方が良かったと思います。
その辺のさじ加減というか、作りがあまくて、同じTPSシリーズのバイオ4とかと比べると見劣りします。ゲームデザインをホラー向きにしようとする一方で、ストーリーや、演出面が真逆に進んでいるので、それに足を引っ張られた感もあります。
個々の意図は分かるものの、全体の調和が取れていないというか、かみ合わせの悪さが残念なゲームだとは思います。エイダ、シェリーパートの異物感がありますし、やたら増えたボーナスモードも、この操作性でやらされても……って感じなので、もう少し内容の取捨選択が必要だったと思います。
作り込み: 6点
- 形式的には原作2を踏襲
- バグが少ない(PC版だと進行不能のものが一つ)
- 旧作2に比べると大きく完成度が下がる
- ホラー要素はかなり薄い
- 飛ばせない演出
- ボーナスモードにリトライがない
先にも述べた通り、ゲームデザインがホラー寄りなのに演出等が全然なので、あんまりホラーという印象は受けません。旧作においてやり残した、本来ブラッシュアップすべきだった部分が割とお座なりなので、旧作プレイヤーの期待値を満たせたかと言われると、正直微妙だと思います。
主人公同士の絡みも益々減ってますし、ホラー的な演出があるのは最初のリッカーくらい。それに関しても、旧作2の演出をなぞるだけで最低限という感じです。最初に出てくる警官の死因をリッカーにするなど、展開をちょっと弄るだけでも、色々と改善するような気がするんですけどね。
あとTウィルスや1作目の事件について触れないのはわざとなんでしょうか?
確か旧作だと色々補完する要素があったと思いますが、今作だとTウィルスの名前も出てこないです。これ、シリーズ初見のプレイヤーだと、Gウィルスがゾンビ発生の原因だと勘違いするのでは……?
この辺、予算不足か時間不足が原因だと思うのですが、基本はできているけど、荒削りな印象が残りました。まぁ旧作バイオ2みたいに、作ってみてつまらないからって、また作り直すとか難しいですからねぇ……。
PC版だとNvidiaのコントロールパネルで数値を弄っていると、一部のムービーシーン途中でブラックアウトして、以降画面が映らなくなるバグがあります。どれを弄ったら起きるのか調べてないですが、取り敢えず設定をデフォルトに戻せば治るので、詰まった人はデフォルトに戻しましょう。ちなみに警察署ロビーのPCを調べたときに流れるムービーなんかが一例です。
まとめ
旧作バイオ2に比べてゲーム部分は近代化したものの、演出が劣るのでホラーゲームとしては後退しており、その辺りは近年のバイオハザードシリーズを踏襲しています。
バイオ1リメイクが割と直球路線のリメイクだったので、旧作2と同じ路線を求めている人にとっては、ちょっと正統進化とは取れない可能性はあります。ありますというか高いです。
旧作2がドンパチ路線で演出等がホラーライク、本作がドンパチできない路線で、演出などがホラーでは無いと、ある意味真逆の味付けになっています。
とはいえ別のゲームとして見るなら、平均水準くらいの内容にはなっていて、旧作バイオ3と同じか少し上くらいの評価を付けても良いかもしれません。
つい数年前でのカプコンは本当に落ち目でしたが、かなり持ち直して来たと思います。名作とは呼べないものの、無難な作品に仕上がっています。




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