10分で分かるファミコン探偵 笑み男(ネタバレ全開)

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ファミコン探偵 笑み男の内容をできるだけ短く要約し、最後に所感を加えたものです。

「笑み男」と呼ばれる都市伝説に類似した遺体が発見され、それと関連する未解決事件を再調査していると、二人の行方不明者が重要参考人として浮上してきた。同時に事件に関与していた刑事久瀬純子が不可解な行動を取っており……。

本稿はネタバレ全開であり、最後に駄目だしまで加えているので注意。

導入

主人公が務める探偵事務所に、不審死した中学生にまつわる依頼が舞い込んできた。遺体の身元は地元の中学生である佐々木英介(15歳)で、死因はひも状のもので首を絞められたことによる窒息死。その遺体の頭部には、笑顔が描かれた紙袋が被せられていた。

その状態は巷で流れる都市伝説「笑み男」に酷似している。「笑み男」は泣いている少女の前に現れ、笑顔が描かれた紙袋を被せて殺してしまうという怪人である。

その都市伝説は18年前に発生した連続少女殺人事件に由来があり、事件では3名の女子生徒が犠牲になっているが未解決のままだった。警察の情報規制によって、遺体に被せられていた紙袋の件は報道されていない。使用された紙袋の成分が一致したこともあり、同一人物、あるいは関係者の犯行が濃厚になった。

主人公は18年前の事件関係者を調べるが、犠牲となった女子生徒3名以外に、2人の行方不明者が浮上してきた。

1人は最初の犠牲者である橋爪綾香(当時17歳)の知人男性で、事件発生の日に多量の血痕を残して自室から姿を消している。もう1人の行方不明者は、佐々木少年の変死事件で捜査をしている久瀬純子刑事(26歳)の兄だった。

笑み男

遺体となって見つかった佐々木英介の幼馴染森本めぐみ(14歳)は、被害者が「笑み男」に襲われたのは自分のせいだと思い込み、夜中に家を抜け出した。遺体発見現場にて「笑み男」と思われる人物に遭遇するも、間一髪のところで保護される。

18年前に「笑み男」と遭遇した少女(当時)の証言もあり、どうやら都市伝説に言われるような容貌をした「笑み男」は古くから実在していたらしい。

そんな中、久瀬刑事の元に「笑み男」が現れ、髪飾りを添付した手紙が投函された。その髪飾りは18年前に久瀬刑事(当時8歳)が付けていたもので、兄である久瀬誠(当時14歳)が行方不明になった日に失われたものに酷似している。

当時のことを久瀬刑事は頑なに語ろうとしないため、兄が行方不明になった前後関係はようとして分からない。また、久瀬刑事には不審な行動が様々見受けられ、一部の情報を秘匿して、警察内で共有していなかった。佐々木少年の通う中学校指定のネクタイを、謎の封筒と一緒に保有しているのも確認された。

行方不明者の足取り

主人公は事件のことを知っているだろう行方不明者の捜索を続けていた。1人は久瀬刑事の兄である久瀬誠で、もう1人は「笑み男」最初の犠牲者である橋爪綾香の知人男性で都築実(当時25歳)である。

当時の都築実を知る勤務先の経営者夫妻によれば、口数は少ないが温厚な人物だったと言う。事件当日に会社を辞めたいと言いだし、夫妻は車を選別に与えて送り出していた。彼の住むアパートが血痕まみれの状態になって発見されたのはその日のことである。

行方不明者2名の似顔絵を持って聞き込みを続けていると、都築実に出会ったという工事関係者が見つかった。彼によれば何年か前に都築と同じ現場で働いていたという。似顔絵を見せて確認を取ると、久瀬誠の似顔絵を指して間違いなく都築実だと言った。

都築実と久瀬誠が入れ替わっているのだろうか?

工事関係者から都築実とおぼしき人物の足取りを聞いた主人公は、人気のない山間部へと足を運んだ。その付近を捜索すると廃村らしきものが見つかるが、何故か久瀬刑事が先に来ており、不審な剣幕で主人公を追い返そうとしてくる。

しぶしぶその場を後にする主人公だったが、久瀬刑事が村の奥に消えると、突如として銃声が鳴り響いた。

真実

久瀬純子(犯人1)

18年前に「笑み男」と遭遇し、兄を誘拐されてしまう。その際に「笑み男」から奪った紙袋をずっと持っていた。

佐々木英介は自殺だった。自身のネクタイで首を吊っており、それを発見した久瀬刑事は、何故か「笑み男」の仕業に見せかけることを思いついた。死体を移動させて、18年前に「笑み男」から奪った紙袋を被せ、匿名で警察に通報した。

久瀬誠(犯人2)

18年前に「笑み男」と遭遇し、記憶喪失のまま都築実と生活していた。街に降りてお金を稼ぐ際には、名前が分からないので都築実と名乗っていた。

久瀬刑事の元に「笑み男」からの手紙を届けた人物。それ以外は事件への関与なし。久瀬刑事が都築実に襲われているのを目撃し、彼女を守るために都築実を殺害した。

都築実(犯人3)

18年前の少女連続殺人事件の犯人で、その手で4名を殺害し、久瀬誠を誘拐している。

家庭内暴力を奮う父親のもとで成長し、妹が事故死したことを契機に、その原因となった父親を殺害してしまう。少年院に収監された都築であったが、溺愛していた妹が亡くなったことを認められず、出所後に出会った橋爪綾香を妹だと思い込んでいた。

橋爪綾香が父親から暴力を奮われていたことを知り、今度は手遅れになる前に殺害することを決意。橋爪綾香にその現場を目撃されたことで拒絶されるが、何故か橋爪綾香まで殺害してしまう。以降は泣いている女性を見るだけで凶行に走るシリアルキラーとなった。

久瀬刑事を妹だと思い込み襲い掛かるも、記憶を取り戻した久瀬誠に鉈で殺害された。

感想+ダメ出し

各所で酷評されてますが、何故そうなるのかを考察。

捻りのない展開

出てきた情報を元に今後のパターンを予想していたら、予想の範囲から下を抜けていったというのが正直な感想です。

まず「笑み男」の模倣犯がいるのは大前提みたいな流れでした。あとは久瀬兄弟がどれくらい事件の本筋に関わってくるかが焦点でしたが、現代では2人目以降の被害者が出てこず、取りあえずで行方不明者を探していたら、そのままエンディング突入になるという肩透かしに終わります。

久瀬誠が「笑み男」の後継として迷いながらも活動している、あるいは暴れる展開とかなら、もう少しエキサイティングになったでしょうが、久瀬誠は1回のお使い以外はなにもしてません。

大抵のプレイヤーは突然現れた「終章」の文字で、何も起きてないのに終わるの!? ――と思うことでしょう。

佐々木の偽装は意外性があると言えば、意外性があるのですが、むしろ何故そうなる系です。事件を起こせば、本物の「笑み男」が動き出すからと説明されていましたが、かなり無理がある理由付けです。

久瀬純子の存在がガン

事件として成立させ、且つ穏便に解決させるご都合主義のため、論理的に説明できない行動が散見されます。そしてシナリオ全体に悪影響を及ぼしています。端的に言えば、久瀬刑事は本作のメアリー・スーなのです。

現代編で大きな事件が起きないのは、「笑み男」の活動を再開させたのが久瀬刑事だからです。ここで殺人でも起きようものなら、それを誘発させた久瀬刑事の行動が許されないものになります。久瀬刑事をクリーンにしようとするあまり、本編でできることが大幅に制限され、冗長性の権化みたいなゲーム展開になったと思われます。

過去編で「笑み男」が当然に活動を止めたのも久瀬刑事をフォローするためでしょう。子供とはいえ、警察への情報提供を拒んだわけなので、これで被害者が続いたら、確実に悪者扱いされます。

あと、最後に久瀬刑事がぬるっと廃村に現れるので、色々と台無しになっています。まともに情報共有もしてないので、彼女は単独でここまで来たということになりますが、それだとプレイヤーの行動はなんだったのか。

これは久瀬刑事が最後まで秘密を抱えていたせいなんですが、その後の展開も主人公は蚊帳の外なので、没入感が著しく低下する原因になっています。遺体偽装の犯人だと中盤に判明して身の上話をして、その後の展開に持っていく方が良かっただろうと思います。

都築実

簡単に言えば、泣いている女性を見たら何故か殺そうとするサイコパスです。

過去のトラウマから家庭内暴力を奮う父親を殺害するまでは分かるものの、そこから女子生徒連続殺害に繋がるのに論理の飛躍があります。エピソード不足で納得できないです。

アニメパートの時間配分の問題かもしれませんが、橋爪綾香の父親を殺害するまでに、もう1クッションくらいの描写、間が必要だったと思います。橋爪綾香が父親に刺されて苦しんでいるのを救うために首を絞めたみたいな流れだったら、ある程度は納得できたかもしれません。

あと、橋爪綾香が変にピュア過ぎたのが後の惨劇に繋がったようにも見えますが、これは私が汚れた大人だからか……。いや、肉体関係があったら妹だという都築実の思い込みも払拭されて、なんかグッドエンドになった気がするんですよね。

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