MTG: スタンダード環境2022のまとめ、推移(KHM~SNC期編)

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あと1か月でローテーションを迎えるカルドアハイム(KHM)から、ニューカペナの街角(SNC)までの2022年度環境の振り返りです。

紆余曲折あったものの《表現の反復》を有するイゼット系が1年を通して使われていた印象です。流石はストリクスヘイブンのトップレア()。

あとアルケミーと言うWotCの生み出した黒歴史(になりそう)も記憶に新しい。

私が紙のMTGができる環境にないので、主にMTGアリーナの環境になっています。大いに主観が入っている可能性もあるので注意。

代表的なデッキ(年間)

アグロ

《不詳の安息地》が禁止されるまでは単色アグロが環境を定義していました。

ミッドレンジ

禁止改定によってオルゾフ系のデッキが一時期台頭しました。

コントロール

単色アグロへの切り替えしが強かったイゼット天啓でしたが、禁止改定によってキーパーツが無くなったので消滅。

《表現の反復》に支えられる形で、イゼット系のデッキ自体は数多く存在しました。

イニストラード 真夜中の狩り

3度目のイニストラード来訪で、狼男がフィーチャーされたセットです。ただし狼男が強いとは言っていない

ドラフト環境においても狼男を有する赤緑は最弱でしたし、構築においても既存のカードを差し置いて採用できるほどのカードパワーがありませんでした。

特に前環境から引き続きで使える《不詳の安息地》の影響で多色化のメリットが薄くなっており、単色アグロを中心とした環境になりました。

不詳の安息地

青系のコントロールもいくつか生まれましたが、単色アグロに対する勝利手段の関係から、《感電の反復》によって成立したイゼット天啓へと収束していきます。

白単、緑単、イゼット天啓による三つ巴の状況が始まりました。

緑単

緑単(禁止改定前)

緑単色のアグロデッキ。《エシカの戦車》に加えて、《老樹林のトロール》などのマナレシオに優れたクリーチャーを並べていき、《吹雪の乱闘》や《樹皮のベール》で補助します。

タフネスが4以上のクリーチャーが多く、除去耐性を持たせるスペルもあるので、イゼット系の低速デッキに対して有利で、真夜中の狩り期にはTier1筆頭のアーキタイプでした。

真紅の契り以降は白系のアグロ、ミッドレンジが台頭した関係から、勢力を衰退させていきます。

白単

白単(禁止改定前)

白単色のアグロデッキ。クリーチャーサイズでは緑単に劣るものの、クリーチャーが持つ補助効果によってテンポを稼いだり、盤面に干渉したりできる点が強みです。

1度テンポを取られると取り返すのが難しい緑単相手に対して有利で、真紅の契りで《スレイベンの守護者、サリア》を得たことによって勢力を拡大しました。

イゼット天啓

イゼット天啓(禁止改定前)

《感電の反復》を使って《アールンドの天啓》をコピーするコンボ系コントロールデッキ。フィニッシュ手段が強力なのと、妨害されにくい点が強みです。

単色アグロによる高速ビートダウン絶世期において、盤面を制圧しなくても勝利できる点が追い風となり、青系のコントロールでは最大勢力になりました。

後にキーカードであった《アールンドの天啓》が禁止カードに指定されたことにより環境から消えました。

イニストラード 真紅の契り

真夜中の狩りから引き続き、イニストラードを舞台とした拡張セットです。狼男推しだった前セットから一転、今度は吸血鬼押しになっています。ただし吸血鬼が強いとは言っていない

またしてもセット固有のテーマが弱かったため、既存のアーキタイプに新カードが少数採用されるという形に留まりました。

依然として単色アグロ優勢の状況が継続し、白単、緑単、イゼット天啓の三つ巴が続きます

ただし、再録された《スレイベンの守護者、サリア》等の影響によって白単の勢力が拡大することになり、白単に不利だった緑単が勢力を減退させます。

結果的に緑単には不利だけど、白単には有利なイゼット天啓が最大勢力になっていきました。

アルケミーの登場

今となっては黒歴史になりかけているデジタル専用フォーマット「アルケミー」が登場しました。

デジタル処理特有の効果を持ったカード、既存カードの強化弱体化と、鳴り物入りでリリースされたのですが、様々な問題を起こしています。

  • 専用カードが強すぎて、それなしにはTier1デッキが組めない
  • 専用カードのレアリティが偏り過ぎている
  • カードの修正が雑
  • 事前の告知なしにヒストリックにもカード修正を適用させた

未だにアルケミーの追加はありますし、大会のフォーマットにもなっていますが、ランクマッチの過疎具合が酷いです。新規デッキのデフォルトがアルケミーなのに……。

止めになったのは、専用カードを弱体化したときに、ユーザー保証を出さなかったこと(多分)。滅茶苦茶なカードをたびたび出すので、変な無限コンボに環境が支配されてるようです。

今後、手を出すつもりもないので私は良く知りませんが……。

禁止改定

神河のリリースを前にして、上記の3枚が禁止されました。

テンペスト期、ウルザ期、ミラディン期のときに現役だった身としては、安直に禁止カードを出すなぁ……という印象が強かったです。

過去の禁止カードは本当に禁止しないとヤバい連中ばかりだったので、ネット社会がもたらした環境解析の高速化、イニストラード2作がパワー不足だったツケを払った形じゃないかと思います。

これに伴って白単、緑単が大きく後退し、イゼット天啓が環境から消えました。

順当にオルゾフミッドレンジ、オルゾフコントロールが台頭したのですが、個人的にはKHM~SNC環境において、最も多様性が無かった時期だと思います。右も左もオルゾフだらけになりました。

オルゾフミッドレンジ

環境末期の形

速効性はないものの盤面への影響力は高い《婚礼の発表》などを採用したボードコントロールよりのデッキ。よりコントロールに寄せたタイプも多数登場しました。

神河 輝ける世界の登場後には、青を入れて同系に強くしたエスパーフレンズなども。

ニューカペナ後にはTier1から陥落しますが、それでも形を変えて環境に残り続けています。

神河 輝ける世界

恐らくは2022年度において最も人気があり、最も成功しただろうセットが神河 輝ける世界です。

カードパワーが全体的に高く、独自性も強かったので、新しいアーキタイプを複数生み出しました。

下の環境でも広く使われている《放浪皇》、《鏡割りの寓話》を筆頭に、今後のスタンダード環境を左右するパワーカードが揃っています

当初《鏡割りの寓話》の採用率は低かったのですが、アルケミー環境の大会で良い結果を残したのを機に、スタンダードでも広く採用されるようになりました。

のちに大きな勢力を作ることになるアーキタイプ《ジェスカイ日向》も初出はこの辺りですが、当初はファンデッキよりの扱いをされており、本格的に使われるようになるのは大会実績を残したニューカペナ参入以降になります。

神河の環境においては、禁止改定から幅を利かせていたオルゾフとその派生デッキ、そして神河で追加されたエンチャント・クリーチャーを利用したナヤルーンが上位陣となりました。

ナヤルーン

《樹海の自然主義者》と《ルーン鍛えの勇者》を並べ、0コストのルーンを連打して強化。+1/+1カウンターを大量に乗せた《無常の神》などで殴り勝つコンボ搭載アグロデッキ。

ニューカペナがリリースされる直前までは最大規模の勢力を誇っていましたが、サイドボードから投入される《エメリアのアルコン》や、各種の軽量除去に弱いという明確な弱点があり、対策されるにしたがって地位を低下させていきました。

ニューカペナの街角

3色推し。

リリース前には《敵対するもの、オブニクシリス》が高い評価を得ましたが、状況を選びすぎる故に思った程に影響力は無く、早期に環境から退場していきました。

敵対するもの、オブ・ニクシリス

とはいえ、ローテーション後の環境しだいで、まだまだ使われる可能性はあるかと思います。

結果としてニューカペナの実装直後から《策謀の予見者、ラフィーン》を採用したエスパーミッドレンジが隆盛します。前環境から存在していたオルゾフ系の流れを組み、大会でも実績を残したものの、やがてコントロール系のデッキが増えるにしたがって数を減らしていきました。

環境末期になると、長らく環境に存在していたイゼット系のデッキが復権し、その中でもアグロに対しても強いジェスカイ日向が最大勢力になりました。ジェスカイ日向自体は神河のリリース時点で成立していたので、随分な遅咲きなアーキタイプになっています。

エスパーミッドレンジ

前環境にも存在してたオルゾフミッドレンジの流れを組むデッキ。《策謀の予見者、ラフィーン》による謀議でクリーチャーを肥大化させる中速のビートダウンです。

当初は最大の勢力となっていましたが、イゼット(青赤)、ティムール(青赤緑)、ジェスカイ(白青赤)のコントロールが増加するに従って、段々と勢力を減退させていきました。

ジェスカイ日向

《暁冠の日向》を出した状態ならば、《マグマ・オパス》を2マナで撃てることを利用したコントロールデッキです。

クリーチャーへの対応能力が高いのと、クリーチャーの除去耐性が高いのとで、KHM~SNC期のスタンダードの末期になって、最大勢力のデッキとなりました。

神河のリリース時点で成立していたのですが、使用率については相当な遅咲きだったという変わり種。

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