前回の動物擬人化がテーマだった「ブルームバロウ」から一転して、ホラーがテーマになった「ダスクモーン 戦慄の館」のリミテッド(主にドラフト)の所感まとめです。
戦慄予示の影響によって2/2で殴り合う展開になりやすく、僅かなサイズアップ、頭数の差が出やすい環境です。結果的に先行して盤面を作った方が強いテンポ環境になっており、マナレシオに優れたカード群の評価が極端に高いです。
アンコモン、レアへの依存度が高く、決め打ちするよりは受け身に強いカードを集めるほうが良い印象です。
目次
概要
戦慄予示が生み出すテンポ環境
本作を代表するメカニズムの1つが戦慄予示です。戦慄予示はライブラリーの上から2枚を見て、1枚を後ろ向きの状態で出し、1枚を墓地に置くという能力です。後ろ向きに置かれたカードは2/2のクリーチャーになり、表面がクリーチャーならばマナコストを支払って表にできます。
過去のセットに存在していた「予示」の強化版で、クリーチャーを引く確率が向上しました。ただし、マナレシオは依然として悪いままで、表にするには更にマナを要求されます。
DSK環境のリミテッドにおいて普遍的に使い、墓地肥やしに貢献してくれる戦慄予示ですが、テンポを失いやすいアクションなわけです。仮に表にできても、除去されたときに失うマナ差を考えると、かなり大振りなアクションだと言えます。
序盤から2マナ、3マナのクリーチャーで圧力を掛け、除去やコンバットトリックを構えることで、戦慄予示に対して強くなります。できるだけデッキを軽量化し、手数で勝負するテンポ重視の構成が強い環境になっています。
アンコモン以上が強い
ここ数年のセット中でもコモンのクリーチャーが弱いセットです。戦慄予示で出てくるクリーチャーは2/2なので、それに合わせてクリーチャーのサイズ感が調整されています。2/2を一方的に倒せるコモンクリーチャーがいると不味いわけです。
アンコモンでも小ぶりなクリーチャーが多いのですが、こちらはその分だけ誘発能力などが充実しています。簡単にアドバンテージを稼げるクリーチャー、条件を満たせば打点になるような軽量クリーチャーが多数存在しており、攻防に渡ってゲームメイクの中心となっています。
当然としてレアも強いです。ひとつ前のエキスパンション「ブルームバロウ」ほどではないですが、近年では最高レベルの影響力を持ちます。「ブルームバロウ」と違ってレアはサイズが大きいので、1枚で盤面が崩壊することがしばしば起こります。
除去が強い
アンコモン、レアのクリーチャーが強いという状況なので、それを排除できるコモンの除去スペルは相対的に強くなります。
テンポを取るために2マナ、3マナのクリーチャーが10枚程度は欲しいですが、除去をある程度は積んでおかないと、相手の致命的なカードに対応できません。頭数合わせのコモンクリーチャーも拾わないといけないのですが、色にあった除去が基本的には優先です。
特に追放が付いている除去は墓地対策にもなるため、普段より高めに評価してよいと思います。
主だったアーキタイプ
例によって2色環境なんですが、テンポ環境なので迂闊に多色化すると裏目になりやすいです。
中心色 | 速度 | 評価 | 方向性 |
---|---|---|---|
(アゾリウス) | 中 | A | 違和感アグロ エンチャント利用で爆発力高し(参考) |
(オルゾフ) | 低 | C | リアニメイト 必要パーツが集まったとしても速度不足 |
(ボロス) | 高 | A | 横並べアグロ マルチアンコが強く、殴り合いで有利(参考) |
(セレズニア) | 中 | C | 生存特化 白と緑の相性が最悪かもしれない |
(ディミーア) | 低 | C | 違和感コントロール クリーチャーが弱すぎて辛い |
(イゼット) | 低 | C | 部屋特化 テンポが悪いので押し込まれて負けやすい |
(シミック) | 中 | A | 戦慄予示に特化 アドバンテージを稼ぎつつ耐える戦い |
(ラクドス) | 中 | B | 生贄コントロール 素材と除去が揃うか次第 |
(ゴルガリ) | 低 | B | 昂揚コントロール 黒が大型なので緑のマナ加速を生かしやすい |
(グルール) | 中 | A | 昂揚アグロ 緑軸だと多色で受けやすい |
各色の状況
白 > 青、赤、緑 > 黒
――なんですが、先に述べたとおりにアンコモン以上のカードに依存している環境です。マルチカラーアンコモンの強弱が、2色の組み合わせの優劣に影響している側面は強いです。
黒はちょっと避けたい状況なのは間違いないですが、赤黒か黒緑の形にして、多数の除去を詰め込めれば十分戦えます。反対に有力カラーの白でも、白緑は相性が悪いので不発になりやすいです。
白
元から軽量クリーチャーが強い色なので、テンポ環境での適性が高いです。パワー2以下のクリーチャー、違和感(エンチャントレス)が目玉で、それにちなんだアンコモンは参入の起点となります。
なお、緑はエンチャントが弱い、2/2は戦慄予示しないと出せないと、白との相性が最悪です。白をメインカラーにするなら、相方は青、赤であることが望ましいです。
青
テンポを取れるカードが目白押しで、戦慄予示のはずれを活用できる色です。クリーチャーでないボムを戦慄予示で引いても、バウンスで回収して手札に戻せます。優秀なアンコモンが多いので、それらを取れたときには採用したいです。
若干、補助系の色になるんですが、メインカラーでも飛行軸で戦える無難な色となっています。
黒
例によって防御的な色なのですが、いつも以上に除去の選択肢が多いです。除去の枚数が頼みの綱である一方、テンポ環境なので受けきれないことも多いです。やたら大型のクリーチャーが多くて、アクションが大振りになりがち。安定感はワーストだと思います。
赤黒で除去マシマシにするか、緑でマナ加速して黒の大型をうまく使うかの2択です。他の色だと厳しい戦いになりがち。
赤
普段の赤と違って補助系のカードが充実しており、コントロール味が強いです。今回、黒が除去に寄り過ぎているので、赤がいつもの黒――みたいな印象があります。メインカラーにしにくいものの、補助色としては優秀です。
緑
全色に存在している戦慄予示のメインカラーで、昂揚にも優れています。戦慄予示と昂揚が相互に補完しあっているので、単色である程度は完結している強みがあります。
またマナ基盤が優秀なので、タッチでボムを採用しやすい利点もあります。《脊柱狙いのムカデ》は多色サポートになる上、昂揚で3/3警戒になるので2/2の予示クリーチャーに強い優秀なコモンです。
今回のリミテ番長
満遍なくレアが強かった「ブルームバロウ」から一転して、特定のカードが1枚で盤面を変える系の大振りレアが多く、リミテ番長を多数輩出しています。忘れずにピックしたいです。
ヴォルガモスの猛攻
タッチ緑だけで凄まじいパワーを発揮するカードです。5マナで4/4が2体、7マナで5/5が3体とマナレシオが壊れています。5マナ以上使えばアドバンテージを取れます。
亡者の踊り手
墓地からエンチャントを回収してアドバンテージを得て、それを場に出せば更に3/1飛行がついてきます。簡単に5点分の飛行クロックを形成しつつ、場合によってはあっという間に飛行まみれになります。
解剖道具
接死、絆魂付きの4/4を生み出すアーティファクトです。装備しなおすのにアドバンテージを失いますが、テンポ環境ではマナ不要なのが強みです。ダメージレースが簡単に崩壊します。
速効オールインの白赤以外ならどの色であっても採用できるのも強みです。
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