先のXbox Series X およびSの発表に続いて、ようやくPS5の価格が出てきました。
Xbox Series Xのコストパフォーマンスが良すぎて、PS5が地味に見えますが、PS4 Proよりもコスパが良くなっていますし、順当なところに付けてきたと思います。
いくらコスパが良くても、一般に普及するには高すぎるので、過去最高に地味なスタートになると思いますが、国内だとXboxに負ける目は殆んどないので、3年くらいしたら主流マシンになっている筈。
目次
PS5のスペックと価格
リーク情報を含むので、実際に発売されるまでは不明瞭な部分もあります。採用チップが変わっているかもしれないし、冷却や消費電力のために性能が引き下げられる可能性もあります(通例だと下がる)。
PS5 | PS5 DE | Xbox Series X | Xbox Series S | |
---|---|---|---|---|
価格 | $499 | $399 | $499 | $299 |
CPU世代 | Zen2 | Zen2 | Zen2 | Zen2 |
CPUスペック | 8C 3.5Ghz | 8C 3.5Ghz | 8C 3.8Ghz | 8C 3.6Ghz |
GPU世代 | Navi(第1世代) | Navi(第1世代) | Navi(第2世代) | Navi(第2世代) |
CU数 | 36 | 36 | 52 | 20 |
GPUクロック | 1.63Ghz ? | 1.63Ghz ? | 1.83Ghz | 1.57Ghz |
GPU性能 | 8 Tflops ? | 8 Tflops ? | 12.2Tflops | 4Tflops |
GPUクロック (CPU稼働率ゼロのとき) | 2.2Ghz | 2.2Ghz | - | - |
GPU性能 (CPU稼働率ゼロのとき) | 10.3Tflops | 10.3Tflops | - | - |
RT | 汎用コア | 汎用コア | 専用コア | 不明 |
シェーダー | プリミティブ | プリミティブ | メッシュ | メッシュ |
メモリ | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリ量 | 16GB | 16GB | 16GB | 10GB |
ストレージ規格 | NVMe | NVMe | NVMe | NVMe |
ストレージ速度 | 5.5GB/s | 5.5GB/s | 2.4GB/s | 2.4GB/s |
ストレージ容量 | 825GB | 825GB | 1TB | 512GB |
光学ドライブ | BR | なし | BR | なし |
CPU換算(PC相当) | Ryzen5 3600 | Ryzen5 3600 | Ryzen5 3600X | Ryzen5 3600X |
GPU換算(PC相当) | RTX 2060 | RTX 2060 | RTX 2080 | GTX 1650S |
価格に関してはどうなるのか不明瞭でしたが、先の発表で通常モデルが$499、廉価モデルが$399に決まりました。
廉価モデルのデジタルエディションにはBRドライブが付属せず、公式ストアからの購入のみになります。ソフトの値段が高くなるので長期的にみると割高。
先日にあったRTX3000シリーズや、Xbox Series Xの価格破壊能力が高すぎて、$400でBR付きじゃないと同じインパクトにはなりませんが、コンソール特有のコストパフォーマンスは健在です。
同じくらいのゲーミングPCがBTOで11万円くらいしますが、PS5はそれを5万円で提供しています。自作だと10万円を割り込む位になるかな……というところ。もうすぐRTX3000や、Ryzenの新型が出るので、それ以降の価格変動を推測するなら、次世代PCの8万円くらいでしょうか。
PS4 proからの変化
CPU

PS4 Proから比較して、4倍の性能アップです。
PS4 proが採用しているCPU Jaguerは、15年前のCore 2 Quad Q9550相当の性能しかなく、もはや低性能過ぎて、現行のCPUでは同等品を探すことが難しい。廉価モデルのiPadとは同じ水準のCPUです。今となっては携帯機レベル。
一方のPS5ではRyzenアーキテクチャを採用しており、ゲーミングPCではミドルクラスですが、ようやく時代に追いつきました。低消費電力の8コアなので、ノートPCなどに採用されているRyzen7 4700Uに近いものでしょうが、これをデスクトップ用のCPUに置き換えると、Ryzen5 3600相当の性能になります。
複雑なAI挙動などを実装しやすくなりますし、高度な物理演算をしやすくなる筈です。フレームレートを上げるには、CPUのシングルスレッド能力が重要なので、その点でも大幅な向上が見込めるでしょう。
あとはロード時間の短縮にも繋がります。実はデータのコピーにはCPU性能が影響しており、格安のNASなんかは、CPUのパワー不足で転送速度が出なかったりします。
GPU

PS5が採用しているGPUは、Naviアーキテクチャのユニット数から、RX5700相当のものだと推察されます。理論性能(FP32)は 8Tflops相当になり、NvidiaのGPUに換算するとRTX 2060と同等です。
PS4 proからすると、グラフィックの品質の大部分を決めるGPUは良くて2倍くらいの向上に留まります。
変化が目覚ましいCPUと比べて、GPUに関しては小幅な変化です。GPUは未だ成長が著しい部品で、従来までのコンソールマシンだと8倍成長とかが普通に起きてますから、今世代のインパクトは控えめになるとは思います。
CPUのボトルネックが解消されるので、フレームレートの向上は見込めますし、ようやく4K30FPSが達成できそうですが、過去のハード更新みたいな、劇的な見た目の変化を過度に期待しない方が良いです。
公称値では2.3Ghzまでオーバクロックして、10Tflopsになっていますが、消費電力が400Wを軽く超えてしまうので、コンソールでは現実的に不可能でしょう。公称の消費電力が350Wみたいですし、安全マージンを鑑みると、土台無理な数値に見えます。
CPUとGPUが隣接するワンダイで、通信速度の問題から側にGDDR6もある筈なので、冷却全開でも80度に達するような発熱をする高クロック運用はできないと思います。
そもそもNavi系GPUは低クロックの方が演算効率、電力効率が上がるので、クロックを無理に上げてもあんまり意味が無いです。
直接的なライバルになるXbox Series Xにはシェーダー数で明確に負けていて、およそ33%位のパワーダウンになります。同型のアーキテクチャなので、シェーダー数の差が絶対的な差になりますから、画質面では見劣りする可能性が極めて高いです。
SSD
PCI gen4水準の高速SSDを採用しています。Xbox Series Xに劣る部分が多いPS5においては、唯一明確に勝っている部分です。ただしPS5程度のマシンパワーでは、宝の持ち腐れになる可能性は高いです。
自作PCでミドル構成のCPUやGPUしか使っていないのに、SSDに金を掛けていたら普通は変に思います。先にCPUやGPUを上げた方が良いので、ゲーミングPCでは転送速度5ギガのSSDは全然普及していません。
それを乗せるマザーボードが、最新のB550チップセットなどに限定されるのもありますが、転送速度はでるけど80度越えの発熱が常時発生したりで扱いにくく、未だSATA接続のSSDを優先して使う人もいる位です。
PS4の4K解像度とか、VRヘッドセットと同じく、先走って搭載した感が強い。GPUとSSDを直結するような手法が、商用のゲームに使われるのかそもそも怪しいですが、高速SSDが必要になる頃にはPS5の世代が終わっている気がします。
レイトレーシング
光の仕組みを再現する高画質化機能です。PCではすでに実装されたグラフィックボードがありますが、あんまり普及していません。
PS5のAPUを製造しているAMDは、未だにレイトレーシングの機能を発表していないですし、機能上の制約もあるので、恐らくは形だけの機能になると思います。PS4の4Kとかと同じです。
PS5がプリミティブシェーダーを採用している以上、搭載しているGPUはNavi第一世代の可能性が高いです。そしてNavi第一世代にはレイトレーシング機能はありません。
Sony公式は第二世代だと公称しているので、なにかしらで帳尻合わせをして第二世代に準じたものにするのでしょうが、専用コアを持たないので、実行性能がどれほどあるのか期待できないです。
そもそもレイトレ自体が無駄にパワーを使うだけの不完全な技術なので、PCでも要らない派の人間が大勢います。フレームレートも大きく下がるので、そもそもゲーマー向きの機能なのか……という問題が付きまとっています。
そういう意味では、あんまりフレームレートとかが重視されない家庭用コンソール向きではあるのですが、イマイチ期待できないAMD次第ですね。
今後の予想
PS4程の普及速度は見込めないか
PS5、Xboxの両陣営の情報がある程度出そろったわけですが、どちらも高額なハードになっているので、初動でファン向けに出払った後は、低調な販売実績が続くんじゃないかと思います。
いくらコスパが良くても、ゲーム専用で5万円は一般層には売れません。過去の例からすると、コンソールマシンの普及価格は3万円前後なので、4万円スタートだったPS4以上の普及速度になるとは思いにくいです。
しかもPS4のときと違って、今度はライバルが非常に強力。3万円前後まで価格が落ちない限りは、本格的な世代交代には繋がらないので、採算を取るためにも数年単位で縦マルチが続くだろうと思います。
デジタルエディション
一般の家電量販店などで、PS5デジタルエディションみたいなDL専売のハードを置いてくれるんでしょうか……。パッケージ販売を行っている店舗にとっては、利益にならないから置いておく理由もない。
逆ザヤ率も高そうなので、Sony自身も生産数を絞るでしょうし、形だけ存在するプレミアモデルになる可能性も……。
これはXbox Series Sもそうですが、前例が少ないケースなので、今後どう転ぶのか予想しにくい部分ではあります。
国内ではPS5の方が有力だが
コストパフォーマンスという点においては、Xbox Series Xがずば抜けていますが、国内に関しては、順当にPS5の方が売れると思います。Xbox SXの方が、PS5の価格に2万円は上乗せできるレベルの性能優位ですが、これまでの販売実績が悪すぎます。
ぶっちゃけ、Win10搭載すれば、PS5とか軽く駆逐できる勢いで売れるんでしょうが、多分やらないでしょう。(Xbox用の開発キットが、PC用の汎用キットと共通になったという話はありますが)
Sonyも国内はそこまで心配していないと思います。むしろ、危機感を持っているのは、海外市場の方でしょう。
なんかゴタゴタしていてPS4のときみたいな勝ち確ムードはないですし、マイクロソフトが凄く強気で攻めてます。Sony陣営はここが踏ん張りどころだと思います。
SNSではゲーミングPC換算で20万円とか言う狂言回しが湧きすぎてて頭痛くなる