MTG:先手が有利過ぎる問題の考察

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昔から言われていたけれど、ここ数年で更に状況が悪化しているMTGにおける先手有利の問題について。

昨今の極端なインフレも絡んでいるのですが、先手後手の格差が酷いし、対話拒否のごり押しムーブが正解だしで、ファイナルファンタジーコラボが来るけど、こんな状況でスタンダードを進められない……。

極端な先手勝率を持つデッキは環境の多数派になってはいけないと思います。

加速する先手有利

MTGにおいては、約55%~60%の確率で先手が勝利すると言われています。下記はRedditで拾ってきたMTGアリーナにおける統計情報です。

On Playが先手、On Drawが後手です。

この情報は5年前の統計なのですが、この当時のスタンダードというと、「エルドレインの王権」で登場した《エンバレスの宝剣》の影響で赤単、グルール上陸こそ成立していましたが、主流派かと言われると怪しい立ち位置でした。

時代はくだり、気が付いたらスタンダードは3年ローテーションに、そして軽量マナ域のカードが恐ろしい速度でインフレしました。

公式は「ダスクモーン 戦慄の館」のリリース以降で平均キルターンが1ターン縮まったと発言しており、一時期はヘイトを集めていた《黙示録、シェオルドレッド》や《太陽降下》が間に合わない状況になりました。

また、比較的に先手後手の差が小さいリミテッドでも、ここ数年は先手勝率52~3%が普通になっており、構築で先手勝率55%なんて生易しい状況とは思えないのが現状です。

チェスや将棋といった定番のボードゲームも約55%の先手有利なのですが、カードゲーム特有の事情があるので、同じ55%でも状況の悪さが月とすっぽんです。

MTGにおける先手有利の問題

局所的には70%越えの有利

MTGも含めてカードゲームにおいて難しいところとして、特定のデッキでは先手有利の度合いが大幅に上昇する点にあります。

統計にある55%~60%というのは、あくまで先手後手で大きな差がないデッキを含めた平均で、マッチ単位で言えばもっと大きな差が生じています。

例えば、赤単のような高速アグロデッキは先手の勝率が70%~80%をマークしており、圧倒的に先手が有利なアーキタイプです。体感の格差はピーク時を元に形成されるので、絶対に先手55%程度じゃないだろ――という印象を生み出している最大の原因が、コレ。

また、このようなアグロデッキがトップメタになると、ミラー対決が発生しやすくなるで、勝率格差が急速に拡大する傾向にあります。

誰でも先手が有利

将棋のようなボードゲームは先手の勝率が55%と言っても、これはプロレベルになったときの話です。

将棋の場合、アマチュア3段程度では51~2%ほどだと言われており、私なんかが先手を取ったからと言って、MTGレベルの勝率格差は発生しません。これは先手の有利を活かしきれないのが原因だと言われており、AI将棋に至っては先手勝率70%になるとのこと。

一方、MTGだと誰でも先手が有利スタートなので、先手勝率の問題がより身近にあるし、数値以上に表面化しやすいと言えます。カジュアルマッチでも当然のように先手が有利なので、そのレベルだとほぼ50%の将棋とは事情が異なるわけです。

視認性が高すぎる

先手だったから勝った、後手だったから負けたが視覚的に分かるので、統計を知らなくても理不尽さを感じやすいです。

アグロデッキの場合が端的な例ですが、先手後手が入れ替わるだけで、ライフが全く減らないことが起こります。起こりますというか、頻発します。

長期戦でジワジワ有利が確定するなら、まだ目立たないものの、初動で決まってしまう環境になると先手有利なのが露骨過ぎて、プレイフィールが急速に悪化します。

そもそもの話として、MTGでアグロがTier1になるのは許されない側面があるのかもしれません。

解決策と公式の取り組み

ルールを変える

環境に与える影響が大きいので、どこで別の問題が起きるか分かりませんが、比較的にスマートな手法です。

MTGは長い歴史の中で大規模なルール改正が何度も起きています。私が子供だったときには、突然戦闘ダメージのスタックが無くなったりして、当日のゲーム中に相手から教えられるみたいなことも。

MTGアリーナでは先手1ターン目の土地を強制タップイン、後手に宝物トークン1個を与えるなど、後手を有利にするような特殊イベントが何度か開催されており、公式側もルール改正に向けてデータを集めているのが伺えます。

後手有利なカードを追加する

こちらもMTGアリーナのアルケミーでは実装済み。

後手だけアンタップインになる土地、後手だけインスタントタイミングで使える1マナ火力などが存在しています。

とはいえ、昨今のインフレ具合を考えると、どこまで意味があるのかは未知数ですし、化け物には化け物をぶつける的な考えは、更なるインフレを助長する危険があります。

現時点ですら土地を引くのが弱すぎて、5マナ以上のカードが殆ど使われない状況なのに、これ以上インフレさせて、どこでドラゴンを使えば良いのだ……となりかねません。

禁止カードを出す

安直だけど、確実性の高い方法です。

  • 《心火の英雄》
  • 《巨怪の怒り》
  • 《嵐追いの才能》
  • 《叫ぶ宿敵》
  • 《逃げ場なし》
  • 《コーリ鋼の短刀》

――あたりがその候補か。

ちなみにMTGアリーナの専用フォーマットアルケミーでは《巨怪の怒り》は禁止済み、《心火の英雄》は0/1にデバフ済み。

最近は史上の動向を気にして禁止カードに及び腰なんですが、《コーリ鋼の短刀》が完走できる未来が全然見えないのは私だけ?

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