ストーリー
- テキストの構成能力は高し
- プロットが破綻してる
- キャラクター描写が雑
- 第二部以降の冗長さ
- 世界観を生かせていない
- 押しつけがましい作者の浅い主張
- ゲームプレイとの相性最悪
筆力はある筈なのにどうしてこうなった……。
続編を作る際の失敗の見本市みたいな内容で、それを抜きにしても1部の後半あたりからトンデモ路線になります。
復讐譚とゲームプレイ
大きな失敗が複数ありますが、その最たるはゲームプレイと、シナリオがまるで噛み合っていないところだと思います。
本作は法が機能していないポストアポカリプスの世界が舞台で、劇中で数えきれないくらいに人を殺すことになります。生きていく上にはやむをえないのです。
そんな状態ですから登場人物たちが変な道徳観に囚われると不自然になりますし、下手に因果応報などのテーマを含むと、支払った犠牲が多すぎて償い切れない、収集が付かない流れになります。
この状態で復讐の物語をまとめようとするなら、アクション映画的な勧善懲悪構造以外に選択肢がないわけで、くだんの殺害シーンから復讐者エリーを旅立たせた時点で、自らを縄で縛るような状態になっていました。
これを回避したいのなら、感染者の跋扈する街を舞台にして、少数のターゲットに忍び寄るみたいな内容にすればよかったのです。こうすれば犠牲者が減るので、ある程度は物語の破綻を防げます。
ところが開発側は「プレイヤーに罪悪感を覚えさせたい」という意味不明な理由から真逆の選択をしました。
これによってエリーの行動は犠牲を払ってでも許される崇高な行為という補強を得てしまった。アビー一派の凄惨な死以外の道筋が許されない状況を製作者サイドが作り出してしまったわけです。
プレイヤーと制作サイドで大きなギャップが生まれました。開発のやりたいことと、やってることが、全然噛み合ってないので、そりゃ混乱しか生みません。
全てのエピソードが最後の決断へと影響を及ぼすという完成されたプロットを持っていたラスアス1とは真逆の結果になったわけです。
第二部の存在意義が無い
第一部の間は復讐という強い衝動によって物語と、プレイヤーを牽引していたのですが、唐突に始まる第二部によって、それらが全て無駄になります。
汎用的な復讐譚は、復讐を達成するまでの前編、復讐後の姿を描く後編(あるいはエピローグ)という構成になる場合が多いのですが、本作では復讐後の姿を別の人物で描くという構造を取ったわけです。
そして、その目論見は当たり前のように失敗しました。
枝葉の部分をどんなに似せても、異なる人格、異なる境遇を持つと客観的に分かっているプレイヤーは絶対に同一視しません。本来敵役だったアビーの不自然な持ち上げと、脈絡のない行動だけが残り、冗長過ぎるパートがダラダラ続くだけで、
というか第二の主人公にしたいなら、第一印象の悪さと独善的な行動をどうにかしないと駄目だったのでは……。
どうせ2視点構成で進むのなら、復讐する側の狂気と執念、される側が追い詰められていく恐怖と懺悔という対比で進めれば良かったのに、相互のパートが連携するでもなく、ニアミス表現も薄弱でプロットも甘い。
プレイヤー感情をぶつ切りにしてまで、操作キャラクターを変える必要があったとは思いにくいです。
欺瞞に満ちたエンディング
決定的なネタバレを避けつつ書くのが難しいですが、簡単に言えばフェミニズムの悪い側面ばかりを強調した結末になっています。というか、このパートが書きたいがために、筋書を散々歪めてきた可能性がかなり高いです。要らない第二部が異様に長いのとか、やたら対比構造になってる不自然な構図の原因が見えてきます。
ありていに言えば、エリーを父性、アビーを母性と見立てての対立と、母性の非暴力勝利。「父性(ジョエルから引き継いだもの)」からの解放です。
農場におけるエリーの描写、筋骨隆々だったアビーがやせ細ったり、「私はもう戦わない」など言い出すのはあまりに作為的。既存のキャラクターを使って政治的な主張をツィートして炎上した漫画家がいましたが、本作で展開される物語もやっていることは同じです。
だから銃で撃てば簡単に終わるのに、整合性を無視して使わない。だって父性が勝ってしまったら、筆者にとっては都合が悪いから。当然、ノンポリである多数派は意味不明になるし、滅茶苦茶をした筆者に対して嫌悪感しか沸きません。
別にフェミニズムを題材にするは良いのですが、世界観や整合性を無視しまくった挙句、視野の狭いテンプレのフェミ思想を押し付けてくるのはどうかと思います。
80~90年代のドラマ、アニメとかに散々扱った内容なので、今更言われても時代遅れだし、支離滅裂なのでなんの説得力もない。テーマを盛り込めるだけの構成力、筆力がないのなら、素直にエンターテインメントにしておけって昔から言われてます。
明らかなライターの実力不足、失敗まみれでも私は4点で留めることが多いですが、歪んだ思想の押し付けはどんなエログロよりも教育上悪いので、これは流石に3点でも良いやろと思います。
グラフィック
- キャラクターの表情が自然
- 豊かなテーマパークと自然の表現
- 細かい武器改造演出
- カメラワークの悪さ
- 変わり映えのしない景観
抜群のムービーワークは近年の作品を踏襲しており、特に人の表情などに優れています。アクションシーンのカットも迫力があります。
劇中に出てくる博物館や水族館の作りは力が籠っており、本作の数少ない良シーンである過去回想に彩りを加えました。
キャラデザに関してはジョエルが異様にイケメン、アビーが異様にゴリラ。
シューターとしてはFOVの狭さが気になりますが、PS4の性能だとやむを得ないところでしょうか。30FPS以下の環境はやっぱりつれぇなって思いました。
サウンド
- 優れた吹替え
- 優れたエンディングテーマ
- 足音が聞こえない
- 地味すぎる劇中のスコア
流石も流石な吹替えで、私みたいな素人からすると完璧な仕事をしたなって思います。やっぱりシナリオがアレだったことが残念過ぎますが……。
劇中のBGMに関しては、かなり印象が薄いです。思い出せません。
細かいことを言えば、操作キャラクターの相槌にちょいちょい違和感がありました。パターン不足なのか、純粋にキャラブレなのか。
なお音響周りで一番気になったところは、敵の足音とかが全く聞こえないところです。聞き耳との兼ね合いといっても、3D音響系は明らかに今一つでした。
ゲーム性
- 良くも悪くもオーソドックス
- 序盤の探索要素が良い
- 操作性の悪いTPS
- 戦闘の発展性に欠ける
- 成長要素が弱い
オーソドックスだけど、なんか操作性の悪いTPSです。カバーアクションとかもないから、ちょいちょい不足を感じます。この辺りは前作を概ね踏襲しています。
序盤は世界の広がりを感じる良いマップデザインになっていて、探索要素もうまく機能しています。アイテムのストック上限が少ないことが残念ポイントではあります。
中盤あたりからは段々と手抜きになってくるので、似通ったシチュエーションばかりになって、マンネリ感が増大します。感染者の存在感も急速に低下しており、それを使った仕掛けや武器があっても良いかな……と。
ポストアポカリプスなのにゾンビポジが空気化しているシナリオを多少なりともカバーできたかも。
回想パートはゲーム進行の妨げになっているので、もうちょっと絞った方が良いと思いました。まぁ、最たるを言えば、ほぼ要らないパートが色々あるんですけどね……。どうせ持ち越せないのなら、過去パートでの戦闘を減らして、もっと成長性やストック数を増やすようにした方が良かった気がします。
作り込み
- 目立つバグ無し
- リトライが速い
- ロード時間がほぼない
- 竜頭蛇尾
- 盛大な穴がある
- 続編として大きく間違っている
いわゆるユーザービリティなどに関する評価ですが、技術スタッフに関しては優れた仕事をしており、特にリトライの速さは特筆するべきものがあります。
先にもあげたとおり、パート構成に難があるので、ちゃんとリソースを振り分ければ、もっと良いプレイフィールになったと思います。
点を付けにくいのは、やっぱりシナリオ面がまるでユーザー感情をまるで考えていないことです。続編としての在り方も失敗が目に見えており、なんでこれでゴーサインになったのか理解できません。
全体的なクオリティは高いものの、足かせになっている部分が多く、平均したら6点くらいかなという妥協の点になっています。
総括と後書き
7年越しの続編となった大作TPSですが、蓋を開けてみたら酷いことになっていました。設定や構成を抜本的に見直して、復讐譚としてのプロットを完遂させていれば、平凡くらいの評価は付けられたでしょうが……、まぁ1作目の評価には遠く及ばなかったでしょう。
私もあんまりやる気が起きなくて土日にちょろっとプレイするくらいで相当時間が掛かりました。
後半に息切れしている面はあるものの、明らかに高クオリティでお金が掛かっているゲームなんですが、極端すぎる欠点があるとボトルネックが生じます。ラスアス2はストーリーが明らかなボトルネックとなり、作品全体の足かせになっています。
作品単体としても無茶苦茶し過ぎてまとまりに欠けるのですが、それを続編でやったことで過去作のファンの反応も冷淡でした。
シナリオ担当が物語の解説を発売して間もなくに投稿するという異例の事態になりました。ジョエルと結び付けて非難の矛先を反らそうとしていたんですが、露骨すぎるフェミ描写をしておいて、そんなバレバレの嘘を今更……と。
失敗のパターンとしてはスタウォーズ EP8とか、けものフレンズ2とかに似ており、IPに与えたダメージが甚大過ぎます。BF5のポリコレ批判など、ちょっと過剰反応じゃない?と思うこともあるんですが、今作に限っては当然の結果だったと思います。
・前作の旅してる感じがなくなってる事
・キャラの関係が最初から最後まで変わらない
・復讐の鬼になったはずのエリーも楽しく会話しながら追いかけてるから大学生の旅行みたいで微笑ましかった
ラスアス1はオープニングからグッと引き込まれたけど2はそこ失敗してレズだのゴリラ女だの女の足を引っ張る男だの洋ゲー全開でつまんなかったです
いつもの辛口レビューがこんなに心地いいなんて
第2部はもうちょっといい見せ方あったんじゃないかと思ってしまいますよね。最悪、序盤のように時系列通りにエリーと交互に展開していくやり方にでもしていればもう少しマシだったのではないかとさえ
まぁそれでもアビーの第一印象は最悪なんだけどな!第2部での行動も半分くらい理解出来ないんだけどな!