データベースの作業が遅れに遅れていて、フェスに間に合うのか怪しくなっているので、シューター系ゲームにおける「キルタイム」についての概念を解説をば。
シューターゲームに慣れているプレイヤーにとってはありふれた言葉になってきましたが、今回スプラトゥーンからみたいなプレイヤーも多そうなので、中級者への知識的なステップアップを助けることを目指しています。
一覧については、下記を参照してください。
目次
キルタイムとは
キルタイムとは、対人シューター(FPS、TPS)において、命中率が100%だったときに敵を倒すまでに掛かる時間を表したものです。
単位は秒、あるいはミリ秒です(集計単位としては秒の方が良い)。
英語圏ではTTK ―― Time To Killと呼称するのが一般的かと思いますが、日本語では言いにくいのでキルタイムと呼ばれることが多いです。最近はキル速度という呼称もありますが、単位が秒なのに速度というのは誤用っぽくはあります。
威力減衰(距離によるダメージ変動)などもあるので、主に同じHPで交戦する機会が多い自動回復付きのゲームにおいて距離別に求められます。
スプラトゥーン3のシューター属においては、下記のようになっています。
シューター系武器の中では《.52ガロン》がもっともキルタイムが小さく、0.15秒の数値をマークしています。初期武器の《わかばシューター》が0.25秒なので、差し引きすると0.1秒の差があります。
つまり《.52ガロン》と《わかばシューター》が同時に撃ち始めて、お互いに100%の命中を出した場合、《.52ガロン》の方が0.1秒分早く倒せるので有利となります。
多くのシューターゲームにおいて、0.1秒の差はかなり大きいです。
スプラトゥーン3においては1発で確定キルの武器も多いのですが、それを除いたキルタイムのトップ3は以下の通りとなっています。
- スパッタリー スライド後(0.148秒)
- ハイドランド (0.148秒)
- .52ガロン (0.15秒)
武器毎の簡易リストとしては下記のリンクを参照してください。
キルタイムの再現性
キルタイムというのは、あくまで理想的に運用した場合の数値なので、実戦においてはキルタイムに近しい数値を出しやすいかも重要になってきます。
武器の特性上キルタイム通りの数値を出しやすいもの、出しにくいものが存在し、多少数値が劣っていてもキルタイムの再現性が高いものが好まれるケースも多々あります。
発射レートが高い
キルタイムの差を乗り越える程では無いですが、近しいキルタイムを持つ武器同士の場合、高レート型の方が実戦では優位になる場合が多いです。
武器の発射レートが高いと、命中率が下がったときのキルタイムの下落が押さえられるからです。
例として《スプラシューター》と《.96ガロン》を挙げますが、両者が100%の命中を出した場合のキルタイムは0.2秒と同じですが、命中率が50%になると話が変わってきます。
《スプラシューター》の場合は、6発目でキル判定になるため0.5秒。対して《.96ガロン》の場合は、4発目でキル判定になるので0.6秒です。数値的にも《.96ガロン》が不利になります。
加えて実戦においては何らかの理由で、敵のHPが最大ではない場合があるので、攻撃が細かく刻まれている方がキル判定を取りやすくなります。刻みが細かい方が味方のアシストになりやすい、自動回復を阻害しやすいなどの利点もあります。
命中率が高い
何らかの要因で命中率が高いと、キルタイムの数値以上の評価を受ける場合があります。主に2パターンあって、射撃精度が高いこと、飛んでいく弾の判定が広いことの二つです。
後者については、スロッシャー系、シェル系の武器がそれに該当します。
これらの武器は飛んでいく弾のサイズが大きいので命中が取りやすく、キルタイムが理想値に近づきます。《スクリュースロッシャー》はその代表的な存在です。
ただし命中が取りやすい分だけキルタイム自体は遅めに調整されており、相手がきっちり当ててきた場合には数値的に勝てない場合が多いです。《スクリュースロッシャー》のキルタイムも0.55秒と、シューター系の武器全般に勝てない水準になっています。
他のゲームでもそうですが、この手の面制圧を掛けるタイプの武器は、正面対決を避けてお互いに命中が取りにくい位置取りをしたり、回避を多用することで戦闘を有利に運べる特徴を持ちます。
キルタイムによるゲーム性
キルタイムにまつわる雑学など。
カジュアルと競技
一般的にキルタイムが速い方がカジュアル路線だと言われています。
キルタイムが遅くなると、撃ち合いの上振れ、下振れが発生しにくくなり、同じ条件であるときの上手い下手がはっきり表れるようになります。
スプラトゥーン3のキルタイムは初期武器の《わかばシューター》でも0.25秒、《スプラシューター》で0.2秒、《.52ガロン》に至っては0.15秒とかなり高速になっており、撃ち合いの上手い下手が出にくい仕様だと言えるでしょう。
交戦距離も近いので、細かい狙いも必要ない。移動慣性もかなり弱めです。
近年の大作FPSなどはカジュアル路線にするためキルタイムは短め、速度を作為的に落とす場合が多く、スプラトゥーン3についてもその例に漏れない仕様となっています。
キルタイム高速化の弊害
キルタイムが高速である方がカジュアル向けになるので、近年の大衆向けPvPシューターではキルタイムが高速であるのがトレンドです。
例外はバトロワ系のゲームですが、火付け役であったPUBG以降はどんどんキルタイムが遅くなっています。生存することがゲームの主軸、不意の戦闘が多いので、キルタイムが速いことがマイナスになっていると判断されたのだと思われます。
一般的なチームシューターにおいても、競技性が低下するのはもちろん、武器の差別化が困難になることや、ラグの影響を受けやすくなるという欠点があるので、無暗に高速化するのも良くない場合があります。
反応速度の限界
人間の反応速度は0.2秒程度だと言われています。
なので、これよりもキルタイムが良い武器を使って100%命中を出すと、相手が気が付いたときには死んでいるという状況を生み出せます。
アンチラグの仕様なども影響するとはいえ、0.2秒の前後でキルタイムの持つ体感速度が変わる原因となっています。
撃たれたプレイヤーに理不尽さを感じさせるので、あまりにも再現性が高い、頻発するようだとゲーム自体が不評を買うことも多いです。
回避アクションが強いゲームだと、切り返しに対する耐性に直結するので、キルタイム0.2秒の前後で武器の評価がまるで違うみたいなパターンも発生します。
キル速度は誤用じゃないか疑惑
キル速度という言葉がAPEX、スプラトゥーン2などでしばしば使われ、なんか定着している感があるのですが、単位が秒なのに速度というのは誤用じゃないかという疑惑があります。
初代ポケモンの影響で光年が距離の単位というのは有名になりましたが、キル速度だって元を正せば時間の表現なのです。
私もリロード速度とリロード時間がごっちゃになったり(単位が秒なので時間が正しい)、キルタイムが高速と言ってしまったりするし(時間が単位なので高速はおかしい)、意思疎通に問題が無いなら別に構わないとは思いますが、気になる人は気になるらしいです。
厳密に言うなら正しい用法ではないということで、非推奨の言葉ってことになるんでしょうか。
ゲーム界隈ではこの手の和製英語が割と多くて、古くはクールタイムなんかが有名です。
クールダウンタイム、クールダウン、リキャストタイムなど、同じ意味として使われる言葉が色々あるのですが、クールタイムだけは英語として正しくないとか。
枕草子にも最近は言葉遣いがおかしいって愚痴が掛かれているぐらいの古くからある問題なわけですが、うーん、日本語って難しい。
枕草子:日本の古典。執筆者は清少納言。最近の若者は言葉が乱れているとお嘆きに。
キルタイム0.1秒を当たり前のように切ってくるmw2は本当にぶっ飛んだゲームだったなぁといつも思うわ
52ガロンの火力の高さ優秀すぎる
この話をするとCoD BO4の少し長め(CoD比)のTTKは個人的にちょうどいい塩梅だったなと思うのですが、
如何せん世間的には翌年のMW2019の方がヒットして、今年もそのフォロワー路線なのが残念です。
実力的にはTTKが短い恩恵を受ける側だと分かっていても、消極的な動きが優遇されてるのもあって理不尽なデスに感じてしまうシーンの方が多いんですよね。