クリア後の感想と評価: ファイナルファンタジー15 (AVG 5.2点)

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10段階評価。6点以上でお勧め。

ストーリー

  • 偶に良くなる小粋な会話
  • キャラクター描写が雑過ぎ
  • まるでオープンワールドに向かないシナリオ
  • 負のご都合主義が多い
  • 10 years later

色んな問題がありますが、その最たるはオープンワールドに不向きすぎること、設定の諸々が成功を得るには難しすぎる題材だったことが挙げられるでしょう。

何から何までオープンワールドに相応しくない要素が折り重なっており、この時点で本作の失敗は決まっていたのかもしれません。後半時間切れで乱雑になっていますが、計画段階でまずかった側面が強いです。

オープンワールドでゲームを作るのなら、プレイヤーの行動、選択を阻害するシナリオ展開は極力避けないといけません。家族の安否が唐突に分からなくなったり、大規模な災害が起こっていたり、主人公の主目的からずれるような危急存亡がリアルタイムで発生するのは不味かったです。

主人公に主体性が無いというのも問題で、プレイヤーの行動指針とゲーム進行がずれる原因になります。予め提示された大目標もないし、場当たり的に目的地が表示されるだけなので、オープンワールドの体裁からはずれています。

そのせいで男4人ぶらり旅が、あまりに脳天気でリアリティの欠落した行動に見えてしまうし、他のクエストへのくどい誘導が発生するし、レベルデザインとの相性が悪すぎました。

ヒロインとの交換ノートなんかは行動を阻害せずに、相手キャラクターの造形を深める良いアイデアだったんですが、それも本筋で活かせてません。

描写が全体的に薄すぎて、納得のいく理由が説明されないし、登場人物の行動がイチイチ変な方向に転んでおり、どうでもいいことで悩んでいたり、いきなりキレたりで、支離滅裂な行動を繰り返しているようにしか見えません。

悲劇というのは強い運命力や必然性がないと納得を得られないので、書き手の力量が相当に試されます。設定面でも妥協が許されない側面が強くて、昨今の主流になってい目に見えた伏線をばら撒く手法とも相性が悪いです。

計画段階から失敗しているので、これを成功させるのはそもそも不可能だったと思います。

グラフィック

  • 得意、不得意がはっきりしているエンジン
  • 風景の描写が明瞭
  • 動植物の配置が良い
  • やや不気味の谷を感じるキャラクター
  • エフェクトまわりが良好
  • ムービー部分は出来不出来の差があるものの良好

謹製のクリスタルエンジンは、布系や水面、鉱物の描写は得意なようですが、肌や土などの中途半端な柔らかさがイマイチっぽく見えました。とはいえ、国内メーカーでこの水準まで作り込んでいるのは見当たらず、PS4の性能を鑑みれば最高クラスの一画だと思われます。シリーズを追って確実に進歩し続けている部分です。

問題はキャラクターモデリングとか、デザインの方でして、中途半端にフォトリアルよりにしているから、美男美女が多すぎて違和感に繋がっていたり、昔ながらの突飛な鎧の不自然さが隠せなくなっています。

今だPCでも性能不足でまるで実現できていないわけですが、完全なるフォトリアルは未だ遠き存在か。

どこかで妥協しなくてはいけなかったのに、その辺りのさじ加減に失敗した感はあります。まぁ普通の顔ってすごく難しいらしいので、ちょっと偏ってしまうのは仕方ないですかね。

エフェクト関連はリアリティとの間にあって、やや薄味な部分もありますが、シフト等々の特殊能力は良い感じスタイリッシュ感が出てました。シガイの表現もホラーゲームよりよっぽどよく出来ています。実際にやったら確定爆死でしょうけど、ホラーファンとしては、むしろ最初からホラーにしてしまえば良かったのにと思った部分も。

マップ上のロケーション配置も無駄にリアルです。動植物の配置とか確かにリアルなんですが、それ故にゲームとしてはスカスカという有様。見た目がリアルでもゲームとしては面白くならないという難しい側面を表しています。

ムービーはパート毎に出来不出来の差が大きかった気がします。良い部分は良くて、悪い部分は悪い。もうよく覚えてないですけど……アルティマソードのときとか、なんか盛大に突っ込んだような気が。

サウンド

  • 優秀な戦闘BGMが多数
  • 10年のせいで違和感あるCVも

FFシリーズ安定の良曲揃いです。本作の5割から6割を占めていると言っても過言ではないかも。スコアだけなら良作間違いなしなんだけどなぁ……。

劇中で経過した年数があれだったので、一部不自然になっているけど、ボイスアクトも無難です。

ゲーム性

  • なんちゃってオープンワールド
  • ゲームとしてはマイナス過ぎるマップデザイン
  • 主人公無双ゲー
  • 味方が戦力にならない、むしろ邪魔
  • 味方の役割が差別化できていない
  • 意図は分かるけど、邪魔なだけなフレンドリーファイア
  • 発展性がまるでない成長要素

オープンワールドのなり損ない、失敗作というのが端的な評価です。というかパーティー性のオープンワールド、あるいはそれを銘打ってリリースされたゲームってなんかありましたっけ? ぱっと思いつかないんですけど、そういう意味では革新的。でも実装が追い付かなくて、形だけのものになった感じか。

戦闘は見た目スタイリッシュアクションになりました。操作は簡単でお手軽にコンボが繋がって爽快感がありますが、発展性がないのが欠点です。また主人公が攻防において全てを担うため、味方全員が没個性になっています。

シフトは良いアイデアでしたが、パーティ制のゲームで使うには難がありました。そもそもが侵入と暗殺向きすぎるので、これがアサシンクリードみたいなゲームだったらまだしも、味方がトコトコついてくるから、どう考えても能力者の足手まといになっています。

恐らくは味方がバラバラに闘って、それを主人公がアシストするというゲームにしたかったんでしょうけど、さじ加減が悪すぎてストレスフルな介護をひたすら繰り返すことに。

魔法のフレンドリーファイアも味方を血肉が通った存在として描きたかったんでしょうけど、ひたすら邪魔になるだけで、プラスの側面には機能してません(今は修正されたんでしたっけ?)。

味方が連携に入るときの演出もちょっと長すぎでテンポロス。テーマであっただろう友情にむしろヒビを入れるレベルで、不一致感がきついです。

巨大ボス戦も、もう少し頑張ればワンダと巨像ライクなゲームが作れそうだったのに、見た目だけのごり押しゲーになっていて攻略している感がまるでないです。

作り込み

  • オープンワールドの形骸化
  • 雑過ぎる要素多数
  • マップがリアルっちゃリアルだけど……
  • やるべきことがいくらでもあっただろうミニゲーム
  • アップデートが今更熱心

端的に言って時間切れ感が強いです。野心的ではあるものの、その殆どを纏めきれずに頓挫した感が強いです。また加えるべきでは無かった要素、オープンワールドとは相反する要素を色々と含んでいるので、取捨選択が色々まずかったと思います。

そのくせ変な部分に手が込んでいて、一部スタッフの手が余ってたとしても、もうちょっと全体の計画を考えた方が良かったのでは……。

IPの保全のために今更クオリティアップに必死ですが、そうなる前に手を尽くすべきでした。見通しが甘すぎたというか、なんか劇中の王国に変な部分で似てるなぁ……

総括

なるべくして、こうなった感が強い駄作です。取捨選択の失敗や、FF13で批判された部分をダイレクトに反映させすぎたのかも。

取り敢えず、技術面では確かであるものの、それをどう活用するかが失敗しています。EA傘下のDICEとかもそうですけど、大手スタジオの良くあるパターン。

本作は自滅しているわけですが、オープンワールドの完成には、まだまだ時間が掛かりそうですし、どこを目指すべきなのか課題が多く残されている気がします。

仮にオープンワールドでなかったとしても、ちょっと厳しい部分はあるんですが、リソースが分散しすぎて、尚更悪い結果になってしまった感じです。

というかファイナルファンタジーとオープンワールドって方向性の違いが多すぎて、相性最悪だと思うんですけど。よっぽど、ドラクエの方がオープンワールド向きというか、初代はオープンワールドライクですしね。

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2 Comments
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c
6 年 前に

すいません「げぇむはしりがき」と検索すると
旧ブログの方が出てくるのが気になるのですが・・