あっているのか全然分からないものの、個人的にはこれだろう……と思っている繰り返される世界の末端説について。
「ティアーズオブキングダム(TotK)」はシナリオが過去作の集大成、おさらいみたいな話になっているのですが、この説だと「ブレスオブザワイルド(BotW)」からあった謎も解決するし、時系列をルーズにしたい開発側の意向も汲んでいるので、辻褄はあっているなと思います。
あくまで辻褄があうだけですが……。
本編の細かい流れ等には触れてませんが、一応はネタバレ注意(発売から2か月も経っているし、気にしたら負けな気もしますが)。
シリーズの時系列について
割と有名な話ではあるので、既知の方も多いでしょうが、一応として触れておきます。
元々はあんまり時系列が考慮されていなかった作風でしたが、N64時代にリリースされた「時のオカリナ」を境に複雑化していきました。ストーリー重視のゲームという当時のトレンドを反映させたものかと思います。
「時のオカリナ」以降に続く2作品である「風のタクト」と「トワイライトプリンセス」は、いずれも「時のオカリナ」の後に続く時系列であり、以降の作品では3つのパラレルワールドという形が広く定着していきました。
「ブレスオブザワイルド(BotW)」も「時のオカリナ」から続く時系列の遠い未来にあたるとされていますが、3つあるパラレルワールドのどの系譜に属するのかは明言されていません。BotWの続編にあたる「ティアーズオブキングダム(TotK)」も同様です。
ティアキンでの描写について
タイトルロゴ
TotKのロゴにはウロボロスの意匠が使われています。
ウロボロスというのは創作の世界では割と頻出するモチーフですが、不老不死、回帰性、永続的な破壊と再生などを象徴します。
ゲームをクリアしているなら、円環の龍が何なのかは分かると思いますが、
- マスターソードの永劫性
- 終わらない因縁(善と悪の対立)
- 繰り返されるハイラル王国の勃興
- またしても秘宝を巡る戦い
――など、ウロボロスが象徴するような劇中の描写が色々ありました。
ハイラル王国の勃興については「風のタクト」の前日譚~後日談でも発生しており、物語の鍵となる秘宝がトライフォース、ゾナウの秘石の違いはあれど、ハイラル史において、同じような事象が起きていると見て取れます。
そもそもの話としてTotKの全編が、「スカイウォーソード」→「時のオカリナ」→「神々のトライフォース」→「リンクの冒険」を踏襲するような内容でもあり、総決算的な雰囲気を持っています。
時の神殿も劇中で複数あったりして、「スカイウォーソード」で生まれた因縁がハイラルを舞台に延々と続いているという流れを明確にしたのかもしれません。
封印戦争
「ティアーズオブキングダム(TotK)」の過去編で扱われた、ゾナウの秘石を得たガノンドロフを封じるために、ラウルたちが悪戦苦闘する内容です。
また封印戦争は「神々のトライフォース」の前日譚として、取り扱い説明書に記載されている事変としても有名です。
魔盗賊ガノンドロフが聖地に侵入してトライフォースを得たことにより、世界の秩序が崩壊し、それを収めるために7人の賢者が封印を施す――という伝承になっています。
TotKではこの封印戦争を後から補足する形にになったのですが、元々の伝承とは異なる部分が多分に含まれていました。そもそもキーパーツがトライフォースではありません。
これは旧作の時系列に存在していた封印戦争なのか、あるいは封印戦争と呼ばれる別の事変なのか……。
先にあげたタイトルロゴのことや、時系列をルーズにしたい開発の思惑などを考慮すると、同じことが繰り返されていると捉えるのが素直な解釈だとは思います。
時系列の整合性を取るのがゲームの制約になっている――と、開発者インタビューでこぼしているくらいなので、タイトなタイムラインにピースを埋め込むようなアプローチをしないだろう……というメタ読みが働きます。
ゾナウ族
突然として歴史に現れてきた謎の種族。他の種族に自身の腕を移植できる謎の生態をしており、ラウルたちが最後の個体であると劇中では言われています。
前作から出てくる厄災戦の壁画に描かれている勇者もゾナウ族である線が濃厚となったので、ゾナウ族自体は1万年前にも存在していることが伺えます。
つまり、ラウルによるハイラル建国は1万年にあった厄災戦より後であったか、ゾナウの族滅がラウルの早合点だったかの2択になります。
確度が高いのは前者ですが、自然に見えるのは後者です。
- 遥な過去
- 何らかの要因で厄災ガノンが生まれる
- 約1万年前
- シーカー伝承の厄災戦
- 厄災ガノンが倒される
- 数千年前
- ガノンドロフが転生
- ハイラル王国建国(第N期ハイラル王国)
- ガノンドロフ封印(ゲルド族に男子が生まれなくなる)
- ゾナウ族が滅亡(ミネル以外)
- 100年前
- 厄災ガノンが復活
- 数年前
- 厄災ガノンが倒される
- 現代
- ガノンドロフが復活
上記は1万年より後だったパターンのタイムラインですが、正直なところ劇中の描写や情報だけでは、ラウルがどの時代に生きていたのか不明瞭なのが現状です。
そもゲームの開発側が曖昧にしたいという意図を持っており、ゲーム内での伝承がどこまで正確なのか分からないので、大体の経緯を把握しておけばいいのかなと思います。
ガノンドロフ
なんか権力欲が強いのは分かったけど、何がしたかったのかよく分からないおじさん。権力欲が強いのに、プライドはゼロの三下ムーブ。
「スカイウォーソード」に出てくる終焉の者の転生体故に、理由も無く魔族大好きおじさんになるので、性格が悪くなったコルテンのようなものか……。
ハイラルへの臣従という似通った描写があったものの「時のオカリナ」と同時期と考えるには、風俗的に無理がありそうですし、異なるタイミングで発生した別の個体と考える方が無難です。
「4つの剣+」にて別個体のガノンドロフが出てきた前例もあります。
前作BtoWのラスボスだった厄災ガノンとの関係性は不明です。ガノンドロフ+トライフォース=魔獣ガノンなので、それを踏襲するなら、厄災ガノンは過去に存在していた別ガノンの系譜になるのでしょうか。やっぱり不明です。
繰り返す世界の末端?
ここまでツラツラと列挙してきた内容をまとめます。
ハイラルの遠い未来である「ティアーズオブキングダム(TotW)」を末端として、無限に繰り返されるハイラル王国の勃興を包括したのがゼルダ世界――という推論が立ちます。
「スカイウォーソード」に端する呪いによって、悪神の転生体であるガノンドロフ等が定期的に生まれてきて、幾度となく破壊と混沌がもたらされる。その度にハイラルは衰退するし、場合によっては全てが海に沈んで文明がリセットされることもあった。
その中には過去作で起きたような事変や、戦争などに類似していることもあり、勇者が現れることもあれば、現れないこともあった。
「ティアーズオブキングダム(TotK)」では、「時のオカリナ」と「神々のトライフォース」に類似した事変が直近の過去で起きていることが描かれたものの、それがハイラル全史において通算で何度目なのかは分からないし、遠い過去の歴史等は散逸してしまって確かなことは分からないまま……。
――と、こういう形にすれば、時系列の前後関係をルーズにすることができて、今後にシリーズを展開する際にも、適当な時系列を生み出せる利点が開発側に生まれます。
何度も同じようなことが繰り返されるから、疑似的にループした世界とも言えるわけで、これなら「ブレスオブザワイルド(BotW)」からあった、異なる時系列にまたがった名残についても説明が付きます。パラレルワールドではなくて、時間軸の前後で各作品が緩やかに繋がっているという解釈です。
辻褄合わせに都合が良いというだけで、これが正解という保証はまるで無いのですが、個人的には結構良い線いってるんじゃないか――と思っています。
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