ちょっとマニアックな「Sony PlayStation5(プレステ5)」の性能、販売状況のまとめ

シェアする

いよいよ世代の終わりも近づきつつある「Sony Playstation5」のハードウェアに関する細かい話と、現在に至るまでの販売状況のまとめです。

ライバルである「MS Xbox SeriesSX」には勝利したものの、ハード設計にしろ、初期の販売戦略にしろ無茶をしているハードです。

すでに最新世代のエントリーにも及ばない性能なので、ハードとしての寿命は付きかけているのですが、世界情勢的に後継機を出せる雰囲気ではないなど、色々と不運も付きまといます。

基本スペック一覧

項目PS5初期PS5スリム
SoCAMD OberonAMD Oberon Plus
ダイサイズ308mm^2260mm^2
プロセスTSMC 7nmTSMC 6nm
CPUAMD Ryzen2 8CAMD Ryzen2 8C
GPUアーキテクチャAMD RDNA2AMD RDNA2
CU数3636
シェーダユニット数23042304
AIコア数00
RTコア数3636
GPUクロック(瞬間1)2.23Mhz2.23Mhz
FP32(瞬間)10.3Tflops10.3Tflops
共用メモリGDDR 16GBGDDR 16GB
メモリ帯域448GB/s448GB/s
ストレージNVMe 1TBNVMe 825GB
ストレージ速度5.5GB/s5.5GB/s

機能解説

AMD製APUを採用

「Sony Playstatin4」時代から引き続き、AMD製の専用APU「AMD Oberon」を採用しています。

「AMD RDNA1」をベースに、「AMD RDNA2」のRTコアをフィードバックしたカスタムチップです。後に登場する上位版「AMD Playstation5 PRO」では「AMD RDNA3」のAIアクセラレーターを実装しており、世代の異なるRDNAを寄せ集めたキメラ的な構造を取っているのが特徴です。

それ故にソニー社からの発表にも混乱が見られ、公式発表もRDNA2 → RDNA1 → RDNA2と、二転三転しました。

旧式のプリミティブシェーダーを搭載しているので、「AMD RDNA1」ベースなのは間違いないのですが、RTコアを搭載しているから「AMD RDNA2」というのが、現在における公式見解のようです。


何故このような事態になったかと言われれば、「AMD RDNA」アーキテクチャの開発遅延が原因の1つです。

Nvidia社が送り出した「Nvidia Turing」の発表によって、現在のGPUトレンドに繋がる大きな変革がありました。レイトレーシング、AIアクセラレーターの追加です。

AMDも対抗製品の開発に乗り出し、「AMD RDNA2」でRTコアの搭載、「AMD RDNA3」でTensorコア相当の機能を実装しましたが、そこに辿り付くまでに4年もの歳月を浪費しました。

Nvidia社はその間にも後継アーキテクチャをリリースしているので、AI関連の技術格差は致命的なレベルに広がっている2のですが、「PlayStation5」はその煽りを最大まで受けてしまったハードとも言えます。

ストレージ強化

「Sony PlayStation4」ではHDDでしたが、「PlayStation5」ではSSDを搭載するようになり、ゲーム上での制約がかなり改善されました。

発売された当時は最高クラスの性能だった公称5000GB/sの読み込み速度を誇る高速SSDを採用し、SSDからVRAMに直接テクスチャデータを転送する機能も追加されています。

同様の機能を持つライバル機の「Xbox SeriesX」と合わせて、ゲーミングPCに採用する次世代規格のコンペ的な側面もあったと思われます3

家庭用ゲーム機=廉価版PCという立ち位置になっている昨今では珍しい事例です。

推定スペック(PCだとどの程度か?)

発売から時間が経っているので、情報がかなり精査されています。

信頼性を持たせるために色々と書いていますが、結論としては「PlayStation5」=「Nvidia RTX 2060」=「Nvidia RTX3050」となります。

古いエンジンのゲームを高解像度にするのは得意ですが、負荷が大きい新しいエンジンや、高フレームレートに弱いのが特徴です。

AMD製GPUのTFlops

「Playstation5」は公式のスペックシートでは10.3Tflopsとなっていますが、数値の価値がゲーミングクロック採用の「MS Xbox SeriesX」や、安定値を載せているNvidia製GPUとは異なる点に注意が必要です。

AMD製のGPUはブーストクロックという記載を常用しているので、それを採用したものと思われますが、ブーストクロックとはあくまで設計上の理想的な数値です。

熱効率が良い専用ボードであっても、ブーストクロックが一瞬ですら計測できないのが普通で、中長期的に負荷が掛かるゲーム中では、ブーストクロックの85%~90%程度が上限値と言われます。

ブーストクロック表記で「RTX 2060 Super」相当ですから、実際にはそこから更に性能が下がることは考慮に入れる必要があります。

AMD BC-250による検証

「AMD BC-250」は中国市場向けにAMDから販売されたAPUです。

これは「PlayStation5」を製造する際に発生した選別漏れのチップを流用し、基板の構造は全く同じですが、CPUは6コア、GPUは24CPUと制限された製品になります。

この「BC-250」で動作検証を行ったところ、「Cyberpunk2027」のベンチマーク結果は「Nvidia GTX 1060」相当でした。

フルスペックの「PlayStation5」は「BC-250」の1.5倍ですから、同じく「GTX 1060」の1.5倍と考えると、「RTX 2060」に少し届かない位だと推定されました。

Linuxハックによる検証(CPU)

2026年4月になって「PlayStation5」の完全ハックが実現し、更に高精度の検証ができるようになりました。

結果としてCPU性能が想定よりもかなり低いことが判明し、格安CPUとして人気である「Ryzen 5700X」の3分の1程度のベンチマーク結果が出ました。

「Playstation5」の発売時期だと、「Ryzen 3600」の約半分なので、想像よりもかなり控えめな性能であることが分かります。

CPUのクロックを上げると、GPUの動作に悪影響が出るので、低い水準で回るようにプロファイルが組まれているのでしょう。

Linuxハックによる検証(GPU)

またGPUについても「3D Mark Firestrike」の結果が得られており、約1万6000点という結果が出ています。これは「RTX 2060」および「RX 6600XT」水準のスコアです。

昨今はWindows仮想環境での精度も向上しており、おおむね実スコアに近しい値が取れると言われています。場合によってはLinuxの方が結果が良くなるケースもあり、数値のブレは上下10%の範囲です。

Firestrikeベンチの結果はAMD有利に出やすい事情を考慮すると4、上下どちらに振れていたとしても「RTX2060」水準と見積もって良さそうです。

僅かではあるものの、「BC-250」の推定値より結果が良くなっています。

We Hacked & Overclocked a PS5 to Install Linux and Steam

稼働環境について

度重なる価格改定

様々な外的要因が重なり、度重なる価格改定が行われたハードです。

最初期はライバルの「Xbox SeriesX」が強気すぎる価格を付けてきたので、それに合わせて逆ザヤと思われる価格設定でした。アメリカ市場での普及を優先した結果です。

その後、シュリンクを施した薄型をリリースしますが、プロセスルール微細化の限界、アメリカ史上で優位もあって、値上げ基調の価格推移が続きます。

SSDの急激な価格高騰5もあって、2025年度以降での鈍化が著しいものの、アメリカ市場での成功は大きく、現在までに世界9000万台を売り上げています。これは過去における「Sony Playstatin3」を上回る数値です6

割と前代未聞で値上げが凄いPS5。 なんですが、そもそもGPU市場のコスパが全然向上していないのが問題の一端だったりします。同じ値段...

苦しい国内事情

それに対して国内における普及は厳しい状況が続いており、およそ「Playstation4」を下回るだろう状況になっています。

長らく為替の割に安めな価格設定をしていましたが、それ故に外国人による転売が相次ぎ、国内で販売された「Playstation5」の相当数が国外に流出したと思われます。

国内での販売実績に対して、実働数はかなり少ないことが予想され、パッケージの販売数も「Playstation4」から大幅な下落を見せています。

そんな中「Nintendo Switch2」が日本語専用モデルを引っ提げて発売されました。ここまで国内は放置気味だったソニーでしたが、「Playstation5」にも日本語専用モデルを追加して対抗を狙っています。

フリープレイの台頭、新作ソフトの不振

「Playstation4」時代からもその傾向がありましたが、「Playstation5」世代になって、同ハードの新作タイトルの販売不振が広がりました。

割と勘違いしている人がいるのですが、新作ソフトについては未だにパッケージ販売が主体7です。

公式の出しているデータからも分かりますが、新作ソフトに使われる金額が「Playstation4」から10%ほど減少しており、その分だけサブスク等が増えています。

4年目
3年目

ソニー公式が出した週間UAでは、「フォートナイト」が1460万と他を圧倒的な数値を見せており、およそ主力のゲームと言って良い状況です。国内では「原神」などのタイトルが人気を博しています。

大学の調査で年齢が高い人ほど新作ソフトを買わなくなる8――ということが分かっているので、恐らくは40代以上が多いだろうPS5のユーザー層との整合性も取れています。

これらの事情を受けて、ソニー側もファーストタイトルのライブサービスを展開しようと計画していましたが、現状では悉く不発に終わっています。

実績データ

単位はすべて万。会計年度末(3月)での集計です。国内はファミ通、全世界はソニー公式の数字です。

本体販売台数

年度国内全世界
2021年58780
2022年91.71150
2023年170.31910
2024年225.82080
2025年131.61850
2026年71.11600
合計748.69370

ソフト売り上げ

年度国内全世界
モンスターハンターワイルズ83.8
ファイナルファンタジー1642.9
グランツーリスモ738.1
ファイナルファンタジー7 リバース35.8
マーベル スパイダーマン232.41100
  1. 瞬間:AMD製GPUにおけるブーストクロック。理想的な条件を整えても製品誤差があるので実際には到達しない数値。ゲーム動作時の実クロックは10%~15%ほど低下します。 ↩︎
  2. 致命的な格差:2025年度のゲーミングGPUの販売シェアがNvidia94%、AMD5%という歴史的な格差になっています。誰もAMDを買っていないのである。 ↩︎
  3. 次世代規格:Direct Strageの策定が進んでいましたが、結果的にどちらの規格も不採用になっています。ソニー側の規格はEPIC社が権利を持っていたのが問題で、オープンソースの別規格が優先される形となりました。 ↩︎
  4. Firestrike:DirectX11世代の旧型ベンチマークで、RDNAはそれ用に設計されているため数値が高く出やすい。反面、DirectX12世代の現行ベンチマークでは数値が急落します。 ↩︎
  5. SSDの価格高騰:AI需要の影響。PS5のAPU(CPU+GPU)よりも、搭載SSDの方が調達コストが高い状況になっています ↩︎
  6. PS3を上回る:販売エリアが拡大していることを考慮する必要があるので、主要国でPS3以上の普及率があるかは考える必要があります ↩︎
  7. 新作はパッケージ主体: ソニーからの流出資料(38%)、CAPCOMの決算資料(12%~43%)などから、世界の平均DL比率は40%を下回ると考えられます ↩︎
  8. 年齢層による変化:20代がパッケージ派、30代でサブスクが最大勢力、40代でフリープレイが最大勢力になります。 ↩︎
申し込む
注目する
guest

0 コメント
最新
最も古い 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る