クリア後の感想と評価: スパイダーマン(AVG 6.2点)

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  • ストーリー:6点
  • グラフィック:7点
  • サウンド:7点
  • ゲーム性:5点
  • 作り込み:7点
10段階評価。6点以上でお勧め。

ゲーム概要

アメコミのヒーロー「スパイダーマン」を題材としたオープンワールドACTです。題材がスパイダーマンというだけで、過去の映像化作品等とは繋がっていません。もちろん東映のアレとも繋がっていません。

ゲーム内容としては、そんなスパイダーマンこと、ピーター・パーカーを操作して、再現されたニューヨークの街でヒーローと社会人の二重生活をすること。ある種のヒーロー体験シミュレーターになっています。

本作のスパイダーマンは8年も活動しているベテランで、多くのヴィラン(敵役)を倒してきた経験を持ちます。因縁がある相手が脱獄してきたり、社会人としての生活があったり、昔別れたヒロインとの恋愛があったりを、臨場感あるリアルタイム進行で描いています。スパイダーマン特有のアクション等も再現されていて、簡単操作でスピード感あるアクションを実現できます。まさにスパイダーマンの世界をそのまま落とし込んだ映画みたいなゲームです。

ニューヨークを拠点に活動していたヴィラン(スーパーパワーをもった凶悪犯)「キングピン」ことフィスクが逮捕された。

長年、自らの私生活を犠牲にスパイダーマンとしてヒーロー活動を続けてきたピーター・パーカーは、街が平和を取り戻したこの機会に、一人の青年として平凡な生活に戻ることを望む。

しかし平穏は長くは続かなかった。ニューヨーク市民から信頼されていた慈善活動家、マーティン・リーが、突如として「ミスター・ネガティブ」を名乗り、ギャング集団「インナー・デーモン」を率いて街を襲い始めたのだ。

ピーターは、愛する人々を守るために凶悪な敵に立ち向かうことを決意する。しかし、敵はミスター・ネガティブだけではない。スパイダーマンに恨みを持つショッカー、エレクトロ、ライノ、バルチャー、スコーピオンら数々のヴィランがピーターの前に立ち塞がる。

果たしてピーターは強敵たちを退け、ニューヨークの街を守ることができるのか───。

引用元:公式

レビュー

ストーリー

  • 優れたヒーローライフの描写
  • シナリオのペース配分に難有り
  • 不自然なところもチラホラ
  • ヒロインのウザさが有頂天
  • ヴィランに関して説明不足

主人公は8年もヒーローを続けているベテラン。従来までのスパイダーマン作品とは少し違った立ち位置になっていますが、全体としては原作からぶれない内容になっています。おちゃらけているものの、正義感を忘れない好青年ピーター・パーカー像を守っていますし、因縁あるヴィラン達との対決を描けています。

プリレンダムービーの完成度もあって、映画のような世界を再現したゲームになっています。ヒーロー活動の合間に実生活の問題が飛び込んできてと、二重生活をリアルタイムに描けているのは優れた部分です。

残念なのはシナリオのペース配分に偏りが見られることで、公式のストーリー紹介にも敵として書かれている「ミスター・ネガティブ」にパートを割きすぎています。序盤の展開がまったりとしている一方で、後半が異様にバタバタしているので、本編のラスボスがイマイチぱっとしないというか、影が薄いです。ついでに頭も薄いわけですが、そのあたりを盛り上げようと思うのなら、もうちょっとエピソードが必要だったと思います。

また諸々の展開もときどき雑になるというか、無理矢理繋げた感が強いです。理由がカンだったり、いきなり過ぎる変心からフェードアウトしたりと、パーツ出しは十分なんですが、それをどう組み合わせるかに改善の余地があります。納期に間に合わないから当初の予定を変更したとか、DLCのために色々切り離したとか、恐らくはその辺りが原因だと思いますが、プロットの完成度がイマイチ奮わない原因になっています。

とはいえ全体としてはドラマとして成立していますし、スパイダーマンのオリジナル映像作品として、お勧めできる水準には到達していると思います。あとはヒロインのMJが承認欲求強すぎるというか、分をわきまえない行動が多すぎるなどの問題もありますが、最近はなんでもかんでも平等にしろってに五月蠅いですからね。

MJはアレだ……ホラーだったら真っ先に死ぬタイプだ。

グラフィック

  • 現在の平均水準の3D
  • 優れたプリレンダムービー
  • フィールド描写はやっぱり落ちる

可も無く不可もなくな3Dグラフィックになっています。特徴としてはフォトリアルな表現と、アニメ調な表現が入り交じっていることです。ヒーローなんかの造形は大分アニメ調になっていて、それ故に優れた再現性を持っています。

反面、一般人などの描写には硬さがあるというか、のっぺりしていて不気味さの谷に放り込まれた気分になるので、存外開発スタッフが苦手だったのかもしれません。みんなカメラ写りが悪いです。

フィールドに関しても、ニューヨークの街を再現しているものの、やっぱりオープンワールド特有の雑さが発揮されています。量と質を兼ね揃えるのは非常に難しいので、量があるとどうしても……。題材がスパイダーマンなので、屋内に入れないという部分をカバー出来ているのは不幸中の幸いだった気がします。

イベントシーンのプリレンダムービーは、優れたカット割りで迫力ある映像を作っています。映画さながらの高水準ばかりなので、一見の価値があります。

サウンド

  • 優れたスコアが多い
  • 吹き替えが良いような、悪いような

ゲーム性

  • オーソドックスなオープンワールド
  • 軽快なアクションと移動
  • 戦闘の発展性に欠ける
  • 敵の攻撃パターンが少ない
  • 後半の難易度不足

ちょっと狭めですが、スタンダードな要素で構成されたオープンワールドです。密度が低いマップが続くというオープンワールドの欠点をスパイダーマン特有の移動方法で補えたので、題材との相性も非常に良い。ビルからビルへと高速移動できるので、作業感が大分緩和されています。移動操作もかなり簡単で、困ったらR2を押しておけばOKです。適当に引っかけてくれるので、スイスイ移動できます。

戦闘も簡単操作で分かりやすいのですが、こっちはスパイダーマンらしさに足を引っ張られたというか、基本が徒手空拳なので発展性に欠けます。ステルスプレイや、各種ガジェットによって多少カバーしていますが、基本動作が少ないので飽きやすいです。

またそれ以上に敵のパターンが乏しく、終始汎用戦闘員A、B、Cって感じなので、戦闘のバリエーションが生まれてきません。敵毎に対処方みたいな設定はあるものの、みんなガジェットに弱いという共通項を持つので、生かし切れている感じでは無いです。

またヴィランとのボス戦においても、敵の行動パターンが1つ、ないし2つだけなので、どうも盛り上がりに欠けます。決まり切ったイベント戦に近い内容なので、創意工夫とか試行錯誤の余地がありません。それ故に簡単ではあるので、キャラゲーとしては正しいような気がするものの、アクションゲームとして見るには、もうちょっと戦闘面の拡張が必要だったかなぁ……と。

作り込み

  • 目立つバグなし
  • ファストトラベルが速い
  • オープンワールドとしては狭めのマップ
  • サブクエストはまぁまぁ
  • チュートリアルの配分に難有り

目立つようなバグは無いですし、オープンワールドとしてはかなり堅実な作りになっています。革新的な部分はないものの、痒いところに手が届きます。そもそもの移動が速いので、多用するものでもないですが、ファストトラベルもそれなりに快適です。

オープンワールドにしたせいでマイナスになっているゲームも多いですが、本作はその例には含まれません。やっぱりメインクエストの面白さが抜けていますが、それ以外の部分が足を引っ張るような本末転倒は起きていません。

サブクエストは数も質もまぁまぁといったところで、おまけレベルなら十分に遊べます。かなり親切な設計なので、コレクションアイテムの回収もやりやすいです。

気になった点としてはチュートリアルの配分が偏っていることくらい。序盤は割と詰め込み教育になっています。あとタスクマスターのチャレンジはもうちょっと前倒しにしても良かったかも。

総括

スパイダーマンという題材とオープンワールドの相性が良かったので、堅実なゲームに仕上がっていると思います。突出した部分はないものの、ヒーローの姿をリアルタイムに描けているので、一つの作品として完成しています。

DLCのせいなのか、露骨に欠けている部分があったり、唐突なフェードアウトが発生したりで、完璧とまでは行かないまでも、合格水準を十分に満たしたキャラゲーだと思います。とはいえ、本編のエンディングからして、完全にDLC前提になっているのはどうなんだろう……。恐らくはDLC込みで話が完結するという形なので、本編だけだと前後編の前編だけで終わってる雰囲気です。

恐らくは通しでプレイする方が良い体験が出来ると思うので、未プレイの方ならDLCが出そろうのを待ってからでも良いのかも。

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14 Comments
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ななし
ななし
6 年 前に

信者や子供は作品の欠点を認められない呪いにかかってるから仕方ないね

ななし
ななし
6 年 前に

今までいくつも管理人さんのレビューを見ましたが、なんでもかんでも酷評してるわけでも汚い言葉で非難してるわけでもなく、ただ良い点と悪い点を挙げて改善案を書いてるだけなのに批判する人がいるのはよく分かりません。レビューというのがなんなのか理解してないんですかね?

ななし
ななし
6 年 前に

10点満点として眺めると点数厳しめに見えるだけで、ゼルダやGOWの点数と比較しても、スパイダーマンもいい点付いてるよ。

ななし
ななし
6 年 前に

以前はCoDの考察記事をよく参考にしていましたが、最近はもっぱらFortniteですね
最新作が出たにもかかわらず一度も記事にしていないのは残念でなりません

ななし
ななし
6 年 前に

厳しい意見だけど自分はレビュー見るの好きよ

なんのかんの言っても、批判意見が的を射てるからこそ、反発みたいの生まれてるんだろうなぁって思ってる

キンハとかはやらなさそうだから大丈夫じゃない?

ななし
ななし
6 年 前に

お前はフォートナイトの記事だけ書いといてくれ

ななし
ななし
6 年 前に

管理人さんはこの世界に他のヒーローはいると思いますか?
あと映画ヴェノム観に行きましょうよ
感想を聞かせてほしいです

q
6 年 前に

あなたはキングダムハーツ3は買わないでくださいね
あなたにレビューしてほしくないから

ななし
ななし
6 年 前に
に返信 

何怖
レビュー見なきゃいいじゃん

ななし
ななし
6 年 前に
に返信 

怖すぎでしょ…

ななし
ななし
3 年 前に
に返信  ななし

日本語の記載内容は大変参考になります。しかし点数がほぼ意味をなさなく形骸化しているのは問題に感じます。
例えば、システムが面白いため世間的に評価されるゲームとグラフィックが良い(だけで世間的には面白くないとされる)ゲームがあるとして
今の採点ルールだと同じ点数を取ります。前者はシステム7点グラフィック3点。後者はシステム3点グラフィック7点です。
あくまで筆者様の主観で採点されてるのは承知ですが、総合点数が世間とずれが発生しやすいことが推測されます。
ほぼ全てのゲームが総合5〜6点に収まっているのが証拠です。どのゲームを評価したとしても5〜6点です。採点ルールの見直しが必要に思います。

ななし
ななし
6 年 前に
に返信 

狙ってないのに面白いコメント書けるの羨ましい

ななし
ななし
6 年 前に
に返信 

キングダムハーツ3限定…
なんでや…わからん…こわい…