クリア後の感想と評価: ゼノブレイド2

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  • ストーリー: 4点
  • グラフィック:7点
  • サウンド:7点
  • ゲーム性:3点
  • 作り込み:5点
  • 10点: 史上最高(100年に1度)
  • 9点: 10年に1度の水準
  • 8点: 年間トップクラス
  • 7点: 十分におすすめできる
  • 6点: 普通水準で、おすすめできる
  • 5点: 普通水準
  • 4点: 明らかな失敗が見て取れる
  • 3点: 良い部分がほぼない
  • 2点: 失敗では済まされない
  • 1点: 史上最悪(100年に1度)

概要

Wiiで発売、その後Wii U、3DSにも移植されたモノリスソフトのRPG「ゼノブレイド」の続編です。初代がある種カルト的な人気を持っており、RPGとしてはかなりの完成度を持つ作品でした。

ゼノブレイド2は久々のナンバリング続編にあたり、3人パーティー制、ネットゲームを彷彿とさせるロールシステムと、外郭の部分は初代を踏襲しています。

今作からはブレイドと呼ばれる意志を持った人型兵器が登場し、ソーシャルゲームを彷彿とさせる要素が多数追加されました。そして追加要素のことごとくが、ゲーム性に対してマイナスの影響を与えています。

グラフィック、サウンドの側面は、初代から引き続いて良好である一方、ゲーム部分とストーリーが明らかな失敗を抱えています。作業感がべらぼうに強いのでストレスフルだし、キャラゲー水準にも到達していシナリオないので、ある種の覚悟が必要になります。

初代ゼノブレイドの完成度を期待すると裏切られること請け合いです。

キャッチ―な見た目が最大の長所で、ゲーム性は20年前の作品を改悪したみたいな内容なので、かなり人を選ぶだろうニッチなゲームだという点に注意が必要です。

ストーリー

  • オールドスクールなアニメ
  • ご都合主義のオンパレード
  • キャラクターの言動が稚拙で矛盾している
  • 設定を羅列しているだけでドラマ性に欠ける

80年代か90年代の深夜枠を彷彿とさせる古典的なアニメの世界を描いています。私より一回り年上の40代とかなら、この当時のアニメをもう少し鮮明に覚えているでしょうし、懐かしさを感じるかもしれません。

反面、今となっては古めかしさを感じる古典的なオタク臭さ全開なので、慣れてない人には厳しいです。露骨なエロやハーレム要素などには、かなり耐性がある私でも結構きつかった。

味付けレベルの話なので、この程度では減点はしませんが、それ以外に大きな問題が山積み状態で、なにから片付ければ良いのやら……。

端的に言えば材料は良いけど、料理の仕方がすごく下手です。設定だけ無駄に凝っていて、プロット作りも表現手法も杜撰という――ネット小説や、ヴィジュアルノベルなどに見られる典型的な失敗を犯しています。

マルチライターの弊害なのか、パート毎にテイスト変わるどころか、会話内容がおかしかったりするし、全体的に完成度が低いです。

自己の正当性をやたらと主張する割に、やってることが一貫していないので、上っ面だけのキャラクターばかりに。キャラクター描写が終始ブレブレで魅力も感じないし、言動があまりに痛々しくて見ていられません。

いくら見た目がキャッチ―でも、キャラゲー水準にも到達していません。

インパクトを重視するのも良いですが、突然沸いてきた字の設定頼みの不自然な展開や、ご都合主義の浮き沈みばかりで、なんだこの茶番って感想しかでてきません。

そもそもブレイド周りの設定はRPGに使うには不向きすぎで、ゲームの方向性とシナリオで食い違いも見られます。筆力でなんとかカバーして設定はこれで押し通すにしても、物語の組み立て直しが根本レベルで必要です。

グラフィック

  • スイッチの性能を鑑みると高水準
  • キャラクターデザインが分かりやすい、豪華
  • 3Dモデルの完成度が高い
  • ムービーの作りが上手い
  • 狙い過ぎで品が無い
  • 一般受けはしない

初代ゼノブレイドから退化している部分も多いゲームですが、グラフィック面だけは一気に近代化しました。

シナリオがマルチライターの弊害でカオス化しているのと同様に、キャラクターデザインも結構カオスになっていますが、萌え要素を前面に押し出したキービジュアルと、それを取り込んだ3Dモデルの再現性については評価できます。

シナリオ面が残念過ぎるので、キャラゲーとしても期待は禁物ですが、ぱっと見のビジュアルだけは裏切りません。本作の少ない長所です。

ただし、狙いがあまりに露骨過ぎるので、もうちょっとバランスを考えた方が万人受けしたとは思います。ヒロインのホムラなんかが代表的ですが、キャラ付けとの不一致が目立つので、コスプレ感が前面に出ています。

狙いは分かるものの、外から見てやり過ぎに感じるわけで、何事にもメリハリ、適量というものが必要です。

なお、挿入されているムービー部分も良好な水準になっていて、アニメ系ゲームのビジュアルとしては総じてレベルが高いです。こちらも使い方が問題だろうという側面がありますが、ハードのスペックを考えると、評価を上方修正するのが妥当だと思いました。

サウンド

  • 戦闘BGMが良い
  • シナリオの悪さをカバー
  • 手堅いキャスティング
  • 戦闘時のボイスパターンが少ない

汎用ネームド系BGMを筆頭に、いくらかの良スコアが存在します。選曲に少し無理のある部分もありますが、全体としては高水準に纏まっています。

問題だらけのシナリオ部分も、これのおかげで様になっていて、かなり救われている部分があります。サウンド面は確実にゼノブレイドの続編と言えるでしょう。

CVのキャスティングには特に違和感が無いです。また人気どころを起用している手堅い構成です。ただ前述の通り、シナリオとゲーム性に問題が多いため、キャラゲーとして見るには厳しい部分もあります。

戦闘中のセリフが臭すぎる、喋りすぎて五月蠅いのは前作のゼノブレイド同様ですが、キャラクターに愛着を持ちにくいので、尚更厳しくなった気もします。

戦闘後の掛け合いも、序盤から使わずに、中が良くなるにつれてパターンが増えていくとかにした方が自然でした。これは前作もそうでしたが、劇中の描写の割に馴れ馴れしすぎて違和感があります。

ゲーム性

  • 特になし
  • 単調で飽きやすい戦闘
  • 煩雑なだけで、戦術性や拡張性がない
  • 重篤なレベルで戦闘テンポが悪い
  • ブレイドの要素が噛み合っていない
  • 無駄な作業がアホかと思うくらいに多い

端的に言うなら、コマンド式RPGのコマンド入力に何十秒も掛かり、その際に無駄な作業を延々と要求されるゲームです。

ゲームスピードが異様に遅いのに(おかげで誰でもできる位に簡単になりましたが)、単位アクションあたりのリターンが乏しく、重篤なレベルでテンポが悪いです。攻撃、防御、補助などの要素が自動化されたのは良いものの、それが悪い方向に作用して作業感を増大させる結果になっています。

ストーリーの部分で料理が下手と言いましたが、こちらに関してもそんな感じ。

初代から続投しているロール制もブレイドガチャと相性が悪すぎて、持っていてもエンゲージしない方がマシというケースが多発。ブレイドの育成もひたすら面倒臭いので徒労感が募ります。

戦闘の組み立ても変に制限されていて、触りが煩雑なだけで基本は簡単ですし、ゴールが結局同じなので、普通にプレイする分には工夫が必要な場面も巡ってきません。

新規要素の多効果必殺技「ブレイドコンボ」は、リターンが大きい割にポンポン撃てるのですが、そもそもAI相手に毎度ゲージ貯めとか、敵を倒すための準備の準備とか、戦闘デザインが根本的に回りくどいです。イチイチ目押しを入れてくるのも煩わしい。

初代の場合もテンポの悪さ、雑魚戦闘の煩わしさがありましたが、「ヴィジョン」による受け身の戦いというデザイン故に、全体としては上手く纏まっていました。

本作では悪かった部分はそのままに、ブレイドなどの新規要素は上手く機能しておらず、またその食い合わせも悪いという残念な状態になっています。基本が前時代的なJRPGなので上手く仕上げても傑作とは……という状態なのに、実装の仕方に問題が多すぎて闇鍋状態です。

作り込み

  • 顧客層が明確
  • サブクエストの数が多い
  • UIが分かりにくい
  • チュートリアルの説明が変
  • 飛ばせない演出が多い
  • 世界観を演出していない配置、演出の数々
  • イベント開始時にクラッシュするバグがある

端的に言って、ニッチな需要を満たすためのもので、それに関してはある程度の水準に達していると思います。

その一方で、上記の項目で低評価を付けた部分に目をつぶることができるのは前提条件になり、およそ万人受けすることは望めない内容になっています。萌え要素への全振りは理解できるものの、それ以外が全部犠牲になりました。

ブレイドガチャもなんで実装したのか疑問符が付きますが、クエストの報酬にするには時間が足りなかったのでしょうか……。ブレイドについては物語上の設定にしろ、ゲームにおける仕組みにしろ、多方面に問題を起こしてしまいました。

ゲームデザインがそもそもチグハグで粗削りなので、ユーザビリティの欠如も目立ちます。

コンパスの感度、属性玉と弱点表示が統一、ソートの仕様、コンボルートの表示と誘導性、属性玉や絆の表示、各種のボタン押し、飛ばせない演出の数々と、洗練されていない部分が鈴なりになっています。

サブクエストに関しても、ノーヒントや、UIガイド頼みの総当たりは当たり前、二度手間、三度手間になるためモチベーションの低下は避けられません。

傭兵団やフィールドスキルのブレイド選択なんかは自動でも良い話で、そもそも答えが書いてある要素に対して、何かのアクションを求めることが間違っています。

リリースしたばかりのSwitchを軌道に乗せるための毎月ゲームリリース、コア向け重視という計画の影響なんでしょうが、ゲームとして動くけど中身が乱雑すぎました。

物量はあるんだけど質の面で著しいマイナスを抱えており、諸問題の解決に1年は必要だったなと思いました。

おまけ

なんか発売前のファミ通レビューで点が低いみたいな流れでプチ炎上していた記憶がありますが、あのレビューはまだオブラートに包んでいて、かなり優しい表現だったと思います。これが35点なら、ドラクエ11が40点でもおかしくなくて、意外ととファミ通って一貫してるんじゃないかって思い直しました。

まぁ、最初だけだから、後半の駄目な部分が見えなかった可能性も十分にあり得ますけど、取り敢えずファミ通35点は私としては過大評価に過ぎると思います。イラストレーターとコンポーザーの仕事は堅実なのですが、それ以外に期待してはいけません。

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