フォートナイト: EPIC社とモバイルメーカー(Apple、Google、サムスン)の闘争

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フォートナイトの開発元であるEpic社が、サイドローディングをブロックしているのに抗議するとして、サムスンの公式ストアからフォートナイトを削除しました。

その一方で、長らく対立が続いているアップル社の製品であるIOS版フォートナイトが4年ぶりに復活の兆しを見せています。

古くはアップル社を攻撃するためにパロディ動画を作ったり、プレイヤーを巻き込むために大会を開いたりしていましたが、「何がどうなってるんだい?」と思っている人もいるかと思います。

本稿ではそんなモバイル版フォートナイトと、それにまつわるIT業界の動きについてまとめています。

令和最新版! サムスンのストアから撤退

2024年7月25日にEU圏でのIOS版フォートナイトのリリース再開が迫っていることサムスンのGalaxy Storeから撤退することを公式が報告しました。

Epic社が引き起こしたプラットフォーマーとの対立は根が深いものがあり、Apple社、Google社とはバチバチにやりあった過去があります。今回はサムスンも加わる形になりました。

EPICの広報によれば、「サムスンが新採用したサイドローディングのデフォルトブロック設定に抗議するため」とのこと。サムスンは同年7月に発売した新機種からサイドローディングをブロックするように変更したらしいので、僅か2週間足らずで報復措置を取ったことになります。

サイドローディングというのは、公式ストア以外からアプリをインストールする行為を指します。ウィンドウズでは当たり前の機能ですが、一部のモバイル機器では長らく制限されてきました。

サイドローディングをブロックするというのは、IT犯罪を防止する目的で機能することもあるのですが、昨今では独占禁止法に抵触するのではないかと問題視されています。

Epic vs アップル

Epic社がプレイヤーを巻き込んで訴訟を始めたので、古くからフォートナイトをプレイしているプレイヤーにとっては比較的になじみ深い事件だったと思います。

ことの発端は2020年のことで、アップルがサイドローディングをブロック(公式ストア以外からアプリをインストールできないようにしていること)、ストア利用手数料が高すぎること、アップルを仲介しない決済を禁止していることなどを理由に、これは独占禁止法に抵触すると裁判を起こしました

これはチャプター2・シーズン3のことですが、それに前後してIOS版のフォートナイトは開発を停止。Epic社は世論を味方につけるために、アップル社を皮肉った動画を公開し、反アップルを訴える大会まで行いました

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昨今話題になってる左翼的なもの(俗にいうWOKE)とは違いますが、明らかに政治的な意図を持っているポリコレ活動です。

このEpic vs アップルの訴訟は、2022年にEpic社の敗訴に終わります。独自の決済システムについては認められたものの、それ以外の訴えは棄却されました。認められた独自決済についても、アップル側が使用料を自由に決められるので、実質的にはEpic側の全面敗訴です(上告したので未だ係争中)。

そんな流れが変わり始めるのは翌年のことで、2023年3月にデジタル市場法がEUで成立します。この法律は自由競争を促進するため、大手IT企業の活動を大きく制限するもので、先のアップル訴訟で棄却された項目の一部がEU加盟国では違法行為になりました

Epic社もEU加盟国向けにIOS版フォートナイトを復活させる計画を立ち上げます。EU圏ではアップル社の制約を無視し、野良アプリとしてフォートナイトをリリースできるからです。

それに対しアップル社は公式ストアに登録されたEpicの開発者アカウントを凍結、登録抹消という強硬姿勢に出ますが、このような行動は先に挙げたデジタル市場法に抵触するのは明らかでした。アップル社はEU当局からの警告を受けてしまい、Epic社に対するハラスメント的な行為を撤回する羽目になります。

2024年6月24日にはアップル社はデジタル市場法に違反しているとEU当局が公式文書で告知を出しており、場合によっては年間利益の半分に相当する罰金を払う可能性すらでてきました。

このデジタル市場法は日本においても成立に向かって進んでおり、2025年を目途に制定、施行の流れになっています。それを機に国内においてもIOS版フォートナイトが復活する公算が高いです。

米国においても2024年4月に、米国政府がアップルに対して独占禁止法の疑いで訴訟を初め、当初はEpic社の我儘だと思われていた事案から一転して、世界的にアップル社の責任を問うという流れに向かいつつあります。

Epic vs Google

アップル社との戦いほど有名ではありませんが、ほぼ同時期にGoogle社とも同様の内容で訴訟を始めており、こちらは2023年にEpic社の勝利となりました。

アップル社との訴訟と何が違ったかというと、Google社が一部のメーカーを優遇するような協定を秘密裏に交わしており、その証拠が明確に存在したことです。アップル社についても同様のことはメール文書等で疑われていましたが、確固たる証拠が見つかっていませんでした。

Google社が定めていた30%の手数料が適当であるという主張も根拠がないと退けられています

産業構造の変化によって、過去には適法だと思われていたことが違法になりつつあり、今後は様々な企業がその影響を受けそうな状況になっています。例えば家庭用コンソール機も30%の手数料を取るのが通例になっていますが、それが通例ではなくなる日も近いのかもしれません。

米国では独占禁止法自体を改正して、巨大企業による他業種買収、多国籍化を阻止しようという動きもあり、巨大になり過ぎたゲーム業界も無縁ではいられない情勢だと思われます。

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4 Comments
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匿名
匿名
1 月 前に

失望しました…APEXアンインストールします

匿名
匿名
1 月 前に

金正恩とウラジーミル・プーチンも訴訟してくれ(?)

ヨシフ・ ネ
ヨシフ・ ネ
1 月 前に
に返信  匿名

ついでにブリ〇スと習近平も(???)

匿名
匿名
1 月 前に

結構勝ってるんすね
ポリコレコンサルにも訴訟してくれ