Magic The Gatheringの「ファイレクシア 完全なる統一」を使ったドラフト環境についての簡単なまとめです。
歴代でも屈指の高速環境であり、先手有利、アグロ中心の環境になっています。マグロになるとあっという間にひき殺されるので、序盤からクリーチャーをちゃんと展開する必要があります。
メタの中心は黒白アグロだと思うのですが、それに強い白赤や赤緑が結果的に勝ち組という印象です。青系はデッキにならないことが多くて勝ちと負けがかなり極端に出ます。
概要
毒まみれ
序盤から盤面を取り合う高速な環境を定義している最大の要因が毒性の存在です。
相手に毒カウンターを10個載せれば勝ちなので、1ターン目からの毒性クリーチャー、そして横並べ戦略が非常に強力です。初動が遅いと、あっという間にひき殺されてしまいます。
毒性は赤以外の全てに存在しますが、白が最も強力で、次点が黒、その次が緑となっています。




毒カウンターが3つ載っていると効果が強くなる堕落も、明らかに先手の方が達成しやすいシステムです。先手で小型のクリーチャーを並べ、後手の壁役クリーチャーを除去するという動きをすればあっと言う間に達成できます。
受ける側としては2ターン目にクリーチャーを出して相殺できなかったら、あとは単体除去で全く止まらないというパターンが起きるので、その辺りを意識してデッキを組む必要があるのと、多少積極的なマリガンが必要になっています。
序盤からクリーチャーを出せない構成になりやすい低速なデッキにとっては相当に不利な状況です。
毒に強い火と油
序盤から毒を刻んでいくアグロ戦術ですが、毒性持ちのクリーチャーはサイズが小さいという欠点があるので、一回り大きいクリーチャーを出すことでプランを妨害することができます。
油カウンターを利用するクリーチャー群は、回数制限付きに能力の割にはスタッツが優秀だったりで、序盤の毒蓄積を阻害しつつ、後続の大型に繋げやすい特性を持っています。




序盤の1/2や、1/3も小型の毒性クリーチャーをせき止めるには役立つ場合が多く、そのまま肉質の良い3~5マナ圏へと繋げて毒に勝つというわけです。
赤緑は油に特化した色の組み合わせですが、特に緑は中堅クリーチャーのサイズ感の良さからドラフトの人気カラーとなっています。対人ドラフトだと競争率が高いので注意。
色の組み合わせ
白、赤、緑 > 黒 > 青。 青は卓1クラスの完成度を求められるので、基本やらない方が良いです。
白黒がメタの中心にいて、それに強い白赤、赤緑が台頭しているという形だと思います。
対人ドラフトの場合だと青黒は露骨に不人気なので、卓1になりやすいのですが、レアやアンコモンで主要パーツが取れてからでも遅くはないです。
中心色 | 評価 | 速度 | 毒 | 油 | 方向性 |
---|---|---|---|---|---|
![]() ![]() (アゾリウス) | B | 中 | 〇 | 〇 | アーティファクトを並べる |
![]() ![]() (オルゾフ) | B+ | 高 | ◎ | × | 毒性特化。 クリーチャーのサイズが小さいのが弱点 |
![]() ![]() (ボロス) | A | 高 | 〇 | △ | 総合アグロ。 赤が毒に強いので毒ミラーに耐性あり |
![]() ![]() (セレズニア) | B | 高 | ◎ | 〇 | 毒性アグロ |
![]() ![]() (ディミーア) | C | 低 | 〇 | 〇 | 増殖特化だけど、何もできないことが多い |
![]() ![]() (イゼット) | C | 低 | × | ◎ | 油+増殖 必然的に構築難易度が高い |
![]() ![]() (シミック) | C | 低 | △ | ◎ | 毒+増殖 必然的に構築難易度が高い |
![]() ![]() (ラクドス) | B | 中 | △ | 〇 | 定番の生け贄だがパーツが弱め |
![]() ![]() (ゴルガリ) | C | 中 | 〇 | 〇 | 毒特化ミッドレンジ 毒が速攻向きなので中途半端になりやすい |
![]() ![]() (グルール) | A | 中 | △ | ◎ | 油マシマシの中速アグロ。 毒系統に対して滅法強い |
なお色マナのサポートが弱いので、タッチすら難しいです。
《マイアの改宗者》や《砂丘動かし》といった毒性アーティファクトクリーチャーがあれば、タッチはできますが、それらがデッキのパーツとして機能しないとパワーダウンするのがネック。
毒性持ちの小型クリーチャーなので、白黒、白緑、黒緑あたりがギリギリ狙えるか……といったところ。
有力なアーキタイプについて
白赤アグロ(装備)

白と赤の速度重視アグロです。他の白系アグロが息切れしやすいのに対して、装備によるマナフラ受けがある分だけ、後手になったときの安定性があるのが利点。
環境にタフネス1のクリーチャーが多いので、1/1が出てくるカードは大体強いですし、最後の一押しに繋がることが多いです。
《刃砦の戦鞭》は相当に強い装備品で、後半になって飛行に付け替えればゲームエンド級。今回は青のカードが露骨に弱いこともあって、白の飛行クリーチャーは中々止まりません。

今回、緑系の大型クリーチャーなどを乗り越えるのが大変なので、後半にライフを詰めるプランはある程度用意しておいた方が良いです。毒殺はまず狙えないので、飛行、横並べで詰め切れるようにしておきたいです。
白黒アグロ(毒特化)

1マナの《這い回る合唱者》が4枚も取れたので、それをふんだんに生かした構成になっています。3マナ圏はゼロだけど、1マナ+2マナで2アクションすれば良いよねと。
7勝の内の5勝くらいは毒殺でした。先手でぶん回したら勝てるという分かりやすいデッキ。
緑などが壁になるクリーチャーを出してくると途端に厳しくなるので、それを乗り越える手段がやはり必要になります。白も黒も単体除去はかなり強いので、ある程度の枚数があれば7勝を狙いやすくなります。
黒の人気があんまり高くないので《苦痛ある選定》なんかが流れてくることが結構多く、人気のある緑と組むよりデッキになりやすい印象です(対人ドラフトの場合)。

また白黒は毒が溜まりやすい色なので、増殖によって最後の押し込みができます。ETB、PIGで増殖を持っているクリーチャーが何枚かあると、それで勝ちが拾えることが結構多いです。
赤緑ミッドレンジ

油持ちのクリーチャーは短期的にスタッツが良くなったり、能力の割にスタッツが良かったりするので、白系のクリーチャーに対して有利に戦えます。
主力になるクリーチャーは3~5マナになっており、それらを早期キャストするために序盤にシステムクリーチャーを出しつつ、毒を防ぐという構成になることが多いです。

《燃えがら斬りの荒廃者》は敵のクリーチャー全体に1点をばら撒く機能が付いた大型のクリーチャー。油持ちが2体いたら、4マナで出てくるので相当に強いです。今回タフネス1のクリーチャーが多いので、上手く使えば相手の場が瞬時に壊滅します。