先の7月29日に第二回のフォートナイト ワールドカップ(ソロ)が実施され、二代目の世界チャンピオンが生まれました。
本稿ではそんな新チャンピオンが見せた決勝戦での動きとかを取り扱っています。チャンピオンらしく、バトロワの基礎に対して忠実で、技術面も攻守共に隙が無い。身長も高いし、若いしで、PCシューターで強い人を体現しているかも。
予選を勝ち抜いてきた有数のプレイヤーなので、その実力は伯仲していたはずなんですが、長期的な戦いにおいては、ペース配分やリスクの管理も考えないと駄目ですし、その辺りのところが各人の明暗を分けていた気がします。
運の管理をしっかりして、基本をしっかり守ることが大事であるということを再確認させてくれました。
各プレイヤーの順位とプレイング
下は2019年ワールドカップ・ソロの動画、上位陣のポイント内訳になります。
選手名 | 順位 | 総合点 | 撃破点 | 順位点 | 平均撃破数 | 平均順位 |
---|---|---|---|---|---|---|
Bugha | 1 | 59 | 23 | 36 | 3.8 | 18.8 |
psalm | 2 | 33 | 5 | 28 | 0.8 | 17 |
EpikWhale | 3 | 32 | 14 | 18 | 2.3 | 24.5 |
Kreo | 4 | 30 | 8 | 22 | 1.3 | 28.8 |
KING | 5 | 30 | 21 | 9 | 3.5 | 42.7 |
Crue | 6 | 27 | 12 | 14 | 2 | 41.5 |
Skite | 7 | 26 | 4 | 22 | 0.7 | 32.7 |
Nayte | 8 | 26 | 11 | 14 | 1.8 | 38.2 |
Riversan | 9 | 24 | 9 | 15 | 1.5 | 30.8 |
Fatch | 10 | 24 | 7 | 17 | 1.2 | 32 |
Dubs | 15 | 21 | 4 | 17 | 0.7 | 40.8 |
結果としては2位とダブルスコアに近い点を付けていた新チャンピオンですが、その立ち回りに関しては、バトルロイヤルのセオリー通りと言いますか、まさにお手本に近い動きをしていました。
上位入賞プレイヤーのうち、アグレッシブなタイプは少数派で、チャンピオンもディフェンシブなタイプです。守りが堅く、リスクのある行動は追い詰められるまでしません。
チャンピオンはディフェンシブの中ではキル数が飛び抜けて多いですが、あくまで自衛のための戦いに徹しており、その立ち回りは非常に堅実なものになっています。クラフトを正面突破しようとはせずに、奇襲効果を最大限に利用していますし、移動用の補助系アイテムを活用して、クラフト素材の消耗を押さえています。
2ラウンド目にポンプSGの一撃で事故死した以外は、目立った失敗がなく高い順位をキープし続けました。
その一方で、必要とあれば思い切った行動に出られるなど、リスクリターンの管理が理に適っていたと思います。素材ゼロの状態から2連続キルして、状況を繋げるなど、ここ一番の勝負強さも凄いです。
ショックウェーブグレネードと、シャドーボムを両方揃え続けられた強運もありましたが、他のプレイヤーよりも、立ち回りが洗練されていたように見えました。
僻地降りで非交戦が基本
彼の降下地点は最南端にある僻地ラッキー・ランディングが5回、その東にあるガソリンスタンドが1回です。
ラッキー・ランディングは宝箱の密集性こそ高いものの、武器やアイテムの総量はそこまで多くありません。ただしクラフト素材が満遍なく揃っており、最大2台の自販機沸きがあるなど、バランスという点では優れているような気はします。
乗り物も二種類あるので、僻地ですが移動も優遇されています。
降下地点で競合するプレイヤーが2~3人ほど居ましたが、基本的には戦闘を避けています。不意を突いてヘビーSRを撃つくらいはありましたが、街中でショットガンの距離まで詰めるような行為はしていません。
クラフト素材を集める時間が惜しいのか、適当に囲んで位置を誤魔化したら、即座に後退して戦闘を切り上げています。物資を漁る際も小まめに射線を切るクラフトを貼っており、リスクマネジメントが徹底されています。
通常マッチだと早期に制圧を目指す方が良かったりしますが、同格通しの戦いになってしまうと、早期決着は難しくなると思うので、闘わないという選択がベターなんでしょう。
アイテムスロットの構成
移動系のアイテムをかなり重視しているようです。
どれ位かと言えば、落ちているシールドポーションや、スラープジュースで回復2枠にするのを捨てる位。
ただしグライダーは回復2枠のために捨てているので、あんまり重要だとは思っていない模様。ショックウェーブグレネード、シャドーボム、フリントノックといった、上への機動性に繋がるアイテムを大量に抱え込んでいます。
通常マッチだとそこまででもありませんが、クラフト素材を節約しなければ、いつ息切れになってもおかしくないので、位置取りするときの素材消費を抑えられる恩恵は大いにありそうです。
武器に関してはライフル系等1、ショットガン枠1が基本で、SMGの評価は回復以下になっていました。
また1ラウンド目で至近距離の戦いになることを想定してか、偶然拾ったポンプSGをメインにして、持っていたコンバットSGを捨てています。
通常マッチだと敵のガードが杜撰なのと、終盤に入る前に人員整理が進むのとで、あえてポンプSGを選ぶ理由も無い気がしますが、密着戦になるならポンプSGという選択なのでしょう。1撃の重さで勝敗が左右される事態もありえます。
なお緑ポンプと紫タクティカルを迷う姿もあるので、実際には極端な差があるとは思っていないのかも(もう優勝が決まっているような状況だったので、遊ぶのか迷っただけかもしれませんが)。
場所取り優先でアサルト主体
特に序盤の戦いで顕著ですが、チャンピオンの立ち回りは接近戦を拒否して、ライフルによる遠距離攻撃が多いです。接近戦をすると大ダメージを受ける危険、第三者の横槍を受ける危険があるため、それを避けたいということなんでしょう。
大会ルールではキルの恩恵が後付けされていますが、それでも同格のプレイヤー同士で争うことにメリットが見えません。たった1ポイントのために順位ポイントを失うリスクを犯すのは得策ではないと判断したのだと思われます。
場所取りはかなり強気ですが、攻撃に関してはかなり慎重です。敵が自発的に寄って来る場合や、密着せざるを得ない最終局面以外は、ボックス内部からの遠隔攻撃にのみ専念していました。
また攻撃する相手も自分より有利な位置の相手には手を出しませんし、一方的に攻撃出来る場合でしか撃ち出しません。射線を切られたらすっぱり諦め、逃げ出した敵を深追いしたりもしませんでした。
下手に固執すると危険なので、安全な位置からキルが取れたらラッキーぐらいの動きに見えます。
警戒している相手には殆ど干渉せず、ボックスで籠もっている相手へ力押しはしません。張り替えで追い詰めようともしません。
クラフトで箱を作って引き籠もる戦法はシーズン2から絶えず主流のままですが、多少環境が変わってもずっと最強のまま。むしろターボ建築の強化によって、鉄壁に近い状態になりました。堅い部分を攻めて突破しようとするのは戦術的に良くないと孫子にもあります。
ミドル以下のセンシ設定
ライフルの攻撃精度を出すためか、センシ設定がフォートナイトにしてはかなり低めです。あくまでフォートナイトでは……なので、一般的なFPS水準だとハイセンシのローくらいですが、他プレイヤーに比べれば低感度よりです。
腰だめのベース値は振り向き16センチくらいのミドルーハイですが、ターゲット時に大きく下がるようになっていて、その場合は振り向き40センチくらいのローセンシ。
極端にセンシが変わる設定をすると、混乱するから避けた方がいい気はするんですが、練習量で補えるから良いってことなんでしょうか。
かなり高精度の攻撃をしており、ヘビーARの命中精度がかなり高いです。
ちなみに使っているマウスはFinalmouse Air58みたいです。近年増えつつある超軽量マウスの一種で、公称58グラムなのが売りの左右対称タイプ。
フォートナイトは元々ハイセンシ有利と言われていましたが、最近はミドル以下のプレイヤーが増えており、クラフトだけでは勝てない局面になってきているのかも。
総括と環境作り
まとまりのない構成になってしまいましたが、チャンピオンが一番バトロワの基礎に対して忠実に行動している姿が見えてきます。
- 僻地に降りる
- 敵と自発的に接近戦はしない(リスク回避)
- 有利位置にいる敵とは戦わない
- 逃げる敵は追わない
- クラフトを正面突破しない
- 機動系のアイテム重視
- 奇襲攻撃を重視
- 順位を保つため危険は犯さない
ラウンド1で勝利したので慢心したのか、ラウンド2ではクラフト戦を仕掛けて90位退場になっていますが、それ以外だとリスクに繋がるような行動は殆どしていません。すっごくセオリー通りで、堅実すぎるくらいのプレイングです。
長期的なリーグ戦では、運に左右される戦術や、極端に疲弊するような行動を避け、正攻法で挑むことが大前提なんですが、まさしくそれを体現してます。
例えば、派手なキルムーブで会場を沸かせた若干13才のKing氏ですが、後半になるにつれて精細を欠いて順位を下げています。
上位入賞者で唯一撃破点の方が多いアグレッシブプレイヤーで、戦闘技能だとチャンピオンのBugha氏に対しても決して劣っていなかったように見えたのですが、ペース配分を間違えたことが明暗を分けたように思えます。
Eスポーツと修飾されるようになって久しいですが、海外においても、存外にその辺りの管理やコーチングが杜撰な部分があったり、温度差があるのかなとも思いました。長期的な視野で見ると才能のある一個人では限界があって、やっぱり有名チームのある国の方が結果に反映されやすいのかなぁ……と。
人材不足で伸び悩む現在の国内事情においても、その辺りを押さえれば十分に巻き返せるのかもしれないです。まぁPCゲームが普及しないことには駄目なので、日本の場合はまずそれからですけども。
私ももう30歳なんですが、それでも国内フォートナイトでは相当な上位にいるみたいなので(トラッカーサイトとか、ごくまれに参加する大会結果とかでは)、まずは才能があって、やる気がある10代を集めることが肝要かなって思います。
大会パイプナイト出るからよろしくCR入りたい
>>4
普通のアリーナとかで世界大会でしたムーブするわけないやろwww
ストームサージは殆どのプレイヤーが気にしていなかったと思いますよ。ダメージを稼ぐという意識も殆ど無かったと思います。
まずサージ発動の条件が相当厳しいです。ステージ3時点で70人生存とかです。もう5点ダメージのストームなので、流石にそこまで残りません。
仮に発動するなら、相当に平均ダメージ量も低い筈ですから、ゲーム展開に影響するようなものではないです。そもそもサーバーの負荷軽減のため、極端な非交戦タイプを排除するためのものですからね。
上から目線すぎな。
リスクを冒してダメージを狙うプロが多かったのはストームサージがあるからでしょうね
大人数が残っている場合、一定以上のダメージを与えていなければストーム縮小後に5秒毎に25ダメージ受けるというものですが
その点、チャンピオンはしっかりダメージを与えつつリスクを冒さない立ち回りを確立していたということでしょうか
交戦を極力避けてたならストームサージにはどうやって対処したんだろう?
ARでダメージ稼いでたんかな?
彼が配信しても大して映えないだろうなぁ…とこの記事読んで思いました
キルムーブ楽しいから止められない
ならCS:GOとかやれってのは言わないで
[…] Source: げぇむはしりがき フォートナイト: 世界チャンピオン Bughaの立ち回り解説と考察 […]
結局の所フォートナイトもバトルロイヤルなので戦闘を避けるに越したことはないってことがはっきりしちゃいましたね。
チャンピオンがここまで堅実な立ち回りで優勝しちゃうとキルムーブ信仰も大分薄れそう。
キルムーブができるのとキルムーブが強いのはまた別問題ってことですね。