クリア後の感想と評価: ゼルダの伝説 Breath of the Wild

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  • ストーリー:5点
  • グラフィック:7点
  • サウンド:5点
  • ゲーム性:8点
  • 作り込み:9点
10段階評価。6点以上でお勧め。

ストーリー

  • お姫様を助けに向かう勇者の王道ストーリー
  • 回想メインで臨場感に欠ける
  • ゼルダ特有の奇人変人
  • サブクエストがやや単調

オープンワールド特有の現象で、ゲームとしては面白くとも、ストーリー性は過去作に比べてやや劣ります。特にシナリオ重視のゲーム作りが全盛だった時代に作られた時のオカリナ、ムジュラの仮面に比べると、オープンワールドのための制約から非常に淡泊で、臨場感のない展開になっています。ゲームに対してマイナスの影響を与えないだけ救われていますが、優れているとは言い難いです。

オープンワールドのコンセプトを守るなら致し方ないのですが、臨場感に優れたシナリオ、使命感の強いシナリオにしてしまうと、自由な行動を阻害します。たとえば旅先で人助けする展開にしても、魔王が大暴れしている最中だったりすると、優先順位がおかしいだろとなって、違和感が生まれます。必然的に淡泊な展開にせざるを得ないわけで、本作における回想ラッシュはストーリーティングとしては良くないものの、他に選択肢がなかった側面が見え隠れします。

サブクエストもそんな感じであり、どうもお使い感が強くなりがちです。箱庭ゲーだったムジュラの仮面など、時間を繰り返すという設定があるので、自由度の高いサブクエストを盛り込めたのですが、それと比べると明確に劣る印象があります。あっちは世界が滅びる危機にあってもやり直せますし、失敗した場合から試行錯誤できるし、常に時間制限があるので臨場感を表現できていました。

本作ではそういった制約を化すことが難しいため、どうしても実装された形に落ち着くのでしょう。オープンワールドに残された課題かもしれません。

グラフィック

  • 適度なトゥーンレンダリング
  • バリエーションに富んだロケーションの数々
  • 性能不足を絵作りでカバーしている
  • ダンジョン関系のデザインが単調(ボスも含む)
  • 処理落ちが酷い場所がある

飛び抜けているとは言い難いですが、Switchの性能を鑑みれば十二分なグラフィック水準です。ややキャラクターデザインに癖があるものの、万人受けする景観、色使いをしており、世界観の表現に大きく貢献しています。

多分、多くの人が一番気になったのはゼルダの眉毛じゃなかろうか。インパクトはあるんですけど、田舎の領主か名主の娘って感じで、お姫様っぽくはないですよね……。

サウンド

  • 雰囲気に合っているが、小粒でインパクト不足
  • 適切なサウンドエフェクト

方向性としてサウンドをバリバリならすタイプではないのですが、スコアはちょっと魅力不足。過去作のボス戦BGMなんかは割と覚えているんですが、本作はまるで記憶に残っていません。音が題材だったゲームがいくらかあるので仕方ないですけども。

本作から名実共にボイスアクトが追加されましたが、上手くマッチしてたと思います。

ゲーム性

  • 軽快なアクション性
  • 探索と戦闘のシームレス化
  • フィールドやオブジェクへの干渉がより自然なものに
  • 物理パズルの限界
  • ダンジョンよりフィールドの方が面白い
  • 自然なチュートリアルと救済要素

オープンワールドという舞台装置の開発に主眼を置いたゲームです。昨今だとちょっとした流行になっていて、右も左もオープンワールドを目指しているような状況ですが、その中でも特に優れたゲームデザインで世界を表現しています。

プレイヤーのアバターとなるキャラクター(リンク)と、構築されたハイラル世界との連結が非常にスムーズで、シンプルに纏められたゲームシステムは現実世界の物理法則に従うようになっています。火の延焼、雷の挙動など、誇張が過ぎる面もありますが、アニメ調の世界構成がその違和感を消しています。ダンジョンの一部を除いてどこでも昇ることができるので、探索における自由度が非常に高い。また戦闘と探索がシームレスに繋がっており、広大な世界の冒険をかなり自然にしています。

またオープンワールドのゲームでは最も戦闘が面白いゲームです。先駆者のTESなど、これだけで色々と台無しにするレベルで酷いので、かなりのアピールポイントになっています。リアルよりで快適さに欠けていたウィッチャーよりも軽快で、動かしているときの違和感がありません (ウィッチャーは純粋オープンワールドではありませんが)。

近接武器のバリエーションは片手剣、両手剣、槍、杖の4パターンがあり、一長一短あります。属性効果も少し強すぎな印象もあるものの、魔法代わりのアクセントとなっています。敵のAIも程ほどに倒しやすくなっており、万人受けする難易度に調整されています。まずまずアクションゲームの入門作に相応しい作りで手堅いレベルデザインです。初見殺しな敵もいますが、敵の近接攻撃モーションは非常に分かりやすく、パターンもそう多くない。それぞれの差違もすぐに見て取れると、チュートリアル的な存在になっていて、プレイヤーの自然な上達を促してくれます。

フィールドの広大さや、プレイ時間の長さに対して敵のバリエーションが少ないことは欠点ですが、この規模のオープンワールドだと、むしろマシな方。それでも足りないというのがオープンワールドというレベルデザインが持つ問題の一端で、ダンジョンの質なんかもその良い例です。

ダンジョンの根幹を成ししている物理パズルですが、洋ゲーだと割と見慣れている要素です。それを上手くアレンジして取り込んだわけですが、物理パズル特有の大味さと、初期アイテム縛りが禍してその質は玉石混淆。結局、ビタロック、マグネキャッチ、火の3つにパターン化され、まるで面白みの無い解法の祠が相当数存在します。メインクエストのダンジョンも捻りが無く、ダンジョンの面白さ、パズルの出来という点では過去作から見て明らかに劣っています。

過去作だとダンジョン > フィールドだった面白さがが、フィールド > ダンジョンになっており、祠に入るよりもフィールド探索を優先したくなるという逆転現象が発生しています。確かにフィールド探索の面白さは過去作より秀でているのですが、ダンジョン部分が雑になった側面は確かに存在します。

作り込み

  • オープンワールドの高い完成度
  • 量のために質が犠牲になっている
    • ダンジョンの質が不揃い
    • 敵のバリエーション不足
    • アクションとしてのボリュームに欠ける
  • 料理の多くが死に要素

オープンワールドと謳うゲームは数多くあれど、それが武器になっているゲームは少ないです。むしろマイナスに作用して完成度を下げるだけになっているパターンが多いのですが、本作はオープンワールドの良さを突き詰めて、プラスの側面を明瞭に表現しています。

各所に設けられたファストトラベルポイント、パラセールによる飛行、盾による滑走など、探索の負担を軽減する要素も完備されています。馬はもうちょっと高低差に強ければ良かったのですが、それでも便利な移動手段です。

ゲーム中で表現された世界は広大で変化に富んでおり、探索するに値するだけの密度を概ね保っています。この概ねというのは少々ネガティブな表現ですが、それでも他の疑似オープンワールドゲームに比べれば遙かに作り込まれており、TESシリーズ(オブリビオン、スカイリムなど)とは異なるアプローチではあるものの、優れた世界観を提供しています。路線的には過去作の風のタクトや、スカイウォーソードもほぼオープンワールドだったわけですが、それらが持っていた欠点を上手く改善したリベンジ作と言えるのかもしれません。

とはいえ広大な世界を用意する関係から、密度や作り込みの面でどうしても薄くなるというオープンワールドの悪い部分は残っており、ゼルダシリーズとして見ると、質の部分で劣る面もチラホラあります。コンセプトとしての優秀さや、進歩性はあるものの、やや初速頼みで拡張性には劣るので後半の新しい発見とは無縁になっています。

広大な世界を用意する関係から、密度や作り込みの面でどうしても薄くなるというオープンワールドの悪い部分が現出しています。それを改善するにはひたすらリソースをつぎ込むしかないのですが、リニアに反映されるとは言い難い。費用対効果が悪すぎる開発スタイルであり、それでなくても開発費の高騰が進んでいる状況なのに、果たしてどれ位のスタジオが真似できるかというと……。Botwに関して言うなら、フォトリアルにしなかったことに大分救われたんじゃなかろうか。

ある程度はAIによる自動生成でカバーするにしても、人の手が介在しないと単調なお使いゲーになることは想像に難くないですし、そのシステムを組むまでに掛かるリソースがどうなるか。

本作はオープンワールドゲームの世界に一石を投じたものの、職人芸と多大な労力をつぎ込んでいる関係から、今後同水準のゲームがぽんぽん出てくるとは思いにくいです。この唯一無二の部分は本作の評価を高める一因になっているのですが、後発作にとっては大きな壁になるでしょう。

総括

優等生を極めたようなオープンワールドのゲームで、ようやく時のオカリナ世代から1つ抜きんでた部分を持てました。個人的には時のオカリナ、ムジュラの仮面ほど熱中はしなかったですが、このゲームの優れた完成度はゲーム史に残る勢いです。

恐らくは今後のゲーム作りの試金石になるだろう存在であり、オープンワールドのゲームとしてはスカイリム以来の評価を与えても良いと思います。欠点だらけのTESシリーズと違い、万人受けするゲームに仕上がっていますし、オープンワールドのゲームを聞かれたら、今後はまずこれをあげるだろう仕上がりです。

まだSwitchが出たばかりで、エンジン等を流用してゲームを出せそうですし、次回作に期待したいと思います。

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